上京して転職したら収入は増えるの? 転職理由を解説

これから春が近づくと心機一転、転職する人も多くなります。なかには、生まれ育った地方を離れ、上京して転職するという人もいるでしょう。この記事では、Webメディアで実施したアンケートの結果から、地方から上京して転職したという人の理由について考えていきます。

上京して転職した理由は

Webメディアサービスを提供する「Biz Hits」が、地方から上京・転職した経験のある192人を対象に実施したアンケートの結果をもとに、上京して転職した理由について見ていきましょう。

出典:192人に聞いた!上京転職の理由ランキング【不安に感じたことや対処法も解説】

地方より仕事が多い
上京して転職した理由として最も多かったのが「地方より仕事が多い」という回答で、192人中49人でした。

首都である東京はそもそも企業数が多く、日本を代表する大企業も多数本社を構えています。東京は業種や職種の選択肢が豊富なだけでなく、地方に比べて魅力的な仕事が集まっているということもあり、地方の転職希望者にとっても期待が持てる場所といえるでしょう。

地方にもさまざまな仕事はあるものの、どうしても求人数が限られるため、東京に比べて選択の幅が狭いのが難点です。

アンケートに回答した人のなかにも「企業が多く、仕事を見つけやすかったから」という声があるように、魅力的な仕事に就きたいと考えて上京する転職希望者は少なくないでしょう。

東京への憧れ

都会への憧れが原動力になることも

上京・転職の理由ランキングで第2位となったのが、30人が回答した「東京への憧れ」でした。地方出身だと、テレビなどで観る東京の都会ぶりに憧れを覚えるとともに、そんな大都会で生活してみたいと感じることもあるでしょう。

アンケートに回答した人の声にも、「コンビニもない田舎に住んでいたので、漫画やドラマに出てくる東京に憧れていた」というものがありました。

ほかにも「年に1度くらい地元から東京に行くたび、『ここで生活できたら最高だろうな』と思いました」といった声もあり、実際に旅行や出張などで東京を訪れて憧れを抱くケースもあるようです。

地方より収入が高い
続いて、アンケートの第3位となったのは、「地方より収入が高い傾向があった」という回答の24人です。アンケートの声でも「もっと年収を上げて生活にゆとりが欲しかったため」あり、より良い収入を求めて上京する人も多くなっています。

実際、東京は名だたる大企業や伸び盛りのIT企業なども多く、地方と比較して給与水準は高くなる傾向にあります。その反面、家賃をはじめとした物価も地方に比べると高額で、収入から消費支出を除いた最終的な手残りやそれに伴う生活水準は、期待しているほどアップしない可能性もあるため注意が必要です。

東京圏で働くメリット

ここまで上京・転職の理由ランキングの結果を見てきましたが、実際に上京して東京圏で暮らしながら働くメリットとはどのようなものなのでしょうか。主なメリットを3つ紹介していきます。

仕事の数が圧倒的に多い
上京して働くメリットの一つ目は、アンケート結果にもあったように東京は立地する企業数が圧倒的に多く、地方に比べて仕事に就く機会が得やすいという点です。

仕事の数が多いというのは、選べる仕事の種類も多いということ。大消費地でもある東京にはさまざまなニーズが生まれるため、職の業種や業態も増えます。仕事を探す人からすれば選択肢の幅が広いので、希望する仕事を見つけやすいというのも上京して働くメリットといえるでしょう。

仮に転職に失敗してしまった場合でも、東京なら他の企業に再び転職したり、フリーランスの個人事業主として活動したりといったさまざまな選択肢があります。

夢を叶えるために上京するのはもちろん、なかなかやりたいことが見つけられない人であっても、それを見つけるために上京するというのも有効かもしれません。

年収の上昇が期待できる

年収アップの期待もできる

地方で働くのに比べて年収アップが期待できるという点も、上京・転職する大きなメリットです。

求人情報・転職サイト「doda(デューダ)」が行った調査によると、2021年9月〜2022年8月までの1年間にdodaに登録した約56万人の平均年収を集計した結果、東京都は男女を合わせた全体で440万円となり、全都道府県中1位でした。東京都は2017年の調査以来ずっと1位をキープしています。

都道府県別で最下位となった沖縄県は平均341万円であり、東京都は沖縄県に比べ、実に平均100万円近くも年収が高いということになります。

エリア別に見ると、北海道・東北や九州・沖縄の年収が低い傾向です。このように地方と東京の間には一定の年収格差があると考えられ、上京すれば年収アップできる可能性があるということを裏付けています。

ちなみに、同調査によると平均年収2〜5位には神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県がランクインしており、トップ5を東京圏の県が独占する結果となりました。

出典:doda:年収の高い都道府県は? 平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】

情報の発信基地
東京で暮らし働くことのメリットは、仕事上の話にとどまりません。人口が多くビジネスの中心地である東京圏は、常に新たなトレンドを生み出し続ける情報発信基地でもあります。東京で流行した文化やモノが、少し時間をかけて地方に広がっていくという構図はよく見られます。

地方で暮らしていると、メディアなどを通じて東京で流行っている事象に関する情報を仕入れることになるので、どうしても最先端の情報を得るまでに時間がかかるでしょう。今ではインターネットで最新情報を入手できる場合もありますが、そうした情報を発信する人に実際出会える場所は、やはり情報の発信源である東京が中心です。

美術館や劇場、ライブ会場なども多い東京では、本物のアートやカルチャーに直接触れられるというのも嬉しいポイントです。東京において「本物」に触れ、発信する「人」に出会うことで、新たな可能性を拓けるかもしれません。

東京圏で働くデメリット

仕事の選択肢の多さや収入の高さなどが魅力の上京・転職ですが、東京圏で働くときには当然デメリットもあります。ここでは代表的なデメリットを2つ紹介します。

通勤ラッシュが過酷

毎朝つらい通勤ラッシュ

大半の人が鉄道を使って通勤している東京圏では、朝夕の過酷な通勤・帰宅ラッシュを避けては通れません。在宅勤務の普及による出社率の低下などにより、コロナ禍以前に比べると混雑率が低下しているといわれるものの、それでも東京の通勤ラッシュには驚く地方出身者も多いでしょう。

そもそも通勤ラッシュという概念すらない、あるいは電車に乗って通勤する文化がないという地方も少なくないため、初めは電車通勤に慣れること自体が大変かもしれません。

心理学者のデイヴィッド・ルイス氏が行った研究によると、通勤ラッシュにより通勤者が感じるストレスは、臨戦態勢の戦闘機のパイロットや機動隊の隊員が感じるストレスよりも強いという結果が示されています。

それだけのストレスを毎日感じながら会社に向かわなければならないというのは、東京で働くにあたっての大きなデメリットでしょう。

出典:通勤ラッシュによるストレスは戦場以上--調査報告

家賃がとても高い
総務省が発表した2021年の小売物価統計調査によると、全国平均を100とした場合の総合消費者物価地域差指数は東京都が104.5で、9年連続全国トップとなりました。東京都の物価指数にとりわけ大きな影響を与えているのが、「住居」に関する費用です。

小売物価統計調査では、各都道府県における10大費目ごとの消費者物価地域差指数を公表していますが、東京都では「住宅」が131.9と他費目に比べて突出して高くなっています。指数の最も低い香川県は81.4であり、その差は歴然です。

上京して働くメリットとして「年収の上昇が期待できること」を挙げましたが、その分家賃をはじめとした生活費も多くかかるのが東京です。上京を検討する際には、収入だけでなく、支出も合わせたトータルでの費用対効果を見るべきでしょう。

出典:総務省:消費者物価地域差指数(5ページ)

まとめ

地方に比べて仕事の選択肢が多く、収入アップも見込める東京。転職して人生を変えたいと考える地方出身者にとって、東京は希望にあふれた街といえるかもしれません。

ただし、東京での生活にはデメリットも伴います。大都会で暮らし働くことのメリット・デメリット両面をしっかり認識したうえで、上京・転職して新たな可能性にチャレンジしてみるのもいいでしょう。

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