東京にも大自然がある! 東京の自然が残る地域へ移住するためのポイント

一般的に「移住」というと、東京のような大都市から地方へ移り住むイメージですが、逆に「東京への移住」も少なくありません。そのなかには、いわゆる「上京」とはまったく異なる東京への移住もあります。

この記事では、東京都の別の顔ともいえる美しい自然に恵まれた地域について、基本情報や移住のメリット・デメリットを紹介します。

東京への移住には2つの意味がある

「東京」への移住には、他の道府県と違う2つの意味があります。一つが「上京」、もう一方が「地方部への移住」です。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

上京
東京への移住としてよく知られているのが「上京」です。地方で暮らす人が進学や就職、転職を機に東京の都市部に移り住むのが一般的なイメージで、「仕事を求めて」「新しい生活を求めて」「夢の実現」といった意味も込められています。

2017年の調査では、東京への移住者の約半数を15歳~29歳の若者が占めていることがわかりました。その多くは、進学や転職、就業先での部署移動が理由です。また近年では女性の上京者数が増加しており、女性の高学歴化や、都内に本社を置く大企業への就業率の上昇が理由として挙げられています。

出典:内閣府地方創生推進事務局|東京一極集中の動向と要因について

地方部への移住
そしてもう一つが、東京都内の地方部への移住です。

日本の首都である東京にも、実は人口減少が問題となっている「条件不利地域」が存在します。山間部の檜原村や奥多摩町、島しょ部の大島町や利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村が指定地域です。

条件不利地域のなかには、他の過疎化地域と同じく地域創生・活性化に積極的に取り組む町村も少なくありません。自治体と企業、農業者などが協力し、特産品の販売や豊かな自然・史跡などの観光資源を活かしたイベントなど、多彩な活動が展開されています。

また2021年に策定された「東京都過疎地域持続的発展計画」では、条件不利地域に対するインフラや産業、文化、再生可能エネルギーの普及などあらゆる方面からの支援事業が示されました。島しょ山村地域への定住サポート事業への費用補助も、計画に組み込まれています。

檜原村・奥多摩町の特徴

山深い地形が神秘的な景観を生み出す(檜原村の神戸岩)

東京の条件不利地域のうち、多摩地域西部の山間部にある檜原村・奥多摩町は、一般的に「奥多摩」地方と呼ばれています。面積のほとんどが森林に覆われており、人口はどちらも数千人と少数です。

都心から鉄道やバスで2時間程度の距離にあるにも関わらず、奥多摩湖や払沢の滝、日原鍾乳洞などの景勝地が点在しています。国内でも長い年月を経た巨樹が数多くある美しい自然に恵まれており、登山やキャンプ、釣りなどレジャースポットとしても人気があります。

いずれも過疎化への対抗策として子育て支援や移住支援策に力を入れており、テレワーク化が進む昨今では改めて注目を浴びている地域です。

また、檜原村・奥多摩町は、いずれもさまざまな伝統文化を受け継いでいます。檜原村では重要文化財に指定されている「小林家住宅」や無形民俗文化財の「柏木野神代神楽」、「数馬の太神楽」などが有名です。奥多摩町では国指定重要無形民俗文化財「小河内の鹿島踊り」や都指定無形民俗文化財の「小留浦の獅子舞」があります。

島しょ部の特徴

東京都とは思えない奇跡の美しさ(写真は式根島・泊海水浴場)

東京の島しょ部である、伊豆諸島と小笠原諸島に属する計11の有人島は、本土の太平洋側に点在しています。東京都に属しながらも、沖縄やハワイに匹敵するようなエメラルドグリーンの美しい海が魅力ですが、いずれも人口は数百人~数千人と過疎化に悩む地域です。

高度経済成長期には「離島ブーム」によって観光客が増加しましたが、その後はオイルショックや円高、海外旅行の人気の高まりなどが原因で、当時ほどの賑わいはみられなくなりました。しかし近年では、政府の支援や自治体・企業によるブランド化への取り組みなどによって人口減の幅が小さくなり、雇用や観光客の増加にもつながっています。

島しょ部への交通手段は船便と少数の航空便のため、交通アクセスはどうしても不便となっています。特に小笠原諸島へは、竹芝桟橋から父島まで24時間を要し、定期船「おがさわら丸」は6日に1便程度しか発着していません。

しかし2017年の調査では、小笠原諸島は島しょ部のなかで大島に次いで上陸者数が多く、アクセスの悪さを上回る魅力があると考えられています。

最大の魅力は美しい自然

奥多摩・島しょ部のいずれも、最大の魅力は美しい自然といえるでしょう。手つかずの自然が残り、地域の多くが国立公園に指定されるなどその価値を認められています。

奥多摩なら、名峰が連なる山間部で登山やキャンプ、多摩川源流や奥多摩湖など水辺のそばで釣りや川遊びなど、レジャースポットが充実しています。森林が大半を占めているため、四季の移り変わりも身近に感じられ、非日常の世界が味わえるでしょう。

島しょ部は、マリンスポーツなど海辺の暮らしが好きな人にもおすすめ。透明度の高い海でシュノーケリングやダイビングが楽しめます。新鮮な魚介類が手に入りやすいのも島しょ部の魅力です。また、「バードアイランド」の愛称で知られる三宅島は、珍しい野鳥を目的に海外からも愛好家が訪れるほど人気を博しています。

どうしても仕事は限られる

通勤の要らないフルリモートワークであれば、移住も問題なし

魅力あふれる東京地方部への移住ですが、仕事が限られるのは大きなデメリットです。

奥多摩、島しょ部ともに人口が少なく、産業は限られています。農業・林業・水産業・観光・福祉介護・建設業・公務員などは就業先がありますが、その他の職種では、その土地での就職が叶わないこともあるでしょう。

一方で、サービスや飲食、モノづくりなどで創業を目指していたり、リモートで仕事ができるため通勤の必要がなかったりする人は、地方部への移住に適しているといえます。後継者不足に悩む地域もあるため、その土地ならではの仕事に従事するのも一つの方法です。

なお、地方部での就業や就業には自治体などから補助金が支給されることもあるので、希望する場合はぜひチェックしてみましょう。

まとめ

「都会暮らし」のイメージが強い東京への移住ですが、奥多摩や島しょ部などの地方部には、都心とはまるで違う美しい自然の風景が広がります。山や海に囲まれた地方部への移住は、経験のない人にとっては刺激的で新しいものとなるでしょう。

今回紹介した内容を参考に、ぜひ移住先候補に入れてみてはいかがでしょうか。

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