「お小遣い」というと、子どもが親からもらうお金、というイメージがあるかもしれません。しかし、大人でも自由に使えるお金はお小遣い制にしている家庭があります。
夫婦で家計管理をする際に、お小遣い制を導入すべきかどうかで迷っている人もいるでしょう。また、すでにお小遣い制を導入しているものの、ほかの家庭の家計管理が気になる人もいるかもしれません。
本記事では、夫婦のお小遣い制の実態について紹介します。
夫婦のお小遣いの実態
夫婦のお小遣いの実態について、保険マンモス株式会社が20~60代の既婚女性300人を対象に行ったアンケート調査を基に紹介します。
お小遣い制を導入している夫婦
「お小遣い制を導入しているか」の問いに対しては、下表のような結果になりました。
調査結果より、お小遣い制を採用している夫婦は300人中167人で、全体の約56%を占めていることがわかります。
夫婦別お小遣いの平均額
同アンケートでは、月々のお小遣いの平均額についての設問もあります。回答結果から算出された1ヶ月の夫婦のお小遣いの平均額は、下表の通りです。
調査結果から、夫のお小遣い額は1万~4万円が多いのに対し、妻が自由に使えるお金は特に決めていない夫婦が多いことがわかります。
同調査には「家計の管理者は誰か」の問いもあり、「自分(妻)」と回答した人は約6割でした。このことから、妻は月のお小遣い額を決めずに、家計の状況に応じて自分で自由に使える金額を調整していることがうかがえます。
夫婦でお小遣い制を導入するメリット
夫婦でお小遣い制を導入することで得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。お小遣い制のメリットを紹介します。
使いすぎないで済む
趣味が多い人や、交際範囲が広い人などは何かと出費が重なりがちです。しかし、お小遣い制にすると、毎月使える金額が定額になります。
使える金額が決まっていると、おのずとやりたいことに優先順位を付けるため、自分にとって本当に大事なことが見えてきます。お金の使い方にもメリハリが付けられるようになるでしょう。
お小遣い制はムダな出費を抑えるのに有効であるだけでなく、価値観やライフスタイルを見直す機会になるかもしれません。
家計管理がしやすい
定額のお小遣い制は、あらかじめ使用する金額がわかっているため、家計管理がしやすいというメリットもあります。定額のお小遣い制ではない場合、収入から生活費を差し引いて、余った分をお小遣いにする、といった方法もあります。
この方法は、生活費を上手にやりくりすればお小遣いを増やせるので、節約のモチベーションアップにつながるかもしれません。ただし、子どもの入学時期や新学期、年末年始など出費がかさむ月にはお小遣いどころではなくなってしまうこともあるでしょう。
お小遣い制であれば、先々の計画も立てやすくなり、必要な額を確保しやすくなります。
夫婦でお小遣い制を導入するデメリット
夫婦でお小遣い制を導入する際には、デメリットについても知っておいた方がよいでしょう。以下にデメリットを紹介します。
モチベーション低下
お小遣い制の場合は、どんなに頑張って働いたとしても、自分が自由に使えるお金が増えるわけではありません。先の調査ではお小遣い制を採用している夫のうち、お小遣いに「昼食代が含まれている」と回答した人が全体の47%にのぼっていたことからも、お小遣い事情はなかなか厳しそうです。
お小遣いがいつも不足気味で不満を募らせている状態では、生活に潤いや張りが失われてしまいます。仕事や昇給へのモチベーションが低下してしまうと、成果をあげることは難しく、出世が望めないだけでなく降格して減給になってしまう可能性すらあります。
お互いのストレスになる可能性がある
お小遣い制が、夫婦それぞれにとってストレスになる場合もあります。どちらか一方が家計を管理して、お小遣いの金額を設定している場合などは、金額を決める側、決められる側で感じ方が異なります。
家計を管理する側が、ギリギリの家計からなんとかお小遣いを捻出して渡しているのに、受け取る側は足りないと感じ、不満に思うケースもあるでしょう。また、家計を管理する側は常に生活費のやりくりで頭を悩ませることになりますが、管理を任せる側は家計への関心が薄れがちになります。
家計を一つにする夫婦にとって、どちらか一方に負担やストレスがかかりすぎると関係が破綻しかねません。双方にとってストレスのない持続可能な管理方法を見いだす必要があります。
お小遣い制ルールづくりのコツ
夫婦でもめることなく、スムーズにお小遣い制を導入するにはどのようにしたらよいのでしょうか。お小遣い制を導入するためのコツを解説します。
どこまでお小遣いで支払うのか事前に決める
お小遣い制を導入する際は、夫婦で事前にお小遣いに関するルールを決めておきましょう。まずは、家計で支払うべきものと、お小遣いで支払うべきものの範囲を決めることが大切です。
昼食費や子どもに関する費用は毎日積み重なる出費であり、月単位でみると大きな額になります。支払いは家計か、お小遣いかを曖昧にしたままにしておくと、お互いにストレスがたまります。
また、家族旅行やレジャー、外食など家族で楽しむ際の出費も、曖昧にせずにあらかじめ取り決めておきましょう。ルールさえ決めておけば、無理のない範囲でレジャーを楽しむことができますし、支払いについて心配せずに済みます。
金額はお互い納得できる額にする
次に、お小遣いの金額の決め方についてですが、夫婦ともに納得できる金額に設定することが重要です。お小遣いの金額は高すぎると家計を圧迫しますが、少なすぎたり、どちらか一方が我慢を強いられたりするとストレスになります。
金額を決める際は世帯収入の何%にする、ボーナス月は普段のお小遣いにボーナス額の数%を上乗せする、などそれぞれの家庭の収入状況に応じて無理のない金額にしましょう。家計の支出と収入を明確にし、貯蓄や家族の行事など先々に必要な出費についても話し合っておくと、おのずとお小遣いの金額も決まってくるでしょう。
使い道に口を出しすぎない
それぞれのお小遣いの金額を決めたら、使い道については口出ししすぎないようにすることも、お小遣い制を成功させるための大事なポイントです。お小遣いの範囲内の出費であるならば、ムダ遣いにしか思えないような使い方をしていたとしても、黙認するようにしましょう。
時には予期せぬ出費でお小遣いでは賄いきれない事態が生じることもあるかもしれません。そのような事態は夫婦どちらにも起こり得ることなので、あらかじめ予備費をプールして不測の事態に備えたり、生活費の一部を削ったりするなど、臨機応変に対応できるようにしておきましょう。
ただし、たびたびお小遣い額を超えて使用してしまうような場合は、夫婦で話し合いながら原因を見極めて対策を講じる必要があるでしょう。
お互い家計の状況を把握する
家計を管理するうえで、夫婦のどちらか一方が管理するのは合理的かもしれませんが、任せきりにしすぎるのは問題です。家計の状況を把握していなければ、お小遣いの金額が妥当かどうかを判断するのは難しくなります。
日々の生活の中では、つい目先のお金のやりくりに追われてしまいがちです。しかし、住宅購入費や子どもの学費など、将来的に必要になりそうなお金のこともしっかり考えておく必要があります。いざというときや将来のための貯金についても、夫婦で話し合っておきましょう。
まとめ
本記事で参照したアンケートによると、家計管理でお小遣い制を導入している夫婦は約半数です。お小遣い制は、家計管理がしやすくなり、ムダ遣いが抑えられる一方、仕事へのモチベーションが上がりにくくなるなどのデメリットもあります。
家計は夫婦にとっての生活基盤であり、将来を左右しかねないものです。どちらか一方に任せきりにすることなく、お互い納得できるルールづくりを心がけましょう。