積雪の多い地域では、雪かきは冬の生活の一部になっていますが、普段から雪が降らない地域では、雪かきをする機会はほとんどないかもしれません。突然の降雪で、慣れない雪かきを余儀なくされるのは本当に大変な作業です。そこで、ここでは雪かきを安全かつ楽に行うコツを紹介します。いざというときに備えて、雪かきの方法について確認しておきましょう。
雪かきを楽にする道具
積もった雪は非常に重く、広範囲の除雪はとても骨が折れる作業です。そんな雪かきを楽にするために、さまざまな道具の力を借りましょう。雪かきに便利な道具を5つ紹介します。
プラスチック製スコップ
新雪でやわらかいうちに雪かきをしたいときに役立つのが、プラスチック製のスコップです。とくに新雪専門の軽いものを「雪はね」と呼びます。
プラスチック製スコップの良いところは、とにかく軽く扱いやすい点です。除雪作業に慣れていない人でも、手軽に雪を寄せることができます。降雪量があまり多くない地域の除雪で便利で、一家に一つ持っておくと安心です。最近では、皿の部分に細かい穴が開いているタイプも多く、これなら水分を多く含んだ雪をすくうときにも便利です。
ただ、柄が長いので、重い雪を持ち上げる際は体に負担がかかりやすくなるので注意が必要です。重い雪を運ぶ場合は、柄を短く持って持ち上げたり、重い雪に対応できるスコップを選ぶとよいでしょう。
アルミ製スコップ
気温が下がり雪が固まってしまったときに活躍するのが、アルミ製のスコップです。汎用性が高く、雪かきではメインとなる道具の一つです。アルミ製スコップは軽量ですが、プラスチック製よりも強度が高いのが特徴です。そのため、雪が固くなってしまったときのためにアルミ製スコップも常備しておくとよいでしょう。もちろん、降り始めの軽い雪にも対応できます。
アルミ製スコップは丈夫さに加えて、腐食しにくいというメリットも持ち合わせています。雪かきをしたあとは雪がスコップに付着するので、スチールなど他の金属だと錆びてしまう恐れがあります。しかし、アルミ製のスコップならその心配はないでしょう。
ただし、アルミ製スコップも万能というわけではなく、氷状の雪を無理に剥がそうとすると変形してしまうことがあります。その場合は、スチール製スコップやつるはしで雪を割ってから除雪しましょう。
スチール製スコップ
降り積もった雪よりさらに固く、踏み固められた雪やアイスバーンを壊すときに使われるのがスチール製のスコップです。非常に頑丈で耐久性の高さが魅力です。てこの原理を利用して氷を剥がしても、スチール製なら変形することなく、その重さを生かして効率よく除雪することができます。
しかし、スコップ自体が重いため、柔らかい雪には不向きです。スコップを選ぶときには、どんな雪を取り除くことが多いかを考えて選ぶとよいでしょう。
竹ぼうき(プラスチック製ほうき)
竹ぼうきは、積雪が少ないときに雪を払うのに使います。雪は少しでも残ると、日中に溶けて夜に凍り、ツルツルと滑ってしまい危険です。特に、人が通ったり車の出し入れがあったりする場所は注意しましょう。竹ぼうきは少しの雪も逃さずきれいに掃き出せるので、雪をスコップで取り除いた後の仕上げにも便利です。
スノーダンプ
スノーダンプは「ママさんダンプ」とも呼ばれ、比較的広い範囲の雪をまとめて運ぶのに便利です。使い方は簡単で、降り積もった場所に突き刺すような形で雪をすくって、そのまま押して運んでいきます。上半身に力を入れずに、腰から押していくと効率よく運べます。ただし、強引に雪のかたまりに押し込むとスノーダンプが壊れてしまう可能性があるので、その場合はスコップで雪を崩してからスノーダンプに乗せて運びましょう。
雪かきを楽にする身体の使い方
雪かきは重労働で、間違ったやり方をするとケガにつながる恐れがあります。楽に雪かきをするためには身体をどのように使えばよいのか、スコップの使い方を例にコツを解説します。
腕の力に頼らない
スコップで雪かきをするとき、つい腕に力を入れて持ち上げてしまいがちですが、腕の力だけではなく、体全体を使うのが雪かきを楽にするポイントです。腕だけで雪を持ち上げようとすると前かがみの姿勢になり、腰を痛めてしまう可能性があります。スコップを使うときは、腕だけではなく足と腰の力を使ったほうが効率的です。背筋を伸ばしてヒザを曲げ、体全体で雪を持ち上げるようにしましょう。
普段から雪かきをしていない人は、力の入れ方がよくわからないということがあるかもしれません。その場合は、一つの方法として、柄を掴む手の平(右利きの人は左手)を下向きにしてスコップを持つのがおすすめです。こうすると、意識しなくても腕だけに頼らず体全体で雪を投げることができます。
腰を曲げすぎない
雪かきを行ったあとに腰に痛みを感じる人は多いでしょう。その原因は腰の曲げすぎにあるかもしれません。腰を曲げて前傾する姿勢を続けていると、脊柱(せきちゅう)に負荷がかかり続けてしまいます。背中や腰にある筋肉が負荷に耐えられず、筋肉の損傷を起こり、腰痛を感じてしまうことがあるのです。
雪かきによる腰痛を防ぐためには、背筋を伸ばしてできるだけ腰を落とし、股関節や膝関節を使って雪を持ち上げます。そうすると、背中や腰に集中していた負荷が太ももの筋肉へと分散され、負担を軽減できます。ただ、持ち上げた際に腰が反りすぎてしまうと、また腰に負担がかかるため、適度な腰の反り具合を保つことが大切です。
そして、雪かきをする位置取りにも注意する必要があります。身体から離れた場所の雪を持ち上げると、やはり腰に負担がかかる可能性があります。雪かきをするときは、できるだけ腰を落とし、身体の近くで雪を持ち上げるようにしましょう。
身体をひねりすぎない
雪をすくい上げたあと、別の方向を向いて投げる必要がありますが、このときに腰をひねって放ってしまう人も多いでしょう。足を動かさずに上半身だけを動かすため、一見とても効率的に見えるかもしれませんが、これも腰を痛める原因になるので注意が必要です。
脊柱を支える筋肉はひねりの動作に弱いとされていて、急に腰をひねると「ぎっくり腰」になってしまう恐れがあります。特に雪は重いので、その負荷も相当なものです。雪を捨てるときは、投げ出したい方向に体の向きを変えて、正面を向いてから放るようにすると、腰にあまり負担をかけることなく雪かきができます。
慣れるまでは身体の使い方が難しく感じるかもしれませんが、ケガをしたり身体を痛めてしまうことのないように、正しい姿勢を身につけて雪かきを行いましょう。
まとめ
雪かきは単純な動きですが大変な作業です。雪の状態にあった道具を活用したり、身体全体を使って雪かきをする工夫をしたりして、効率よく雪かきを行いましょう。そして、「無理をしない」というのも大事な約束事です。少しでも体調に異変があれば中断するという選択肢も忘れてはいけません。雪かきのコツを意識して、毎年訪れる雪の季節を安全に乗り越えましょう。