訳アリ物件と事故物件の違いとは? 見分け方や確認方法などを解説!

訳アリ物件や事故物件とは具体的にどのような物件のことを指すのかご存じでしょうか。今回は、訳アリ物件と事故物件の意味や違い、訳アリ物件かどうかの見分け方などを紹介します。不動産会社の告知義務や告知が必要な期間にも触れますので、参考にしてください。

訳アリ物件とは

訳アリ物件とは、入居者に何らかの不利益を与えるような瑕疵(かし)(欠陥)を持つ物件を指し、以下の4種類に分けられます。

・物理的瑕疵物件:土地や建物に物理的な不具合がある物件
・法的瑕疵物件:建築基準法、消防法、都市計画法などの基準を満たさない違法物件
・環境的瑕疵物件:近隣に墓地や火葬場がある、鉄道や道路の騒音・振動が激しいなど環境的に問題がある物件
・心理的瑕疵物件:過去に建物内で自殺や殺人、事故死などがあった物件

このうち、心理的瑕疵物件の一部が「事故物件」として扱われます。

事故物件とは

事故物件とは、室内や共用部などで自殺や他殺が発生した物件のことです。人が亡くなる状況はさまざまで、心理的瑕疵にあたるかどうかは受け止め方によっても異なります。

そこで、国土交通省では2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。ガイドラインでは、「取引対象の不動産において発生した人の死について、買主・借主が契約するかどうかの意思決定に影響する可能性がある」物件を事故物件とし、宅地建物取引業者による告知が必要としています。

ちなみに、転倒や誤嚥などによる不慮の死や老衰・病死などの自然死は、事故物件とは見なされません。ただし、発見が遅れて特殊清掃が行われた場合は、事故物件として扱われます。

出典:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン|国土交通省

訳アリ物件や事故物件はどこまで告知する義務がある?

先述のガイドラインが発表されるまでは事故物件の告知に関する明確なルールがなく、不動産会社や売主の判断に任されていました。ガイドラインの策定により、ようやく一定の基準が設けられたことになります。ここからは、ガイドラインに記載された告知義務の対象となる事案、場所の範囲、期間などについて解説します。

告知義務
宅地建物取引業法に定められる「重要事項の説明等(35条)」「業務に関する禁止事項(47条)」により、宅地建物取引業者は買主・借主に対し、契約締結前に書面を通じて重要事項を説明する義務を負います。事故物件であるという事実も重要事項に該当するため、告知しなくてはなりません。知っていたにもかかわらず告知をしなかった場合は、契約の取り消しや損害賠償の対象になる可能性があります。

ただし、告知義務は不動産会社が把握している範囲内にかぎられます。売主・貸主に確認しても明確な回答が得られず、事故物件であることを知らずに取引した場合、不動産会社が責任を負うことはありません。

告知の対象となる場所の範囲
集合住宅の場合、居住用の室内だけでなく、ベランダやエレベーター、階段、廊下などの共用部分で起きた事案も告知の対象になります。同じ建物内でも別の部屋や、日常生活では使用されない共用部分で起きた事案については告知の対象外です。ただし、事件性や周知性により社会に与えた影響が特に高い事案や、購入・入居希望者から問われた場合は、場所に関係なく告知しなくてはなりません。

告知が必要な期間
これまでは告知する期間にも基準がなかったため、「最初の入居者のみ」「2回目の入居者まで」「半永久的」など対応はさまざまでした。なかには「たとえ1日でも入居の事実があれば事故物件ではない」と主張するケースもあったほどです。

このたび策定されたガイドブックでは、事故物件である旨の告知期間の目安を「人の死が発生あるいは発覚してから3年」としています。これは賃貸物件にのみ適用され、売買物件には期間の定めがありません。なお、賃貸物件・売買物件ともに、入居希望者から問い合わせがあった場合や、全国的ニュースで報じられるなどして社会的影響が大きいと判断される場合は、3年を超えても告知義務が継続します。

訳アリ物件の見分け方は?

契約直前に訳アリ物件であることを知ったら、理想的な物件でも契約を躊躇してしまいますよね。そこでここからは、情報収集の段階で訳アリ物件を見分ける方法を紹介します。

「告知事項あり」の物件
物件情報に「告知事項あり」と記載されている場合、事故物件の可能性が高いと考えられます。「いわくつき物件」「訳あり物件」と記載されているケースや、ストレートに「事故物件」と書かれているケースもあります。なお、地方住宅供給公社の物件では「特定物件」、「特定住戸」、UR都市機構では「特別募集住宅」と記載されます。詳しい内容は、物件ごとの問い合わせ先に確認してみてください。

相場よりも安い物件
家賃や売却価格が周辺の同じような条件の物件と比べて不自然に安い場合、事故物件の可能性があります。事故物件は次の借り手や買い手が見つかりにくいため、相場よりも3割程度安くなっているのが一般的です。ただし、別の理由で値下げをしている可能性もあるので、気に入った物件については不動産会社に確認することをおすすめします。

マンション・アパート名が変更された物件
マンションやアパートが事故物件になってしまった場合、悪いイメージを払拭するために建物名を変更することがあります。住所で検索してみて以前とは違う名称になっている場合は注意したほうがよいでしょう。

定期借家契約になっている物件
告知義務がある物件は家賃を下げざるを得ないため、定期借家契約になっていることがあります。一般的な賃貸借契約と違い、定期借家契約には期間の定めがあり更新ができません。告知期間の3年間のみ安い家賃で貸し出し、退去後に家賃を元に戻すという計画かもしれません。なお、転勤などで一時的にマイホームを賃貸に出す場合にも定期借家契約が用いられます。必ずしも事故物件とはかぎらないので、不動産会社に確認してみましょう。

フリーレント付きの物件
フリーレントとは一定期間家賃が無料になる契約形態のことです。入居者が見つかりやすくなるため空室対策に用いられることが多いものの、期間は1~2ヶ月が一般的です。3ヶ月以上続く場合、事故物件の可能性も考えられます。お得だからと即決する前に不動産会社に確認するようにしましょう。

訳アリ物件かどうかを確認するには?

訳アリ物件かどうかを確認するなら、まずは不動産業者へ問い合わせてみることが大切です。ガイドラインには、問い合わせがあった場合は告知義務の期間が過ぎていても対応するよう記載されているため、知っている範囲で教えてくれるはずです。そのほかにも、インターネットを利用して訳アリ物件の情報サイトを検索したり、物件近隣の住民に聞いたりといった方法があげられます。

まとめ

訳アリ物件とは、物理的・法的・環境的・心理的に瑕疵がある物件のことを指す言葉です。過去に自殺や他殺、特殊清掃が行われた事実がある場合は心理的瑕疵があるとされ、事故物件として扱われます。訳アリ物件かどうかを確認したい場合は、不動産会社へ問い合わせるようにしましょう。知っていながら告知しないと宅地建物取引業法違反になるため、わかる範囲で正直に答えてくれます。

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