公共交通機関が発達していない地域などでは、車は生活のために欠かせないものです。しかし、車を所有した際にかかる維持費は、できるだけ安く抑えたいという人も多いのではないでしょうか。今回は、車の年間維持費やその内訳、安くする方法などを解説していきます。
車は生活に欠かせないもの
都市部以外の地域では、車がなければ買い物や通院が難しいケースも少なくありません。実際、一般財団法人自動車検査登録情報協会の「わが国の自動車保有動向(2022年3月末現在)」によると、自家用乗用車の1世帯あたりの保有台数は1.032台となっています。東京や大阪、神奈川などの大都市を含む地域では保有台数が少ないものの、ほとんどの地域では、1世帯あたり1台以上の車を保有していることがわかります。
都道府県別の自家用乗用車の普及状況(上位5位と下位5位)は次のとおりです。
車の維持費とは
車を保有すると、さまざまな費用がかかります。ここでは車にかかる税金、車検代、保険料、ガソリン代、メンテナンス費用について項目別に解説します。車を維持するための費用について理解を深めていきましょう。
税金
主な車の税金には次の4種類があります。
・自動車税/軽自動車税
4月1日時点の車の所有者に対して1年に1回かかる税金です。排気量に応じて課税されます。2019年9月以前に車を購入した場合は旧税額、2019年10月以降に車を購入した場合は新税額となります。
・自動車重量税
車検のタイミングでかかる税金です。車の重さに応じて課税されます。税額は車を購入してからの経過年数によって異なります。
・環境性能割
車の購入時にかかる税金です。車の燃費基準達成度に応じて課税されます。
・消費税
車やカー用品に限らず、モノやサービスを買った場合に必ずかかる税金です。2023年2月現在の税率は10%です。
このうち、車の維持にかかる税金は消費税/自動車税/軽自動車税と自動車重量税です。
車検代
車検代には法定費用と車検基本料金の2種類があります。
・法定費用
税金や保険料といった最低限必要な費用です。加入が義務づけられている自賠責保険の保険料や、車検時の手数料として支払う印紙代に加え、前述した自動車重量税も法定費用に含まれます。
・車検基本料金
車検を受ける際に、お店に支払う費用です。車検を受けられるお店にはディーラー、車検専門店、ガソリンスタンド、カー用品店があります。車検基本料金には、車の基本点検技術料、整備技術料、代行手数料などが含まれます。
車検代は車種、初年度登録からの経過年数、車の状態、お店によっても異なりますが、普通自動車で10万円前後の費用を見込む必要があります。
保険料
保険料には自賠責保険と任意保険の2種類があります。
・自賠責保険
前述した法定費用に含まれる保険です。車検時に支払わなければなりません。障害、死亡、後遺障害といった対人事故に関して、一定の範囲内で保険金が支払われます。運転者自身のけがや、対物事故を起こした場合の補償はありません。
・任意保険
自賠責保険でカバーできない部分を補うため、任意で加入する保険です。対人事故で自賠責保険の補償金額を超える部分や、運転者自身のけが、対物事故などを補償します。自賠責保険のように強制加入ではありませんが、加入率は高いようです。
なお、任意保険は補償内容や車種などによって保険料が異なります。
ガソリン代
ガソリン代は車の燃費や走行距離によって変わります。また、ガソリン価格によっても増減があります。
総務省統計局が2021年に行った家計調査によると、二人以上世帯のガソリン代は年間平均で59,446円、月額5,000円程度となっています。この金額はガソリン価格が約146円のときの価格なので、高騰すればするほどガソリン代は高くなります。
メンテナンス費用
車を所有するとメンテナンス費用もかかります。主な項目の頻度と費用は以下のとおりです。
・洗車
頻度は月1~2回。費用はガソリンスタンドの手洗い洗車で2,500円~5,000円。自分で手洗いする場合は1,000円以下で抑えられます。
・エンジンオイルの交換
頻度は半年に1回で、エンジンオイルを交換するタイミングでオイルフィルターも取り換えます。費用は車種やエンジンオイルの種類によって変わりますが、オイルフィルターの交換と工賃を含めて3,000~10,000円程度が目安です。
・タイヤ交換
主にスリップサインが出たタイミングで交換します。費用はタイヤ4本で数万円~10万円以上と幅があります。
・ブレーキオイルの交換
車検のタイミングで交換します。費用は3,000円前後です。
・エアクリーナーの交換
走行距離2万km~3万kmが交換の目安です。費用は5,000円前後です。
車の年間維持費はいくらかかる?
車の年間維持費は車種によっても異なります。それぞれの費用の目安は次のとおりです。
上記のほかに、必要に応じて任意保険料やメンテナンス費用、駐車場代がかかります。
車の維持費を安く抑えるには?
車の維持費を安く抑える方法を紹介します。軽自動車やコンパクトカーを選ぶことで、ほかのクラスの車よりも税金や車検代などが安くなるため、維持費を抑えられます。また、燃費がよい車種を選んだり、セルフ式のガソリンスタンドで給油したりすることでガソリン代を節約できるでしょう。任意保険は加入している保険会社や補償内容によって料金が変わるため、保険会社や補償内容を比較してみてください。
また、車を所有せずにカーリースやカーシェアリングを利用する方法もあります。必要なときだけ車を使えるため、効率よく車にかかる費用を抑えられます。ほかにも、徒歩で行ける距離は車を使わないなど、移動方法を見直すことで維持費を節約できるので検討してみてください。
まとめ
車を保有すると、税金や車検代、メンテナンス費用、ガソリン代などさまざまな費用がかかります。車種や走行距離などによっても変わりますが、安くても年間20万円以上の費用が必要です。車の維持費を抑えるなら、軽自動車やコンパクトカーなど維持費の安い車を選ぶことをおすすめします。また、車の利用頻度が少ない場合は、購入せずにカーリースやカーシェアリングを利用するのもおすすめです。