契約書や領収書を受け取った際に、収入印紙が貼ってあるのを見たことがある人も多いでしょう。また、書類を作成する際に収入印紙が必要なのか、迷ったことがある人も少なくないかもしれません。
収入印紙は貼り付けが必要なケースと、不要なケースがあります。今回は、そもそも収入印紙とは何か、収入印紙の貼り付けが必要な書類と不要な書類、収入印紙の金額や購入方法、注意点などについて解説していきます。
そもそも収入印紙とは
収入印紙とは、租税や手数料などを納めるために書類に貼り付ける政府発行の証票です。郵便局などで発行される切手とよく似た形をしており、領収書や契約書などの課税文書に貼り付けるようになっています。
2018年6月30日以前は、1円から10万円まで31種類の印紙が発行されていましたが、同年7月1日以後は、200円から10万円までの19種類に改正されています。
収入印紙の貼り付けが必要なケースとは?
続いて、収入印紙の貼り付けが必要なケースや、課税文書の主な書類について解説します。
収入印紙が必要なケース
一定額を超える契約書や領収書は、印紙税の対象となる課税文書です。
課税文書を作成する際には印紙税を納める必要があり、収入印紙を購入して文書に貼り付けることで納付します。国家試験の受験料や、免状の交付手数料などを納める場合も添付する必要があるので注意しましょう。
必要な収入印紙の金額は、文書の内容や金額によって変わります。
課税文書の主な種類
課税文書は印紙税法によって定められています。課税文書に該当する書類を作成する際には、非課税文書に該当しない限り印紙税の納付が必要です。
主な課税文書には以下があります。
・土地賃貸借契約書
・不動産売買契約書
・金銭借用証書
・請負に関する契約書
・約束手形または為替手形
・株券、出資証券
・定款
・売買取引基本契約書
・預金証書、貯金証書
・保険証券
・売上代金に係る金銭または有価証券の受取書(領収書)
など
収入印紙が不要なケース
一定額以上の領収書や契約書を発行した場合でも、収入印紙が不要なケースもあります。具体的にどのようなケースで不要なのかを見ていきましょう。
電子発行した書類
領収書や契約書を電子発行し、電子メールなどを利用して送付した場合は、収入印紙は不要です。電子的にやり取りしたPDFファイルやFAXによる契約書などは、「課税文書を作成したことにはならない」とされ、そもそも印紙税が非課税となるためです。印紙税は紙で発行された領収書や契約書が課税の対象となります。
ただし、電子メール送信後に、紙の領収書や契約書を相手方に交付した場合は、収入印紙の貼り付けが必要と考えられています。
クレジットカード払いに対する領収書
売上代金を受け取ったときに発行する領収書は、金額が5万円以上の場合は収入印紙の貼り付けが必要です。しかし、5万円以上でもクレジットカードで支払った場合の領収書には、収入印紙が不要となります。クレジットカードでの支払いは信用取引に該当するため、その場でのお金のやり取りがなく、課税文書とみなされないためです。
ただし、領収書にクレジットカードで支払ったと明記していない場合、課税文書とみなされることがあるので注意しましょう。
収入印紙の金額(印紙税額)は?
前述のとおり、収入印紙の金額(印紙税額)は文書の内容によって異なります。
たとえば、契約書であれば1万円以上、領収書は5万円以上が課税対象です。例として、売上代金に係る領収書や請負契約書に必要な収入印紙の金額(印紙税額)の一部を以下にまとめました。
なお、売上代金以外の受取書では、文書に記載された金額5万円以上で一律200円分の収入印紙が必要になります。
また、請負契約書の印紙の金額は次のとおりです。
収入印紙を購入するには?
収入印紙はどこで購入できるのでしょうか。ここでは、主に200円の収入印紙が購入できる場所と、すべての券種が購入できる場所に分けて説明します。その後に収入印紙の購入方法・払い戻し方法についても解説するので参考にしてください。
主に200円の収入印紙が購入できる場所
コンビニエンスストアやたばこ屋、酒屋、書店などの店舗では、一般的によく使用される200円の収入印紙を購入できます。ただし、店舗によって取り扱っていないこともあるので確認が必要です。
また、金券ショップで購入できるケースもあります。その場合、一般的に額面よりも安価で購入できます。
すべての券種を購入できる場所
一定規模の郵便局や法務局の販売所では、基本的にすべての券種の収入印紙を取り扱っています。夜間や土日に関しても、営業時間外窓口のゆうゆう窓口で購入が可能です。
200円以外の収入印紙を購入したい場合は、郵便局や法務局で買い求めるとよいでしょう。
収入印紙の購入方法・払い戻し方法
収入印紙の購入は基本的に現金払いですが、一部コンビニエンスストアではクレジットカードや電子マネーで購入できるケースもあります。
また、購入した収入印紙は現金による払い戻しができません。ただし、税務署で過誤納金の還付手続きを行えば、還付を受けることは可能です。還付の対象になる収入印紙として、過大な収入印紙を課税文書に貼ったり、課税文書に貼り付けた後に使用する見込みがなくなったりした場合などがあります。
収入印紙1枚につき5円の手数料を支払えば、郵便局でほかの額面の印紙に交換してもらうこともできます。ただし、未使用や白紙・封筒に貼られている収入印紙、もしくは課税文書以外に添付された収入印紙という条件があるので注意してください。
まとめ
収入印紙とは、課税文書に貼り付ける証票のことです。一定額以上の契約書や領収書などは課税文書として、印紙税の対象となります。ただし、クレジットカード払いによる領収書や電子的に発行された書類は、印紙税の対象とならないため収入印紙が不要です。
基本的に、200円の収入印紙はコンビニエンスストアなどで購入できます。そのほかの券種を購入する場合は郵便局や法務局を利用しましょう。