最近「シェアハウス」が増えてきています。テレビドラマや情報番組などで盛んに取り上げられたこともあり、名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、話題のシェアハウスとはどのような仕組みの住宅なのか解説するとともに、シェアハウスの種類やタイプ、メリット・デメリットについても紹介していきます。
シェアハウスとは
まずは、シェアハウスとはどのような住宅を指すのか、言葉の定義や法律上の位置付けについて見ていきましょう。
シェアハウスの定義
シェアハウスの定義について、具体的に定めた法律はありません。一般的には、入居者がプライベート空間として使う専用部屋とは別に、入居者同士が共同利用できる共有スペースが設置された賃貸住宅のことを指します。
シェアハウスを運営する企業や団体などによって構成される、一般社団法人日本シェアハウス連盟による定義は以下のとおりです。
● 最短の契約期間を1ヶ月以上とする、中~長期型滞在向け賃貸物件であること
● 入居者同士の共有スペースがあり、交流が図れること
● 国籍を問わず、入居できること
建築基準法上は寄宿舎
建物は使われ方に応じて建築基準法によって用途が定められており、シェアハウスは「寄宿舎」という扱いです。共同住宅として扱われるアパートやマンションとは用途が異なります。
特に200平方メートルを超える家屋をシェアハウスにするには、寄宿舎への用途変更を行う確認申請が必要です。なお、2019年6月に施行された改正建築基準法により、用途変更が必要となる面積が従来の100平方メートルから緩和され、シェアハウスの運営に参入しやすくなりました。
200平方メートル以下であれば確認申請は不要ですが、寄宿舎としての基準は守るよう配慮しなければなりません。
シェアハウスのタイプ
シェアハウスと一口に言っても種類はさまざまです。建物のタイプ別、部屋のタイプ別にシェアハウスの主な種類を紹介していきましょう。
【建物】一戸建てタイプ
一戸建てタイプのシェアハウスは、中古戸建て住宅をリノベーションしてシェアハウスとして活用するケースが多くみられます。従来の居室にあたる部分が入居者ごとの専用部屋で、リビング・ダイニング・キッチン・水回りといった生活空間が共用スペースとなっているのが一般的です。
もともと家族で暮らすことを前提とする建物なので、どこか懐かしさを感じるアットホームな雰囲気が魅力。入居者も10人未満の少人数であることが多く、落ち着いて過ごしたいと考える人におすすめのタイプです。
【建物】一棟アパートタイプ
一棟アパートタイプのシェアハウスには、中古の一棟アパートをリノベーションしたものやシェアハウスとして新築されたものなどがあります。
通常のアパートにおける住戸が入居者の専用部屋となっており、建物の1階にリビング・ダイニング・キッチンといった共用スペースや交流用スペースが設けられているケースが一般的です。
一戸建てタイプよりも建物面積や部屋数など規模が大きく、より多くの住人と交流できる可能性があります。また、共用スペースが充実しているのも大きな魅力。最近では、シアタールームやゲームルーム、ビリヤード・卓球スペース、バーカウンターなどが設置されているシェアハウスも登場しています。
【部屋】個室タイプ
続いては、部屋タイプ別にシェアハウスの種類を見ていきましょう。
個室タイプのシェアハウスは、アパートやマンションと同じように居室が各自専用の個室になっているのが特徴です。部屋には鍵をかけられるようになっているので、普段は他の住人と交流しつつ、プライベート空間もしっかりと確保したいという人に向いています。
加えて、1部屋を複数人でルームシェアする、セミプライベートタイプと呼ばれる半個室を備えたシェアハウスもあります。
【部屋】ドミトリータイプ
入居者数人で共有する相部屋タイプは、ドミトリータイプと呼ばれます。2段ベッドになっていることが多く、個人専用で使える空間は個人に割り当てられたベッドの上のみです。
ドミトリータイプは、シェアハウスのなかでも特に家賃が安いのが魅力。プライベート空間は確保しづらいですが、家賃をとにかく抑えたいという人に向いているでしょう。
シェアハウスのメリット・デメリット
通常のアパートやマンションと異なる特徴を持つシェアハウスですが、どのようなメリット・デメリットがあるのか具体的に見ていきましょう。
メリット1・住人同士の交流がある
住人同士で気軽に交流できるというのは、シェアハウスならではの大きな利点です。
1人暮らしだとふとした瞬間に孤独や不安を感じてしまうものですが、共用スペースに行けばいつでも他の住人と話せるので安心です。体調が良くないときや災害時でも、住人同士助け合いながら対処できる点もメリットといえます。
シェアハウスには、学生・社会人・外国人などさまざまな人が入居しています。普段の生活では関わらないような人と交流すれば、新たなビジネスチャンスにつながったり人脈が広がったりする可能性もあるでしょう。
最近では、音楽・自転車・スポーツなど職業や趣味を限定したシェアハウスも増えており、気の合う仲間を見つけられることから人気が高まっています。
メリット2・共用スペースが広い
1人暮らしだと、生活空間が狭くてゆったり過ごせないと感じる人もいるのではないでしょうか。シェアハウスであれば、共用の広いリビングでゆっくり寛いだり大画面のテレビを観たりといった具合に、1人暮らしでは実現できない過ごし方も可能です。
シアタールーム・音楽スタジオ・スポーツジムなど充実した共用スペースを備えているシェアハウスなら、家にいながら非日常的な時間も楽しめます。共用の家電や住宅設備にこだわっているシェアハウスもあり、1人暮らしだと高価で手が出ないような家電や設備を日ごろから使えるというのも魅力的です。
メリット3・費用を節約できる
シェアハウスにもさまざまなグレードがありますが、同じようなグレードのアパートやマンションに比べると、基本的に家賃や水光熱費はリーズナブルです。
水回りをはじめとした設備は共用であるものの、一般的な1人暮らしのものよりハイグレードな物件が多いので、コストパフォーマンスも高いといえるでしょう。
加えて、シェアハウスには最低限の家具や家電が備え付けられており、入居時・退去時のコストを抑えられるのもメリットです。
デメリット1・プライバシーが確保しにくい
シェアハウスでは他の住人と気軽に交流できる反面、プライバシーが確保しづらいというのはデメリットといえます。
個室タイプのシェアハウスであれば、鍵をかけて自分だけの時間を確保できるかもしれません。ですが、特にドミトリータイプのシェアハウスの場合には、完全なプライベート空間を確保するのは難しいでしょう。
また、リビングや水回りなどの共用スペースは独占して使うことができません。使いたいときに使えるとは限らないため、ストレスに感じてしまう可能性もあります。
デメリット2・住人同士のトラブルがあることも
一つ屋根の下で他人同士が共同生活を送るシェアハウスでは、住人同士で思わぬトラブルが発生することがあります。それぞれ生活リズムや趣味趣向が異なるため、価値観や考え方の違いをきっかけに人間関係が悪化してしまう可能性もあるでしょう。
よくあるトラブル要因としては、「他の住人の発する生活音がうるさい」「ゴミの出し方が悪い」「迷惑行為をする住人がいる」といったようなものが挙げられます。いずれも日々の生活のなかで繰り返されれば、大きなトラブルに発展しかねません。
シェアハウスで生活するにあたっては、価値観は十人十色であり自分の価値観がすべてではないことをつねに意識しましょう。問題が発生した際には、丁寧に話し合って解決する姿勢が必要となります。
まとめ
他の住人と気軽に交流できるシェアハウスには、通常のアパートやマンションにはない魅力があります。特に若い人、好奇心が旺盛で前向きな人、他人との交流を楽しめる社交的な人には向いているといえるでしょう。
デメリットもしっかりと理解したうえで、シェアハウスを住まいの選択肢の一つとして検討してみるのもよいのではないでしょうか。