住まいに関する補助金制度は毎年改定が行われているため、過去には活用できたものの、現在では終了している制度も少なくありません。すでに募集が終了している補助金制度の具体例として、すまい給付金・グリーン住宅ポイント制度・こどもみらい住宅支援事業などが挙げられます。
この記事では、2023年度以降に住宅購入を予定している人に向けて、2023年4月以降も住宅購入時に活用できる補助金や減税措置の制度について解説するとともに、2023年新たに始動する「こどもエコすまい支援事業」についても詳しく紹介していきます。
2023年4月以降も利用できる! 住宅購入時に活用したい補助金とは?
住宅購入時に活用できる補助金のうち、2023年4月以降も利用できる制度、および2023年に入ってから追加募集があり継続が予定されている制度について紹介していきます。ここで取り上げるのは次の四つの制度です。
● こどもエコすまい支援事業(新規)
● ZEH支援事業(継続予定)
● LCCM住宅整備推進事業(継続予定)
● 地域型住宅グリーン化事業(継続予定)
こどもエコすまい支援事業
2023年新たに始動する「こどもエコすまい支援事業」は、子育て世帯(2004年4月2日以降に生まれた子どものいる世帯)や若者夫婦世帯(申請時点で夫婦であり、2022年4月1日時点でどちらかが39歳以下の世帯)などによる、省エネ住宅の取得や省エネ住宅改修に対する支援を目的とした補助金制度です。
子育て世帯や若者夫婦世帯はエネルギー価格高騰の影響を特に受けやすく、本補助金制度によってこれらの世帯の省エネ投資を後押しすることにより、2050年カーボンニュートラルを実現していくというのが目標に掲げられています。
補助対象事業や条件、補助金額などを表で見てみましょう。
(継続予定)ZEH支援事業
ZEH(ゼッチ:net Zero Energy House)とは、消費エネルギー以上のエネルギーを生産することにより、全体でのエネルギー収支がゼロ以下となる家のことを指します。高い省エネ性能を誇るZEHの普及を図るため、2023年度も国で予算化されているのが「ZEH支援事業」です。
ZEHで活用できる補助金制度と利用上の注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
2022年度については、2023年2月13日〜3月17日の間で追加公募が行われています。2023年度についても予算化されていますが、2023年2月時点で公募時期については未発表です。
(継続予定)LCCM住宅整備推進事業
建築〜解体・再利用などまでのライフサイクル全体でのCO2排出量をマイナスにする住宅を、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅と呼びます。2050年カーボンニュートラル実現に大きな役割を果たすと見込まれるLCCM住宅に対する支援として、2022年度に新設された補助金制度が「LCCM住宅整備推進事業」です。
当事業についても、2023年度予算化され、継続予定であるものの、2023年2月現在で募集の詳細は発表されていません。ここでは、2022年度の情報をベースに制度の概要を紹介します。
(継続予定)地域型住宅グリーン化事業
「地域型住宅グリーン化事業」は、認定長期優良住宅、ゼロ・エネルギー住宅、認定低炭素住宅といった、地域の木材を活用した高い省エネ性能を誇る住宅の新築に対して補助金を交付する制度です。
地域型住宅グリーン化事業は2023年度も継続実施される見込みであるものの、具体的な申請時期や内容については2023年2月現在公表されていません。本制度についても、2022年度における情報をベースに概要を見てみましょう。
本制度の詳細については、こちらのページで詳しく解説しています。
2023年4月以降も利用できる! 住宅購入時に活用したい減税制度とは?
住宅購入時には補助金制度のほか、減税制度を利用できる場合もあります。続いては、2023年4月以降も引き続き利用できる税に関する制度を五つ紹介していきます。
住宅ローン減税
住宅購入時に利用できるものとしてよく知られているのが「住宅ローン減税」です。2022年に改正された現行制度の概要は次のとおりです。
住宅ローン減税を受けられるのは表の要件を満たしているほか、10年以上の返済期間がある住宅ローンを組んでいる人です。また、中古住宅の購入でも利用可能です。
住宅取得等資金に係る非課税措置
2023年12月末までに父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、マイホームの新築や取得・リフォームなどに利用するための資金(住宅取得等資金)を得たケースにおいて、一定の要件を満たせば贈与税が非課税となる特例を受けられます。
非課税限度額は、住宅の種類ごとに以下のとおり定められています。
● 省エネ等住宅:1,000万円
● それ以外の住宅:500万円
また、対象となる受贈者や取得する住宅の主な要件は次のとおりとなっています。このほかにも細かな要件があるため、事前に確認しておくようにしましょう。
<受贈者の主な要件(すべて満たす必要あり)>
● 直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与を受けること
● 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
● 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
● 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた全額を充当してマイホームの新築などを行うこと
<取得する住宅の主な要件>
● 床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下で、その床面積の1/2以上が受贈者の居住用であること
● 建築後未使用の家、もしくは中古で新耐震基準を満たしていること
● リフォームの場合には、リフォーム工事費用が100万円以上であること
固定資産税の減額措置
2024年3月末までに新築住宅を取得する場合、固定資産税の減額措置を受けることが可能です。これにより、新築戸建て住宅であれば当初3年間、新築マンションであれば当初5年間にわたって固定資産税が通常の1/2に減額されます。
なお、新築の認定長期優良住宅だと戸建てで5年間、マンションで7年間にわたり固定資産税を1/2に減額する特例措置が設定されています。
不動産取得税の減税措置
新築住宅の取得にあたっては、不動産取得税の軽減措置も受けられます。これは50平方メートル以上240平方メートル以下の新築住宅を取得した場合、課税標準から1,200万円の控除を受けられるという制度です。
当制度についても、省エネ性能に優れた住宅を対象とした優遇措置が設定されているため、新築の認定長期優良住宅を取得するケースでは控除額が1,300万円に増額されます。
登録免許税の税率の軽減措置
土地の売買や住宅の所有権保存登記などについては、登録免許税の軽減措置が適用されます。下記の表は、登記の種類ごとに、本則と軽減措置による税率を比較したものです。
新情報や自治体独自の補助金にもアンテナを張っておこう!
減税措置は2023年4月以降も継続が決定しているものの、補助金制度については、2023年2月時点で4月以降の制度継続や内容が確定していないものも少なくありません。
2022年度時点の情報のみで、補助金が当然に受けられるものとして資金計画や住宅プランを考えてしまうと、万が一制度が廃止されたり内容が変更されたりした場合に、対応できなくなる危険性もあるのです。
今後住宅購入を検討しているのであれば、国の補助金制度に関する最新情報にアンテナを張るとともに、住んでいる自治体独自の補助金制度についても事前に調べてみるといいでしょう。
特に省エネ性能の高い住宅を取得するケース、省エネ化を実現するリフォームを実施するケースや、都市部から地方へ移住するケースなどでは、自治体の補助金を活用できる可能性があります。
まとめ
2023年から、住宅取得時に活用できる新たな補助金制度「こどもエコすまい支援事業」がスタートします。
ほかにも住宅取得時に使える補助金制度はあるものの、2023年2月時点で4月以降の情報が公表されていないものも多いため、住宅購入を検討している人は新たな情報にアンテナを張っておくようにしましょう。
また、国の補助金以外にも独自の補助金制度を設けている自治体もあるので、引っ越し先の地域の補助金制度を調べてみるのもおすすめです。