宝くじの当選金、競馬の配当金に税金はかかる? 雑所得と一時所得の違いを解説

2022年末の有馬記念では、3連単で864万8,760円という高額配当が出ました。一度でもいいから宝くじの高額当せんや競馬の高額配当を当ててみたいものですが、棚ぼた的に入る当選金などに税金がかかるのか気になるところですね。詳しくみていきましょう。

1.宝くじの当選金は丸儲け!?

結論から言うと宝くじの当せん金は、100万円だろうと1億円だろうとすべて非課税、当たった金額を丸々もらうことができます。非課税ですから、もちろん確定申告をする必要もありません。

というのも、宝くじは個人や会社が発売することは刑法で禁止されており、発売元は全国都道府県および20指定都市、つまり地方自治体です。この地方自治体が、総務大臣の許可を得て発売元となり、発売等の事務を銀行等に委託しています。そして、宝くじを販売して得た売上金のうち、約4割が地方自治体に収益金として還元され、地域の公共事業に充てられているのです。購入者は購入時にすでに税金を納めていることになるため、宝くじで当せんしても所得税が課せられることがないのです。

ちなみに、令和3年度の宝くじの売り上げは8,133億円で、そのうち46.2%の3,758億円が当せん金、14.9%の1,210億円が印刷費や売りさばき手数料、1.4%の117億円が社会貢献広報費に、そして37.5%の3,048億円が収益金として発売元である全国都道府県及び20指定都市へ納められ、高齢化少子化対策、防災対策、公園整備、教育及び社会福祉施設の建設改修などに使われています。

東京都では認証保育所、長野県ではライチョウの保護活動、千葉県では橋梁架換事業など、案外、皆さんの身近なところにも収益金が使われているので確認してみてはいかがでしょうか?

売り上げの約5割しか当せん金に充てられていない、ということを考えると宝くじで高額当選をゲットするのは余程の運が必要ですね。非課税となるのも納得です。

宝くじ以外にも、LOTO、ナンバーズ、スクラッチくじ、ネット専用くじも同様に当せん金が非課税となります。

2.もし、共同で買った宝くじが当選したら?

非課税となるのは、当選した本人が当せん金を全額受け取った場合です。ですので、当せん金の一部を親や子、配偶者にあげた場合には贈与した金額によっては贈与税がかかるので要注意です。例えば、旦那さんが宝くじを買って1億円当せんしたとします。夫婦だからといって1人5,000万円ずつ分けると、「夫から妻へ5,000万円の贈与」とみなされて贈与税が課税されてしまう可能性があります。

夫婦共同で購入して「私たち共同でお金を出し合ったよね、取り分は半々ね!」ということであれば、当せん金の受取りには必ず夫婦で行き、銀行側が発行する宝くじ当せん証明書に請け取り分を記載してもらうようにしましょう。

知人同士で共同購入して高額当選した場合も、そのグループを代表して1人が受け取ってしまうとその代表者の財産になるので、全員で行かずとも、委任状で対応可能ですね。なお、1年間に110万円までであれば、贈与した場合でも非課税となります(暦年課税の場合)。

また、海外で販売している宝くじを購入して、当選してお金を受け取った場合、一時所得として課税されます。

3.クイズの懸賞金には税金はかかる?

では、クイズの懸賞金や競馬の払戻金、拾得物の報労金などはどうでしょうか? クイズの懸賞金などは、非課税所得ではなく一時所得扱いとなります。

一時所得は、【(収入金額-支出した金額-特別控除50万円)×1/2】で計算された金額に対して課税され、収入金額の評価は次の通りです。

(1) 賞金などが現金や商品券や旅行券だった場合 ⇒ 現金、額面の金額そのもの
(2) 宝石や貴金属など  ⇒ 受け取った日に仮に売った場合の時価
(3)自動車などの一般商品  ⇒ 通常の小売販売価格の60%評価

例えば、クイズの懸賞金で100万円もらった場合には、経費がなければ(100万円-50万円)×1/2=50万円が課税対象額、ということです。懸賞金が50万円以下であれば税金はかからないので、確定申告をする必要はありません。

特別控除50万円を超えるような金額の懸賞金などを受け取った場合には、原則、懸賞金を受け取る際に【賞金品の価額-50万円】の10%分が源泉徴収されてしまうので、確定申告をして取られ過ぎた税金は還付してもらいましょう。

4.競馬の配当金は一時所得? それとも雑所得?

基本的には競馬の配当金は一時所得にあたり、支出した金額には当たり馬券を購入するのにかかった金額を計上できます。

例えば、年間の払戻金200万円、当たり馬券の購入代金30万円であれば、

(200万円-30万円-50万円)×1/2=60万円 

が課税所得金額となります。注意点は、一時所得としてみなされる場合には、外れ馬券を購入した代金は経費としてみなせない、ということです。これは外れ馬券を購入したことは、配当金の獲得に寄与していないと判断されるためです。

しかし、一時所得ではなく、雑所得としてみなされた場合には外れ馬券を経費計上して税金を計算できます。実際に2017年に外れ馬券を必要経費としてみなした判例が出ています。

ただし雑所得として外れ馬券が経費として認められるためには、【馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合(国税庁ホームページより)】という非常に限られた状況です。

いわゆる一般の競馬馬券払戻時には一時所得となり、経費として認められるのは当たり馬券の購入費用のみですので要注意ですね。

なお給与所得者等は、雑所得とみなされる場合には雑所得が20万円を超えると確定申告をする必要があります。個人事業主などそもそも確定申告が必要なケースでは、金額の多寡にかかわらずその他の所得と一緒に確定申告をする必要があるのでこの点も忘れずに!

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