小学生にかかる教育費はどのくらい? 公立・私立でどのくらい違うの?

春は入学・進学の季節ですね。新学年に希望いっぱいの子どもたちを見ると、「いずれはうちの子も…」と、学校生活や塾、習い事に頑張るわが子の姿を思い描きつつ、これからかかる教育費について気になる方もおられるのではないでしょうか。今回は「小学校でかかる教育費」について、文部科学省の調査データをみながら考えてみましょう。

公立・私立の学習費の差が最も大きいのは小学校

幼稚園から高校までの学校・学校外教育費について調査した文部科学省の令和3年度の「子供の学習費調査」によると、小学校の学習費でまず目につくのは、公立・私立でかかる学習費の違いの大きさです。公私比率は、中学校は2.7倍、高校は2.1倍ですが、小学校は4.7倍にもなります(表1)。

幼稚園~高校までの学習費総額
※令和3年度の年額である  ※「公私比率」は、各学校種の公立学校を1とした場合の比率である
文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査 調査結果の概要『学校種別の公私比較』」より

さらに、小学校の学習費の内訳(学校教育費・学校給食費・学校外活動費)についてみてみると、学校教育費は、公立は6万5,974円、私立は96万1,013円と、私立は公立の14.6倍の費用負担です。学校外活動費も2.7倍と私立のほうが多いですが、学校教育費ほどの差ではありません(表2)。

学習費総額の構成と公私比率
※令和3年度の年額である ※「公私比率」は、各学校種の公立学校を1とした場合の比率である
文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査 調査結果の概要『学校種別の公私比較』」より

日本では、小・中学校の9年間は義務教育期間とされ、国公立の義務教育の学校における授業料は徴収されません。したがって、公立小学校の学校教育費負担は軽いものになっており、授業料が徴収される私立小学校とでは、費用負担の差が大きくなるのでしょう。

私立は授業料負担が重く、通学費用も大きい

学校教育費の支出内容について、公立と私立を比べてみてみましょう(表3)。

小学校の学校教育費の支出構成
文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査 調査結果の概要『小学校の学校教育費の支出構成』」より

まず、目に付くのは「授業料」の項目。公立小学校の授業料は無料ですが、私立の場合、年間で53万円あまりを支払うことになります。さらに、私立は入学金等もかかり、自宅から学校まで距離のある場合が多いので、通学関係費も公立の5倍ほどの数字になっています。

私立進学を考える場合は、交通費負担も考えておく必要があります。安全上の理由等で送迎が必要になる場合もあるので、費用面や送迎が可能かどうか、所要時間はどのくらいかなども、検討しておく必要があるでしょう。
 
公立小学校の場合は、授業料がかからないため学校教育費負担は年間約6.5万円と少なく、構成比でみると、学校外活動費の割合が70.2%と多くを占めています。公立小学校に進学した場合、小学校時代の教育費負担はどのような学校外活動を行うかで大きく変わりそうです。

「学校外活動費」のうち、「補助学習費」は学年が上がるほど高く

学校外活動費(塾や家庭教師などの補助学習費、習い事・スポーツ活動などのその他の学校外活動費)の支出についてもみてみましょう(表4)。

学年別学校外活動費
※( )内は学校外活動費に占める割合(構成比)である
文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査 調査結果の概要『男女別・学年別学校外活動費』」より

平均額でみると、補助学習費もその他の学校外活動費も、私立のほうが支出額が大きくなっています。月額にすると、公立の場合は2万円くらい、私立の場合は5.5万円くらい、学校外での教育費支出があるようです。

また、学年ごとの違いをみてみると、公立・私立とも、低学年のうちは習い事などの「その他の学校外活動費」の支出が大きくなっていますが、学年が上がるにつれて補助学習費の支出額が大きくなります。5,6年生になると、その他の学校外活動費の支出額は減って、補助学習費はさらに増加。習い事等をやめて塾等の補助学習にお金をかける家庭が増えるということでしょう。

1年生と6年生では学校外活動費に大きな差があることも注目しておきたいところです。公立は、1年生の時は約21万円、6年生で約30万円と9万円近く差があります。私立では、1年生は約63万円、6年生は約75万円とこちらは約12万円の差。1年生から6年生まで成長の幅の大きい小学校時代には、習い事のレベルが高くなって月謝が高くなったり、学習の比重が増えて塾に通うようになったり、子どもの成長や興味、生活の変化に応じて教育費負担増の可能性があることも考えておく必要がありますね。

将来の教育費負担も考えて、小学校の教育資金準備を

小学校は、公立と私立の教育費負担の差が最も大きい時期にあたります。小学校は6年間と中学・高校に比べて期間も長く、さらに小学校卒業後も中・高・大学等の教育費負担が続きます。6年間払い続けられるか、小学校卒業後の教育費負担に耐えられるか、私立小学校への進学は費用の面からも、慎重な検討が必要になるでしょう。
 
また、学校外活動費も、教育費の中で大きな割合を占めます。いろいろな可能性を伸ばしてあげたいと、習い事などをむやみに増やして家計負担が重くなると、将来の進学資金の捻出が難しくなる可能性もあります。子どもの関心が低い習い事や、期待した効果が上がらない塾等は随時見直して、子どもの興味・関心、能力を伸ばし、費用の面でも無理のない、効果的な「学校外活動」を応援できるといいですね。

なお、学校や塾、習い事等でかかる費用は個々に異なります。進学先や教室などの候補が出てきたら、資料を集めホームページなどもチェックして、具体的な指導内容・学費・月謝等の情報を集めて比較検討しておくと良いでしょう。

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