【本当に住みやすい街大賞2023】第10位鶴ケ峰:都市の暮らしと豊かな自然、人のあたたかさも心地よい街~旭区 権藤由紀子区長に聞く~

2022年12月15日に開催された「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2023」。1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の中で「本当に住みやすい街」TOP10を発表するなか、横浜市旭区の鶴ケ峰(相模鉄道本線)が第10位にランクインしました。そこで、旭区の権藤由紀子区長に、受賞した思いや旭区の魅力、行政としての取り組みなどについてお話を聞きました。

旭区長 権藤 由紀子(ごんどう ゆきこ)さん
横浜市出身。1988年に横浜市職員となり、市民活動支援や地域まちづくり等に従事し、政策局政策調査担当部長、文化観光局文化芸術創造都市推進部長などを経て、2021年4月より現職。

※撮影時のみマスクを外しています

初めてのランクインに、地域の皆さまだけでなく他区からも大きな反響

権藤区長
本当に住みやすい街大賞2023の受賞を知り「驚くと同時に嬉しかった」と笑顔の権藤区長

―まずは、今回の受賞に対する率直な感想をお聞かせください

これまで、旭区内の街がこうした表彰を受ける機会がほとんどありませんでした。大変驚くとともに、2022年はまちづくりや歴史に基づく街の魅力の発信など、コロナ禍でありながら活発に動けた年でしたので、ご褒美の受賞であると感じましたし、「地域の皆さまに喜んでいただける」と嬉しくなりました。
月に1回、鶴ケ峰駅周辺を地域の皆さまと区役所の職員で清掃活動を行っているのですが、こちらから何も言わなくても受賞をご存じで、反響の大きさを感じました。そして、旭区民の皆さまはもちろんのこと、横浜市には18の区がありますが、他の区の方々からも「すごいね」「旭区は今、乗ってるね」と声をかけていただく機会が多く、ありがたいと感じています。

―発展性が評価されての受賞でしたが、どのように感じていますか?

2019年に相鉄・JR直通線が開業し、鶴ケ峰駅は相模鉄道本線の通勤特急や通勤急行の停車駅になりました。また、2023年3月18日には相鉄・東急直通線が開業します。そして、旭区民にとっては長年の悲願だった、相鉄線の地下化「相模鉄道本線(鶴ケ峰駅付近)連続立体交差事業」も始まります。実現すれば10個の踏切がなくなりますので、線路による分断が解消され、周辺の混雑が緩和する見込みです。10個の踏切のうち9個はいわゆる「開かずの踏切」でしたが、これらが廃止となることでお子さまの通学路や緊急車両の問題も解決し、街が大きく変わり、活性化が見込まれます。そういったところが評価されたのだと感じています。

地域の皆さまの声に耳を傾けながら、誰もが暮らしやすい街に

権藤区長
「区と地域の皆さまが両輪となり、さまざまな団体や企業にも協力してもらいながらまちづくりを進めています」と権藤区長

―駅周辺の再開発の他に、行政としてどのようなことに取り組んできましたか?

小さなお子さんも、高齢者も、障害のある方も「誰もが暮らしやすいまちづくり」を目指し、さまざまな取り組みを行っています。
例えば、子育て支援の取り組みとしては、区の地域子育て支援拠点として2022年3月、鶴ケ峰に新しい「ひなたぼっこサテライト」をオープン。就学前の子どもたちと保護者がいつでも遊びに来られて、何かあったときに相談することができます。子育て情報の収集や交流の場としても活用していただけるスペースです。
高齢者支援に関しては、「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。事業者や医師会など、様々な関係機関と連携を取りながら、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるように支援しています。また、支援されるだけでなく、元気で活発な方も多いため、高齢者の方をはじめ様々な世代の方による地域活動をサポートする取り組みも行っています。子どもたちがと一緒に自然と触れ合ったり、農体験をしたりするなど、多世代が交流できる活動や行事が活発なことも、旭区の大きな特徴です。

区としての取り組みはもちろん、商店街をはじめとする地域の皆さまが、暮らしやすくするためにできることを自主的に考え、新しいことをやってみたい人がいれば後押しをしたいと考える方が多くいらっしゃる、人と人とのあたたかいつながりがあるエリアです。区としては、地域住民の声に耳を傾け、何が必要なのか知った上で、行政として支援できることを提案しています。一例として、地域活動のスタートアップを応援するための講座「あさひみらい塾」や最大5万円を補助する「あさひのつながり応援補助金」といった支援制度を設けています。

―地域住民の意見や要望を知るために行っている取り組みは?

旭区の人口は約24万人で、約240の自治会・町内会があります。それらが19のエリアに分かれて「連合町内会自治会」として活動し、毎月エリアごとに定例会を実施しています。そこに区役所の担当者が必ず出向き、ご意見やご要望を伺ったり、区役所の持つ情報をお伝えする場としています。私も参加するタウンミーティングでは、一方的に区の施策等をご説明するのではなく、「旭区をどうしていきたいのか」区民の皆さまのお考えを知るため、フラットに意見交換話する場を設けるようにしています。

多様な人が多様な活動を継続。未来に向けたまちづくり

権藤区長
「旭区は豊かな自然があり、農作業の体験や地産地消を実践できるエリア。よい環境を残しつつ、持続可能な暮らしができる未来を見据えたまちづくりを進めていきたい」と権藤区長

―区と住民が一体となって取り組んでいる、具体的な取り組みを教えてください

旭区の特徴的な取り組みに、大規模団地再生に向けたチャレンジがあります。1960年代に開発された左近山団地では、高齢化や人口減少により、空き家の増加などが予想されるなか、旭区と横浜市内の大学、UR都市機構、地域が連携した取り組みを進めています。そのうちのひとつが、大学生が実際に左近山団地に住むプロジェクトです。地域の皆さまからは「学生さんがいてくれるだけで元気がもらえる」とおっしゃっていただき、学生の皆さんは団地で生まれ育った人たちと関わりながらイベントを企画するなど積極的に地域活動を行い、貴重な実地体験となっているようです。「こんな催しを開催したい」「こういう居場所が欲しい」といった要望が出る度に多くの方が関わり、人のつながりが拡がる好循環が生まれています。

―次世代につながる、持続可能な取り組みですね

旭区では、早くからSDGsに取り組んできました。旭区が住宅地として開発された当時に転入し、共に子育てをしながら地域活動を支えてくださった皆さまの高齢化が進んでいます。さまざまな課題が出てくる中で、いかに今ある資源を活かしながら持続可能な取り組みを行うか。50年後・100年後を見据え、区役所と住民が手を取り合い、共通の目標をもって課題を解決し、持続可能な地域づくりを進めています。

以前は多くの働く方にとって、旭区は東京都内や横浜都心部のベッドタウンでした。しかし、コロナ禍の生活となり、テレワークなど働き方が多様化したことで、「働きに出て、寝るために帰るだけの場所」ではなくなり、「身近な地域でコミュニティ活動を始めてみたい」「趣味を活かして子ども向けに活動をしてみよう」「特技を生かしてコミュニティビジネスを始めてみたい」と考える方が増えました。リタイアした方も、地域に目を向けてくれています。多様な人が多様な活動を継続することで、身近なところに居場所ができ、人とのつながりが生まれます。そうした動きを区としても積極的にサポートすることが、郊外のまちづくりとして大切だと考えています。

豊かな自然はそのままに、再開発でより住みやすい街へ

写真キャプション:旭区マスコットキャラクター「あさひくん」と権藤区長
旭区マスコットキャラクター「あさひくん」と権藤区長

―旭区民に人気の、おすすめスポットを教えてください

国内でも最大級の動物園「よこはま動物園ズーラシア」や、隣接する大花壇「里山ガーデン」など、緑豊かで子どもも大人も楽しめるスポットもたくさんあります。
そして、旭区には地元の皆様に愛される素敵な公園がたくさんあり、それらの公園の清掃などを行う地域のボランティア団体である「公園愛護会」の活動も盛んです。先日、そのひとつ「大原西公園愛護会」が、まちぐるみの活動が評価され、横浜市初となる国の緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰を受賞されました。地域の皆さまが慈しみ、大切に手入れをしてくれた場所が、子どもにとっての遊び場であり、地域の皆さまの交流と体験の場となっています。

また、旭区は2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK)で話題となった武将・畠山重忠公ゆかりの地としても、注目を集めています。区役所のすぐ裏にある「首塚」をはじめ、区内には重忠公ゆかりの史跡が数多くあるのですが、亡くなってから800年以上がたった今も、地域の皆さまが日々掃き清め花を手向け、命日には多くの方が集い弔いを続けています。1時間程度でゆかりの地を巡ることができますので、今後も多くの方に訪れていただきたいですね。

―権藤区長がお気に入りのスポットはありますか?

横浜港へ注ぐ帷子川(かたびらがわ)は源流が旭区にあり、シーズンになると鮎の遡上や蛍の姿を見ることもできます。区民の皆さまにとってとても身近な存在である「帷子川親水緑道」は絶好の散歩コースです。夕方に緑道を歩いていると、小学生が川遊びをしている傍らで、中高生たちがおしゃべりに興じ、小さな子ども連れのパパママや、シニアの方々がのんびりとお散歩をしているような、年代を問わず楽しめる素敵な場所です。私も四季折々に立ち寄る、大好きな場所です。
また、旭区には農家の方の直売所がいくつもあり、旭区役所でも旭区産の農産物をお買い求めいただける朝市を月1回実施しています。野菜や果物も新鮮でとてもおいしく、地域の皆さまに人気なのはもちろん、私も楽しみにしています。

―最後に、引っ越し先を探している人や検討中の人に向けてメッセージをお願いします

旭区では、2027年に横浜初の万博「国際園芸博覧会」の開催も予定されており、鶴ケ峰周辺はもちろん、区内各所で未来に向けたまちづくりがどんどん進んでいき、今まで以上に住みやすい街になっていきます。
最近、鶴ケ峰に越してこられた方にその理由を伺うと、「買い物をする場所も、学校も、病院も、いざというとき介護を受ける環境も整っている」といった利便性で選ばれていることが多いのですが、「実際に暮らしてみてよかったのは、人の温もりの素晴らしさだ」とおっしゃいます。そして、自分で何か始めたいと思ったときの相談窓口や講座なども充実していることから、「引っ越してよかった」と感じていただけるようです。皆さまも是非、旭区で暮らしてみませんか。魅力いっぱいの旭区にこれからもご注目ください。

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