結婚や子どもの独立など、ライフスタイルの変化に合わせて住み替えを検討する人もいるでしょう。住み替えにはメリットとデメリットがあるため、事前に把握しておくことが大切です。そこで今回は、住み替えの流れやメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
住み替えとは
住み替えとは、住む家を替えることを表す言葉です。さまざまなパターンがありますが、基本的には賃貸借契約や売買契約などの不動産取引を伴うケースを指す場合が多いです。特に、持ち家から持ち家への住み替えの場合には、購入と売却のどちらを先にするか、ローンが完済できるかなど、いくつかの注意が必要です。
住み替えの流れは「売り先行」「買い先行」の2つ
持ち家から持ち家への住み替えには、一般的に「売り先行」と「買い先行」があります。ここでは、それぞれの流れやメリット・デメリットについて解説します。
売り先行
売り先行とは、現在住んでいる家が売れてから新居を買う方法です。基本的には売却と購入を同時に進めていくという特徴があります。
旧居の住宅ローンが残っている場合は、売り先行で住み替えをすることで、ダブルローンを避けられるというメリットがあります。ただし、売却と購入を同時進行で進める分、後述する買い先行よりも複雑な手続きになりやすいという点がデメリットです。新居に引っ越すまでの間、仮住まいが必要になるという点にも留意が必要です。
売り先行の流れの一例は次のとおりです。
● 売却:査定→資金計画→販売活動→交渉→売買契約→旧居から新居へ引っ越し→引き渡し(残代金の受領)
● 購入:資金計画→情報収集→交渉→売買契約→住宅ローンの申し込み→引き渡し(残代金の支払い)→旧居から新居へ引っ越し
上記の内、「旧居から新居へ引っ越し」は、売却と購入の両方に共通しています。
買い先行
買い先行とは、旧居を売却する前に新居を購入する方法です。仮住まいの必要がないため、引っ越しが1回で済むというメリットがあります。空き家にした後に売却するため、写真などを撮りやすく、結果的に売りやすいという点もメリットです。
ただし、旧居に住宅ローンが残っている場合、ダブルローンになってしまうというデメリットがあります。旧居が売れるまで2件の住宅を所有することになるため、維持費がかかる点もデメリットです。
買い先行の流れの一例は次のとおりです。
● 売却:査定→資金計画→旧居から新居へ引っ越し→販売活動→交渉→売買契約→引き渡し(残代金の受領)
● 購入:資金計画→情報収集→交渉→売買契約→住宅ローンの申し込み→引き渡し→旧居から新居へ引っ越し
上記の内、「旧居から新居へ引っ越し」は、売却と購入の両方に共通しています。
住み替えをするメリットは?
住み替えにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、利便性のアップ、資産価値の向上、住居費の調整の3点について解説していきます。
利便性が高まる
ライフスタイルの変化に合わせて住み替える場合、利便性が向上する可能性があります。たとえば、転勤に伴って新しい勤務先の近くへ住み替えることで、通勤時間の短縮が可能です。また、子どもが生まれたので、子育てに適した広い家に住み替えるケースもあります。
そのほか、両親の介護が必要になったため、バリアフリー住宅に引っ越したいといった理由で住み替えを検討する人もいるでしょう。近年では、テレワークを導入する企業が増え、より集中できる環境を確保するために部屋数の多い家へ住み替えるという人もいます。
資産価値の目減りを防げる可能性がある
不動産の価値は一定ではないため、住み替えることで資産価値が向上する可能性があります。たとえば、郊外の戸建てから利便性の高い都心のマンションへ住み替えた場合、将来的にマンションのほうが資産価値は高くなるかもしれません。ほかにも、現在住んでいるマンションから、土地を所有できる戸建てへ住み替えることにより、長期的に資産価値の目減りを防げる可能性があります。
このように購入時の価格だけでなく、将来の資産価値を想定することが大切です。
住居費を調整できる
住宅ローンの返済が厳しい場合、住み替えをすることで毎月の返済を抑えられる可能性があります。また、老朽化が進んだ家を売却して新築や築浅の住宅へ住み替えをすれば、リフォームにかかる住居費を抑えられるでしょう。住み替えをすることで、現在の状況に応じて住居費を調整できることもメリットです。
家を住み替えるデメリットは?
住み替えのメリットを紹介しましたが、一方のデメリットには何があるのでしょうか。ここでは、手数料や税金などの費用負担、仮住まいの必要性、住み替えが終わるまでの期間の長さの3点を解説します。
手数料や税金などの費用がかかる
旧居を売却して新しく家を購入する際、不動産会社へ支払う仲介手数料や税金などの費用が発生します。
仲介手数料は以下のように上限額が決められているので、参考にしてください。
そのほか、印紙税や登録免許税、司法書士へ支払う報酬などもかかります。
仮住まいが必要になる
売り先行で住み替えをする場合は仮住まいが必要になります。仮住まいの住居に入居する際は、敷金、礼金、仲介手数料、毎月の家賃以外にも、水道光熱費、通信費を見込まなければなりません。
さらに、旧居から仮住まい、仮住まいから新居へ引っ越すための費用が発生します。荷物の量や引っ越し先への距離、どの引っ越し業者に依頼するかによっても料金は異なりますが、2回分の引っ越し費用を確保する必要があります。
また、仮住まいに荷物が収まらない場合は、別途トランクルームの賃貸料もかかるので注意が必要です。
住み替えが完了するまでの期間が長い
住まいを売却して新たに購入する場合、賃貸から賃貸への住み替えよりも時間がかかります。売却と購入、もしくは双方の不動産取引が必要になるからです。
住み替えにかかる期間は3ヶ月~1年くらいが一般的です。中古住宅へ住み替える場合は3~6ヶ月、新築住宅や注文住宅の場合は6~12ヶ月くらいが目安となります。なかには住み替えが完了するまでに1年以上かかった人もいるため、事前にある程度の期間を見込む必要があるでしょう。
まとめ
住み替えをすることで、利便性や資産価値の向上が見込める一方、諸費用がかかる点や、住み替え完了まで長くて1年くらいかかる点はデメリットです。また、一般的に、売り先行の場合は仮住まいの家賃や引っ越しの費用も考慮する必要があります。住み替えを検討する際は、事前に手続きの流れや費用を把握しておくことが大切です。