県民共済とは? 生命保険や医療保険との違い、メリット・デメリットを解説!

県民共済とは、非営利団体の生活協同組合が提供、運営している保障サービスのことです。県民共済をはじめとする都道府県民共済は、消費生活協同組合法に基づき全国47の各都道府県で共済事業を実施しています。

県民共済は営利目的ではないため、割安な掛け金で一定の保障が受けられることが特徴です。この記事では、県民共済と保険の違いや県民共済のメリット・デメリットについて解説します。

県民共済とは

共済とは、入院やケガ、死亡など生活上のさまざまなリスクに対応するため、共済に加入する組合員が一定の掛け金を出し合い、不測の事態が生じたときに共済金を出すことで助け合う仕組みのことです。

生活協同組合が提供する県民共済以外にも、農協や漁協、労働組合などさまざまな団体が共済事業を行っています。県民共済は、県内在住または県内に職場のある人が対象であり、組合が定める条件に該当する人が加入できます。

県民共済のほかに、東京は都民共済、大阪と京都は府民共済、北海道は道民共済があり、それぞれの都道府県内に在住または職場のある人やその家族が対象となっています。

県民共済と生命保険や医療保険との違い

県民共済などの共済事業と、民間の会社による営利目的の保険事業とは、根拠となる法令や監督官庁が異なります。

県民共済は消費生活協同組合法に基づき運営され、監督官庁となるのが厚生労働省です。一方、生命保険や医療保険などを扱う保険会社は、金融庁の監督のもと保険業法に基づき事業を行っています。

また、県民共済は営利目的ではなく、あくまでも組合員相互の助け合いが目的であり、原則として組合員とその家族が加入対象です。一方で、保険は不特定多数の人を対象としている点も異なります。

県民共済の特徴

県民共済は、年齢ごとに決められたコースに加入することができます。保険期間は、0~17歳、18~64歳、65~85歳までの三つがあります。掛け金は、年齢や性別、健康状態に関係なく一律で、年齢が上がっても掛け金が変わらないことが特徴です。

加入できる年齢の上限は69歳で、それまでに加入すれば85歳まで保障が受けられます。また、加入時の健康告知が民間の保険よりも緩やかな点も県民共済の大きな特徴です。既往症や持病があっても加入しやすく、民間の保険会社の審査で断られた人も加入できる可能性があります。

さらに、県民共済では毎年の決算ごとに、剰余金を割戻金という形で組合員に返還しています。割戻金は年ごとに異なり必ず受け取れるものではありません。しかし、割戻金を受け取れた場合、実質月々の掛け金がさらに安くなるため、かなりお得に感じられるでしょう。

県民共済の種類

こども型は、0歳から17歳までの子どもの病気やケガによる入院や通院、後遺障害、死亡・重度障害などをカバーする保険です。第三者への損害賠償や契約者の死亡保障も付帯しています。こども1型とこども2型は、それぞれ保障内容と掛け金が異なるコースです。保障期間は18歳までで、その後は自動的に総合保障1型または2型に継続されます。

総合保障型は、18歳から64歳までの方を対象とした保険です。病気やケガによる入院、通院、後遺障害、死亡・重度障害までバランスよく保障を備えています。総合保障には、1型・2型と4型があり、それぞれ掛け金と保障が異なるコースです。保障期間は65歳までで、その後は熟年型に自動継続されます。

65歳から69歳の人向けの保険が熟年型で、85歳まで保障が受けられます。主な保障は、病気やケガによる入院、後遺障害、死亡・重度障害などです。総合保障型に比べて保障が小さく、70歳以降はさらに2段階に分けて小さくなっていきます。

そのほかにも、入院保障型、熟年入院型、入院特約、三大疾病特約、女性医療特約、生命特約、こども医療特約、個人賠償責任保険、などの保障や特約の制度もあります。

県民共済のメリット

県民共済には、どのようなメリットがあるのか紹介します。

掛け金が割安に設定されている
県民共済は営利目的ではなく組合員同士がお互いを助け合う相互扶助の精神で発足した機関です。そのため、毎月の掛け金が割安に設定されている点に大きなメリットを感じている人も多いでしょう。

組合員が支払う掛け金は、1,000円から2,000円程度が一般的です。また、加入する際の年齢や性別に関係なく、掛け金が一律になっているため、誰でも気軽に加入でき、安心して保障を受けられる点も多くの方から支持されています。

割戻金が受け取れる可能性がある
県民共済は、事業年度ごとに決算を行い、毎年3月の決算で剰余金が出た場合は割戻金として組合員に返戻される仕組みです。4月から翌年3月までの1年間に支払った掛け金に割戻率を乗じて算出し、指定口座に振り込まれます。

必ず割戻金が受け取れるわけではありませんが、例年ほとんどの都道府県で割戻金は発生しています。それぞれの県民共済のホームページで決算報告や割戻金が公開されているので確認してみるとよいでしょう。

保障の仕組みがわかりやすい
県民共済は、医療保険と死亡保障を組み合わせた保険商品であり、民間の保険商品に比べてシンプルでわかりやすい仕組みが特徴です。基本の共済に加えて、三大疾病や女性医療特約、こども医療特約などを付加することができ、より幅広い保障を受けることができます。

また、死亡保障をより手厚くしたい場合には、生命特約を付加することも可能です。これらの特約に加入することで、必要に応じて自分に合った保障内容を選べます。

県民共済のデメリット

県民共済が民間の保険と比べてデメリットと感じられる部分はどのようなところでしょうか。以下に、県民共済のデメリットを解説します。

高額な死亡保障は設定できない
県民共済の死亡保障の給付金額は、民間の保険会社の死亡保障に比べれば低いといわざるを得ません。共済によっても異なりますが、生命特約を付加した場合でも、病死の場合はおおよそ1,000万円、事故の場合でおおよそ1,500万円が上限となります。

一方、民間の保険には被保険者の年収や年齢、職業、保険商品などによって上限があるものの、数千万円以上の死亡保障を設定することも可能です。そのため、民間の保険のほうが、残された家族が十分な保障を得られる可能性があります。

保険期間に年齢制限がある
県民共済では保障期間が85歳までとなっています。そのため、85歳を超えると一切の保障が受けられなくなります。病気やケガで通院や入院しやすい高齢層になったときに、入院や死亡時も給付金をあてにすることはできません。

一方で、民間の保険には死亡保障が一生涯続く終身保険があります。終身保険には解約返戻金があり、貯蓄を兼ねることもできます。生涯にわたって保障を受けたい場合には、県民共済の加入だけでは心もとないといえるでしょう。

年齢が上がると保障内容が薄くなる
県民共済の保険期間は85歳までですが、70歳以降は段階的に保障が減額されていきます。60歳までなら保障は満額受け取れますが、それ以降は入院、重度障害や死亡時の保障額が少なくなります。

長期的に手厚い補障を受けたい場合は、65歳からの熟年型コースの保障内容と保障額および特約などをよく確認したうえで、ふさわしいプランを検討したほうがよいでしょう。保障を手厚くするためには月々の掛け金をアップする必要があります。

まとめ

県民共済は、リーズナブルな掛け金で一定の保障が受けられる制度です。数多くある民間の保険に比べて共済の仕組みやコース内容がわかりやすく、基本コースで足りない部分を特約でカバーすることもできます。割戻金もあるため、実質月々の掛け金がさらに安くなるのも魅力です。

一方で、高齢になると保障が薄くなり、保障の上限が低くなるなどのデメリットもあります。高齢になっても手厚い保障が必要な場合や、死亡保障をより手厚くしたい場合は、民間の保険と比較したうえで自分や家族にとって最善の方法を検討してください。

~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア