家族4人で暮らす住宅にはある程度の広さが必要です。ただし、面積が広くなるほど家賃や販売価格は高額になるため、物件選びに悩む人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、4人暮らしの住まいを探している人に向けて、4人で住むのに必要な住宅の面積やおすすめの間取りなどを紹介します。
4人暮らしで最低限必要なのは50平方メートル
国の住生活基本計画では、4人暮らしに必要な面積は50平方メートルとされています。これは、健康で文化的な住生活に必要不可欠な面積水準(最低居住面積水準)です。計算式は「10平方メートル×世帯人数+10平方メートル」で、子どもの人数は年齢に応じて次のように換算します。
たとえば、夫婦と子ども2人(4歳、7歳)の家族の場合、「10平方メートル×(2人+0.5人+0.75人)+10平方メートル=42.5平方メートル」が最低限必要な面積ということになります。
※出典:住生活基本計画|国土交通省
生活しやすい広さは95~125平方メートル
最低居住面積水準は最低限必要な面積の目安です。豊かな住空間を実現する4人暮らしの居住面積の目安は、都市居住型(都心とその周辺での共同住宅)では95平方メートル、一般型(郊外や都市部以外での戸建て住宅)では125平方メートルとなります。
計算式は以下のとおりです。なお、10歳未満の子どもの人数は、最低居住面積水準を計算する場合と同様に換算します。
※出典:住生活基本計画|国土交通省
4人暮らし世帯の現状
4人家族164世帯を対象としたアンケートでは、以下のとおり半数以上が3LDKに住んでいるという結果になりました。
3LDKには居室が3部屋あります。寄せられた回答から、家族構成によって次のように使い分けていることがわかりました。
・夫婦の寝室+子ども部屋(2部屋)
・夫婦の寝室+子ども部屋+夫の書斎
・夫婦の寝室+子ども部屋+収納
・夫婦の寝室+子ども部屋+祖母の寝室
・夫の寝室+家族の寝室+収納
※出典:4人家族にベストな間取りは?164世帯へのアンケートで分かった結論|住まいの教科書
4人暮らしにおすすめの間取り
次に、4人暮らしにおすすめの間取りについて解説します。なお、不動産公正取引協議会連合会では、DKやLDKの表示について最低限必要な広さを次のように定めています。
一畳あたりの広さは1.62平方メートル以上です。部屋の広さをイメージするときに参考にしてください。
出典:不動産の表示に関する公正競争規約施行規則|不動産公正取引協議会連合会
1LDK
居室1部屋+8畳以上のリビングダイニングキッチンの1LDKは単身者やカップルに人気の間取りで、4人暮らしには手狭です。
ただし、子どもが小さいうちは目が届きやすくて安心できるというメリットがあります。2LDKや3LDKに比べて家賃が安く抑えられるため、しばらくは1LDKに住んでお金をため、子どもが小学校に入学するタイミングで広い間取りの部屋に引っ越すというのも一つの考え方です。
2LDK
2LDKでは10畳以上のリビングダイニングキッチンと居室2部屋が確保できます。夫婦と子ども2人の4人家族が生活するのに無理のない間取りといえるでしょう。
ただし、子どもが成長すると自分だけの部屋を欲しがる可能性があるため、子ども部屋には間仕切りでプライベート空間が作れる程度の十分な広さが必要です。
2部屋を子ども部屋にする場合、夫婦はリビングで寝起きすることになり雑多な印象になりがちです。子どもの成長に合わせて住み替えが必要になるケースが多いため、購入する場合は慎重に考えるようにしましょう。
3DK
3DKは居室3部屋に6畳以上10畳未満のダイニングキッチンがある間取りです。3部屋あることから夫婦がそれぞれ1部屋ずつ、子ども2人で1部屋を使う、もしくは夫婦の寝室と子ども2人がそれぞれ1部屋ずつ使う、といった使い方ができます。各部屋に収納が付いているケースが多く、家の中をすっきりと整理できるでしょう。
一方で、家族の憩いの場であるリビングがないため、コミュニケーションが希薄になりがちな点には注意が必要です。
3DKは1980年代に流行した間取りで、築年数の古い物件がほとんどですが、リノベーション済みの物件も多く見られます。販売価格や家賃は抑え目のため、住居費を節約したい場合におすすめです。
3LDK
居室3部屋に10畳以上のリビングダイニングキッチンがある3LDKは、前述のアンケートからもわかるように4人暮らしに人気の間取りです。実際にファミリー向けマンションには3LDKが多く、分譲住宅でも1階にLDK・2階に居室3部屋という間取りが一般的です。住まい選びの選択肢は豊富といえるでしょう。
夫婦と子ども2人の4人暮らしの場合、子どもがそれぞれに自分の部屋を持てるので、子どもの成長に応じて住み替える必要がありません。
広いリビングは家族の団らんはもちろん来客時にも活躍します。長く住み続けられる間取りではありますが、子どもの独立後には部屋を持て余す可能性もあるので、購入する際は将来のこともしっかり考えておくことが大切です。
4LDK
居室が4部屋あるため、家族全員が自分の部屋を持てます。夫婦そろってテレワークという家庭には特におすすめの間取りといえるでしょう。部屋数が多いので、子どもの独立後は高齢の親を呼び寄せて同居することも可能です。
なお、賃貸ではあまり見られない間取りのため、購入して住むケースが多いかもしれません。分譲マンションの場合、都心で4LDKという物件は少なく、あったとしても高額です。
2階建ての戸建ての場合、年齢を重ねるごとに階段の昇り降りがつらくなり、2階がデッドスペースになる可能性があります。購入時の年齢にもよりますが、将来のことまでしっかりと考えて選ぶようにしてください。
4人暮らしはマンションと戸建てどっちがおすすめ?
夫婦と子ども2人の4人暮らしで「子ども部屋はそれぞれに確保したい」という場合、選択肢は3LDKまたは4LDKになりますが、これらの間取りではマンションか戸建てかで悩みがちです。どちらが快適に過ごせるかは、家族の年齢やライフスタイルなどによって変わります。
戸建てもマンションもファミリータイプの物件は駅から少し離れた場所に多く見られますが、マンションのほうが駅に近い傾向があります。通勤・通学の便を考えるとマンションのほうが住みやすいかもしれません。
一方、車通勤やテレワークがメインの場合、駅から少々離れていてもそれほど不便を感じることはないでしょう。戸建てかマンションかよりも、子どもの学区など別の視点での物件選びが必要です。
4人暮らしで部屋の広さや間取りを決めるポイント
ライフステージに応じて家族の人数は変わり、必要な部屋の広さも違ってきます。賃貸住宅は状況に応じて気軽に引っ越すことができますが、購入する場合は慎重に考えることが大切です。
たとえば、子どもが小さいうちは1LDKや2LDKの賃貸に住み、ある程度の年齢になったら3LDKなどファミリータイプの物件を購入。子どもが独立して夫婦だけの生活になったら、売却してコンパクトな間取りの家に引っ越す…などのライフプランを考えておきましょう。
ちなみに、駅に近いほど好条件で売却できる可能性があるため、少々の狭さには目をつぶって駅に近い物件を購入しておくという考え方もあります。
まとめ
10歳以上の子どもを含む4人暮らしには、最低50平方メートルの面積が必要です。ゆとりをもって生活するには95~125平方メートルが必要になります。
4人暮らしといってもさまざまなケースがあり、家族構成や年齢によって住みやすい間取りが異なります。現在のライフスタイルや将来のライフプランも踏まえ、自分たちに合う間取りを選ぶことが大切です。