新築住宅の価格高騰が続くなか、人気を集めているのが新築住宅に比べて割安な中古住宅です。特に買取再販住宅は、リフォーム・リノベーションを施した新築に近い状態で購入できるため、2021年の成約件数は前年比8.3%増と活況を呈しています。
この記事では、ニーズの高まる買取再販住宅とはどのようなものか紹介するとともに、買取再販住宅のメリット・デメリットや注意点について解説していきます。
買取再販住宅とは?
買取再販住宅とは、宅地建物取引業者が中古住宅を買い取り、リフォーム・リノベーションを施したうえで販売する住宅を指します。内外装や設備などを良質化してから販売されるため、中古住宅でありながら新築住宅さながらのスペックを備え、それでいて新築住宅に比べてリーズナブルな点が特徴です。
また、一定の要件を満たす買取再販住宅については、国の「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」が設けられています。購入者・宅地建物取引業者双方にとってメリットのある販売方法といえるでしょう。
特例措置の内容を具体的に紹介すると、買取再販住宅を購入する個人が支払う所有権移転登記にかかる登録免許税が軽減されるほか、宅地建物取引業者が物件を取得する際に支払うべき不動産取得税も減額されます。
買取再販住宅と中古住宅の違いとは?
既存の住宅を販売するという点では共通する買取再販住宅と中古住宅ですが、両者にはどのような違いがあるのか見ていきましょう。
結論からいうと、買取再販住宅は中古住宅の一種です。中古住宅の販売形態には、大きく分けて「仲介」と「買取再販」の2種類があります。
このうち、中古住宅市場でメジャーなのが仲介です。仲介とは、中古住宅の売主と媒介契約を締結した不動産会社が、広告を出したり営業をかけたりして買主を募集する販売形態です。仲介では、その物件をもともと所有していた個人や法人が売主となります。
一方の買取再販とは、個人や法人の売主から宅地建物取引業者(不動産会社)が物件を一度買い取り、必要に応じたリフォーム・リノベーションを施工したうえで販売するという形態です。よって、不動産会社が直接売主になるのがポイントです。
同じ中古住宅であっても、仲介により取得した住宅と買取再販住宅では、住宅ローン控除の適用内容にも違いがあります。2022(令和4)年・2023(令和5)年入居における制度内容を表にまとめると次のとおりです。
買取再販住宅は、新築住宅と同じ借入限度額・控除期間が適用され、仲介により取得した中古住宅に比べて控除額・控除期間ともに優遇されています。
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買取再販住宅のメリット・デメリット・注意点とは?
続いては、買取再販住宅を購入するにあたってのメリット・デメリットおよび注意点を紹介していきます。プラス面だけでなく、マイナス面もしっかりと理解したうえで購入を検討するようにしましょう。
買取再販住宅を購入するメリット
まずは、買取再販住宅を購入するメリットを見ていきます。
買取再販住宅は、販売時点ですでに不動産会社によるリフォーム・リノベーションが実施された状態であるため、購入してから新たにリフォームの手間や時間をかける必要がありません。見た目は新築同様のきれいな家に、購入後すぐ住み始められるという点は大きなメリットです。
新築にも引けを取らないクオリティの内外装・設備を備えているにもかかわらず、新築に比べてリーズナブルな物件が多いのもメリットといえるでしょう。
これから長く暮らす住まいのことですから、何かあったときの保証についても気になるものです。買取再販住宅は宅地建物取引業者が売主であるため、業者側が契約不適合責任を2年以上負わなければならないとされています。
契約不適合責任とは、住まいの品質や設備の数量などに関し、契約内容に適合しない箇所があった場合に、売主が買主に対して負わなければならない責任のことです。こうした保証が2年以上認められるというのは、購入する側にとっては安心材料といえます。また、設備にも長期のメーカー保証がつく場合もあります。
さらに、買取再販住宅は不動産会社から直接購入するので仲介手数料がかかりません。400万円以上の中古住宅を仲介で購入すると、購入価格の3%+6万円+消費税を上限とする仲介手数料を支払わなければならないため、たとえば3,000万円の物件なら、買取再販は仲介に比べて100万円程度お得になる計算です。
買取再販住宅の購入にあたっては、住宅ローン控除の期間は新築と同じ13年が適用され、仲介による取得に比べて控除による節税効果も大きくなっています。登録免許税などの税率軽減の特例措置も設定されているなど、買取再販住宅は税金面でもメリットがあるのです。
買取再販住宅を購入するデメリットと注意点
コスト面や税金面などメリットの多い買取再販住宅ですが、当然ながらデメリットや注意点もあります。
買取再販住宅は、販売価格がリーズナブルなのがメリットと紹介しました。ですが、なかには事故物件など何らかの訳あり物件であるという可能性もある点は、注意が必要です。
過去に事件や事故が発生した経緯のある事故物件は、買い手がつきにくいため価格が下落します。不動産会社からすると安価に物件を仕入れられるので、事故物件にリフォーム・リノベーションを施したうえで、買取再販物件として販売するというケースがあるのです。
この場合は、買取価格が安いからこそ販売価格も安くできるので、周辺相場などから考えて明らかに安すぎる物件には注意しましょう。
さらに、表面的には見えない部分のリフォームやリノベーションが適切に行われているかを確認しづらいのも、買取再販住宅のデメリットです。売主の不動産会社はリフォーム工事を別の業者に依頼しているケースが多く、その内容を細かくチェックしているとは限りません。
不安な点があれば、インスペクション(住宅診断)等を利用して目に見えない部分のチェックをしておきましょう。また、第三者規格に適合している物件を選んだり、独自の長期保証サービスなどアフターサービスが充実した業者を選んだりすることで、リスクを低く抑えられます。
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まとめ
中古住宅の一種である買取再販住宅とは、不動産会社が既存物件を買い取って、リフォーム・リノベーションを施したうえで新たに売り出す住宅です。買取再販住宅は新築さながらの見た目と内装であるにもかかわらず、新築住宅に比べて安価である場合が多く、昨今の住宅市場において人気となっています。
買取再販住宅の購入を検討する際には、今回紹介したメリット・デメリットや注意点を正しく理解しておきましょう。そのうえで新築住宅や、中古住宅の購入後リフォームなど、ほかの販売形態と比較検討することが大切です。そのうえで、自身のスタンスに合った住宅を選ぶようにしましょう。
(最終更新日:2024.05.15)