事前に取り組みたい家の強風対策とは? ライフライン寸断にも備えを

近年では地球温暖化の影響もあり、日本に到来する台風が強大化しています。これにより、従来の雨に対する備えだけでなく、強風への対策も重要になってきています。台風に限らず、梅雨前線や秋雨前線でも強風が吹き荒れるケースがあり、同様の備えが必要です。

この記事では、いざというときに備えて知っておきたい、住宅の強風対策を解説。強風でライフラインが寸断された場合の対策についても紹介していきます。

住宅の強風対策

台風などで強風が予想されるとき、事前に行っておくべき住宅の強風対策にはどのようなものがあるのでしょうか。箇所別に対策の内容を見ていきましょう。

屋根の対策

屋根の不具合を発見したら、すぐに修繕・リフォームを

住宅で特に強風の影響を受けやすいのが屋根です。屋根の状態が悪いところに強風が直接吹き付けると、屋根自体が飛ばされてしまうなど、甚大な被害が生じる可能性もあります。

強風の予報が出たら、すぐにでも屋根を守る対策を取りたいところですが、残念ながら直前にできる対策はほとんどありません。普段から定期点検を行い、不具合がないか常にチェックしておくことが大切です。異常が発見されたら、風で吹き飛ばされにくい瓦に葺き替えるなど屋根リフォームを早めに行いましょう。

なお、国土交通省は近年の強風被害の増加を受け、建築基準法の告示基準(昭和46年建設省告示第109号)を改正。2022年1月1日以降に着工する新築建物、および増改築する建物の増築部分について、すべての瓦屋根の固定化を義務付けました。

出典:国土交通省 「令和4年1月1日から瓦屋根の緊結方法が強化されます」

窓の対策

雨戸・シャッターがない窓は養生テープで補強

屋根と並んで強風時に被害が出やすい箇所が窓です。窓ガラスは、強風を受けただけではなかなか割れることはありませんが、風に飛ばされたものが当たると簡単に破損してしまいます。

このため、強風時には、飛来物が窓に当たらないよう雨戸やシャッターを閉めるのが効果的です。万が一の事態に備え、平時から雨戸やシャッターに不具合がないか定期的に点検しておくことも大切です。不具合があれば速やかに補強しておきましょう。

雨戸やシャッターのないガラス窓は、外側から板でふさぐ、飛散防止用フィルムを貼るなどの対策が有効です。板やフィルムがない場合、応急処置としてガムテープや養生テープを「米」の字に貼るという方法もあります。

玄関ドアの対策
窓と同様、外に面している玄関ドアも強風による影響を受けやすいといえます。

玄関ドアの設置箇所の縁やドア枠に使用されているゴムパッキンは、時間が経つと劣化してしまいます。経年劣化してできた隙間から風が侵入すると、家の中にまで強風の被害が拡がってしまいます。玄関ドア周りのパッキンはできるだけ新しいものに交換し、隙間がないかどうか事前に確認しておきましょう。

また、風が侵入したりドアが風にあおられたりするのを防ぐため、ドアのネジが緩んでいないかも点検しておきたいところです。

屋外の対策
ベランダや庭など屋外に置いてある物は、基本的にすべて室内にしまうか、ロープなどで固定するようにしましょう。

屋外に残した物が風で飛ばされると、自宅の屋根・窓・ドアなどが破損する原因になるだけでなく、他の建物や外にいる人に当たって被害を及ぼす危険もあるためです。

強風が予想されるとき、室内へしまっておくべきものとしては、物干し竿や植木、自転車、ゴミ箱、掃除用具などが挙げられます。室内に片付けるのが難しいプロパンガスのボンベやアンテナといった物は、ロープやテープなどを使い、建物にしっかりと固定しておきましょう。

ライフライン寸断への対策

強風が吹き荒れる気象状況では、停電や断水などが起こるリスクも高まります。強風でライフラインが寸断された場合の対策について見ていきましょう。

停電への対策

LED懐中電灯、ラジオなどで停電対策

強風で危惧されるのが、停電です。強風予報が出たら、停電に対する備えをしっかりとしておきましょう。

まず、夜間に停電が発生した場合を想定し、明るくて長時間使えるLEDライトを用意しておきます。LEDランタン、懐中電灯などさまざまな種類がありますが、両手が使えるヘッドランプがおすすめです。

また強風時に限らず、災害の際には最新の気象情報や被害に関する情報の収集が欠かせません。通信キャリアのネットワークやWi-Fiが使える状況であれば、スマートフォンが非常に役立ちます。

停電時でも充電できるよう、事前に充電式のモバイルバッテリーをフル充電しておくとよいでしょう。乾電池式のものも用意しておけば、いざというときに便利です。

通信キャリアのネットワークやWi-Fiが使えない場合は、ラジオが主要な情報源となります。電池式やソーラー充電式、手回し充電式などの携帯ラジオを用意しておくと安心です。

断水への対策
強風や豪雨により断水が発生するケースもあります。大量の降雨で取水施設が被害を受けたり、送水ポンプが強風による停電で使えなくなったりといったことが原因です。

高層マンションでは、マンションの送水ポンプが停電で動かなくなり、上層階を中心に断水するというケースもあります。

一度断水すると数日間給水がストップすることもあるため、飲料水の確保が何よりも大切です。対策としては、普段飲んでいる水やお茶のペットボトルを多めに買っておくとよいでしょう。1人あたり1日3リットルとして、3日分の9リットルを用意すると安心です。

飲料水とは別に、浴槽などに水をためて生活用水も確保しておきましょう。この水はトイレを流すときなどに使用します。

なお、トイレは多くの水を消費するため、非常用トイレも用意しておくとよりよいでしょう。

公共交通機関ストップへの対策
一定以上の強風が吹くと、鉄道・バスなどの公共交通機関がストップすることも予想されます。

たとえば、JR東日本では風速が20m以上になると速度規制を行い、25m以上になると運転を見合わせます。他の鉄道会社もおおむね同じような基準を設けています。

外出時に公共交通機関が動いていたとしても、その後風が強まり、帰宅時にストップしてしまう可能性もあります。強風が予想される際は外出せずに済むよう、事前に職場や学校での段取りを行っておきましょう。

強風の中では、買い物などで近所へ出かけるのも危ないので、食料や生活必需品は事前に買いだめしておくと安心です。

また、災害時は必ずしも自宅にいるのが安全とは限りません。避難勧告や避難指示が出た場合に備え、あらかじめ地域の避難場所を確認しておきましょう。

まとめ

強風から身を守るためには、外に出ないことが大原則。今回紹介した対策はいずれも強風が予想される際、事前に行っておくべき対策です。もし、対策しそびれていたことがあっても、強風が吹き荒れる中「外の様子を見に行く」というのは大変危険な行為です。

平時から家の設備の不具合を点検・修繕するとともに、災害備蓄の準備や避難場所の確認を行っておきましょう。日頃の備えこそが一番の強風対策です。

~こんな記事も読まれています~