【住宅火災防止】4つの習慣・6つの対策とは? 火事に備えるものもチェック

失火による住宅火災は自然災害と異なり、私たちの心がけ次第で防止できます。生命や財産を守るためにも普段から万全な対策をしておきたいところです。今回は、住宅火災対策として覚えておきたい習慣や対策、万一の火事に備えるものについて解説します。地震による火事への備えについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

近年の住宅火災の発生状況は?

消防庁の防災情報室が公表している資料「令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)について」をもとに、2021年に発生した全国の住宅火災の状況について解説します。

住宅火災による被害の状況
消防庁発表の資料によると、2021年の1年間の総出火件数は全国で3万5,222件でした。そのうち住宅火災を含む建物火災は1万9,549件です。建物火災以外では、林野火災(1,227件)、車両火災(3,512件)、船舶火災(63件)、航空機火災(0件)、その他火災(10,871件)となっており、火災種別では建物火災が最も多いことがわかります。

また、建物火災による死者数は1,165人で、その大半の1,058人が住宅火災により亡くなっています。さらに、住宅火災の死者数の7割以上が65歳以上の高齢者で、その多くが逃げ遅れによるものです。

住宅火災の出火原因
2021年の住宅火災を含む建物火災(1万9,549件)のうち、最も多い出火原因が「こんろ」で2,617件(13.4%)でした。次いで、「たばこ」1,721件(8.8%)、「電気機器」1,413件(7.2%)、「配線器具」1,187件(6.1%)、「放火」1,072件(5.5%)の順となっています。

失火や放火による住宅火災を防ぐには、出火に至る原因や対策を知り、十分に注意する必要があります。

出典:令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)について|消防庁

住宅火災を防止する4つの習慣・6つの対策とは?

消防庁では「住宅火災からいのちを守る10のポイント」として、4つの習慣と6つの対策を挙げています。火災を出さないこと、万一の際は逃げ遅れないことに要点を絞って周知しています。

4つの習慣
住宅火災を防止するには、消防庁が掲げる以下の4つの習慣が重要です。

・寝たばこは絶対にしない、させない
・ストーブの周りに燃えやすいものを置かない
・こんろを使うときは火のそばを離れない
・コンセントはほこりを清掃し、不必要なプラグは抜く

住宅火災の主な原因が、たばこ、電気機器、ストーブ、こんろからの失火によるものです。暖房や燃焼器具は、長く使用して部品が劣化したり、誤った方法で使ったりすると発火する危険性があります。小さい火でも、部屋干しの衣類やカーテンなどの燃えやすいものが近くにあれば、たちまち燃え広がってしまいます。

こんろは油を加熱し過ぎて自然発火することもあるため、火のそばを離れず、できるだけ温度センサーや油加熱防止機能などがある製品を使いましょう。コンセント周りはほこりを取り除き、タコ足配線を避け、不必要なプラグを抜きます。

また、寝室や寝具にたばこやライターを持ち込まないことも大切です。住宅火災を防ぐためには、普段から火の不始末に十分注意する必要があります。

6つの対策
続いて、住宅火災を防止するための6つの対策を紹介します。

・火災の発生を防ぐために、ストーブやこんろ等は安全装置の付いた機器を使用する
・火災の早期発見のために、住宅用火災警報器を定期的に点検し、10年を目安に交換する
・火災の拡大を防ぐために、部屋を整理整頓し、寝具、衣類及びカーテンは、防炎品を使用する
・火災を小さいうちに消すために、消火器等を設置し、使い方を確認しておく
・お年寄りや身体の不自由な人は、避難経路と避難方法を常に確保し、備えておく
・防火防災訓練への参加、戸別訪問などにより、地域ぐるみの防火対策を行う

万一火災が発生した場合、被害を最小限に抑えて延焼などを防ぐためにも、日頃から対策をしておくことが大切です。火災の発生を感知し警報を鳴らす住宅用火災警報器は、逃げ遅れを防ぐ効果があります。耳が不自由な人や高齢者には、大音量や光で知らせるものがおすすめです。

火災の広がりを防止するには、燃えにくい素材で作られた防炎品の使用や、消火器の設置などの対策も重要です。

出典:住宅防火いのちを守る10のポイント|総務省消防庁

住宅火災防止のために備えるもの

住宅用火災防止のために設置する義務のあるものと、できるだけ備えておきたいものについて解説します。

住宅用火災報知器
住宅用火災報知器は、火災による熱や煙を感知して、警報音で火災の発生を知らせる機器です。2011年までにすべての住宅に設置が義務付けられました。

住宅内の火災警報器の設置場所は、市町村ごとに条例で定められているため、細かなルールには違いがあります。寝室と寝室がある階段の上部へは、全国共通で設置が義務付けられているほか、市町村によっては台所やリビングの設置義務もあります。台所の設置義務がない地域でも、念のため火災報知器を設置したほうが安心です。

住宅用火災報知器は、一度も音が鳴らなくても、長く使っていると電池が消耗していきます。少なくとも年に2回は、正常に作動するか点検しましょう。設置から長期間経過したものは、電池を替えても正常に作動しないこともあります。機器の寿命は10年が目安とされているため、本体の製造年を確認し、古いものは新品に交換しましょう。

出典:忘れていませんか? 火災から命を守る住宅用火災警報器の点検・交換|消防庁

住宅用消火器
住宅用消火器は、幅広い世代の人が使えるように軽量に作られています。一般家庭でも使いやすい製品が多種類販売されているので、高齢者や女性でも扱いやすく、火元を狙いやすいでしょう。マンションやアパートなどの共同住宅等では、消火器も設置義務があります。

戸建住宅でも火災の初期消火に有効なので、ぜひ設置を検討してみてはいかがでしょうか。住宅用消火器は、紙や木材などが原因で発生した「普通火災」のほか、「天ぷら油火災」「電気火災」「ストーブ火災」などに対応するものがあります。用途や設置場所に合わせて選ぶとよいでしょう。

住宅用消火器は点検の必要はありませんが、使用期限があるためやはり定期的な交換が必要です。消火器は一般廃棄物として捨てることができないため、廃棄の際は購入元またはリサイクル窓口へ相談してください。

出典:住宅火災からいのちを守る10のポイント。「逃げ遅れ」を防ぐために。|政府広報オンライン

地震による火事に備えよう!

大地震が起こると、火災などの二次被害も起こりやすくなります。しかし、地震による火災も対策を施せば被害を最小限に抑えることが可能です。ここでは、地震による火災の備え方について解説します。

地震によって発生する火事とは
規模の大きな地震が発生すると、火災があちこちで同時に発生することがあります。その多くは通電火災と呼ばれるもので、停電から復旧した際の電気が発火の原因です。通電火災を防ぐには、家具の転倒防止対策を行う、燃焼系の暖房機器の近くに燃えやすいものを置いたりかけたりしない、感震ブレーカーを設置するなどの対策が必要です。また、避難の際はブレーカーを落とすことが通電火災に最も効果的です。

地震による道路の損壊や建物倒壊などで進路がふさがれれば、消火活動が遅れ大規模な火災につながるおそれがあります。そのため、緊急時には「自らの命は自らが守る」という意識で適切な避難行動をとれるようにしておかなければなりません。日ごろから地域の防災訓練に参加して安全に避難できる場所を確認したり、避難用の非常用品を備えたりするなどの対策が必要です。

出典:地震火災対策について|消防庁予防課

出典:令和2年度総合防災訓練大綱 | 中央防災会議

火事に備えるもの
いくら対策しても、不可抗力で火災が起きてしまうこともあります。そのようなときに慌てずにすむよう、地域の防災訓練に参加したり、避難用の非常用品を備えたりするなどの対策が必要です。

東京消防庁では、地震で避難する際の非常用品として備えておきたいものを以下のとおり紹介しています。ぜひ参考にして日頃から備えておきましょう。

出典:非常用品として備えておくもの|東京消防庁

まとめ

住宅火災を予防するには、日頃から4つの習慣と6つの対策を意識することが大切です。また、万一火災が発生しても被害を最小限に抑えられるよう、住宅用火災報知器や住宅用消火器を備えておくことをおすすめします。

さらに、単体の火災だけでなく、地震に起因する火災の発生にも備えておかなければなりません。地域ぐるみで協力して助け合えるよう、防災訓練に参加したり非常用品を備えたりしておきましょう。

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