お年玉に税金はかかるの? 贈与税の仕組みと非課税枠を解説

年始は子どもにとっては楽しみのお年玉の季節です。素朴な疑問ですが、そもそもお年玉をもらうと税金がかかるのでしょうか?

今回はお年玉には税金がかかるのか、かかるとしたらどのような税金なのか、そして税金がかからないようにするための対処法についても解説します。

お年玉には税金がかかる?

お年玉とは、年始に目上の人が目下の人に対して金銭を贈るものです。そのため、お年玉をもらった人は、その金額によっては贈与税が発生すると考えられます。

お年玉を受け取る人が子どもだから課税対象にならないと思いがちですが、贈与税に年齢は関係ありません。

そもそも、贈与税とはどのような税金なのでしょうか。次項で詳しく説明します。

贈与税とは

場合によってはお年玉に贈与税がかかることも

贈与税とは、個人からの贈与によって財産を取得した場合、その取得した財産に対して課税されるものです。まとまった財産を持っている人が生前に贈与をすれば、相続税の課税財産を少なくできますが、贈与税はこのような相続税の課税を逃れようとする行為を防ぎ、相続税を補完する役割を果たしています。

贈与税の対象となるのは、あくまでも個人からの贈与であって、法人から贈与を受けた場合は、贈与税ではなく所得税の対象になります。

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当すれば「相続時精算課税」を選択できます。

また、暦年課税の場合、誰から受け取ったかで贈与税率が異なる点に注意が必要です。
贈与税率は「一般贈与財産」と「特例贈与財産」で区別されており、特例贈与財産とは、父母や祖父母などの直系尊属からの贈与によって取得した財産のことを指します。一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない贈与財産です。

そして、特例贈与財産に当てはまる要件として、受贈者(贈与を受ける者)が贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者に限るとなっている点があります。なお、2022年3月31日以前の贈与の場合は20歳以上になります。

贈与税がかからない財産

ただし、すべての贈与財産が贈与税の課税対象というわけではなく、贈与税がかからない財産もあります。国税庁では、具体的に12個の財産を挙げていますが、ここではそのうちの主なものを紹介します。

法人からの贈与された財産
上で少し述べましたが、贈与税は、個人からの贈与によって財産を取得した際に課される税金です。そのため、法人から財産贈与を受けた場合は、贈与税ではなく所得税がかかります。

扶養義務者からもらう生活費や教育費
扶養義務者とは、夫婦や親子、兄弟姉妹など生計を一にしている人を、扶養する義務がある人を指します。子どもが要扶養状態にあり、親に扶養能力がある場合、親が扶養義務者です。

扶養義務者は、被扶養者の生活を扶助する(助ける)義務を負っており、生活費や教育費は生活扶助義務の範囲内にあるものとされています。生活費とは、通常の日常生活に必要な費用を、教育費は学費や教材費、文具費など、通常必要と考えられるものを指します。

この場合、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要の都度あてられるものに限られます。そのため、生活費や教育費として受け取ったお金でも、預金や株式の購入資金にあてた場合は、贈与税の課税対象になります。

公益事業に使われる財産
宗教や慈善、学術など、公益を目的とする事業を行う一定の者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なものには、贈与税がかかりません。

お正月にまつわるものとしては、初詣などで奉納するお賽銭が該当します。また、宗教法人に対する信仰心に基づいた寄付なども、贈与税の課税対象外です。

贈答、祝物、見舞い

贈答、祝物、見舞いなどには贈与税がかからないとされている

個人から受け取るお香典や花輪代、年末年始の贈答品、お祝いもしくはお見舞いなどのための金銭で社会通念上相当と認められるものに対しても、贈与税はかからないとされています。

お年玉は、ここでいう「年末年始の贈答」に該当するので、贈与税のかからない財産と考えることができます。ただし、「社会通念上相当」という条件があるため、無条件に贈与税の対象外となるわけではなく、場合によっては贈与税の対象となる可能性があります。

とはいえ、具体的な金額が示されているわけではありません。そのため、「社会通念上相当と認められる」という言葉は線引きが曖昧であるといえます。捉え方も人によって異なりますし、最終的に判断に迷うケースも出てくることが予想されます。

110万円が一つの目安

お年玉も、お金持ちなどが行う場合は、かなり高額になることも予想されます。金額によっては、社会通念上相当とはさすがにいえないようなケースもあるでしょう。

ここで一つの目安になるのが、110万円です。なぜなら、贈与税の課税方法の1つである暦年課税には、110万円という基礎控除額が設けられているからです。

すなわち、その年の1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた金額に対して、贈与税が課される仕組みになっています。

そのため、一般的にお年玉をもらう側は合計額110万円までなら課税されませんが、110万円を超える場合は贈与税の課税対象になると考えられます。

贈与税の対象は現金だけではない

現金以外のプレゼントも贈与税の対象に

ここで注意しておきたいのは、贈与税の対象は現金だけではないという点です。

例えば、通常、お年玉というと現金を渡しますが、お年玉代わりのプレゼントとして、高級な時計や高級万年筆、宝石や自動車などを贈る稀なケースがあったと仮定します。そうすると、これらのプレゼントが贈与税の課税対象となる可能性が出てくるのです。

現金以外のものを贈る場合の金額については、贈与税の課税財産評価を算定するにあたり、時価を用いますので、贈与を行ったときの時価が110万円以下であることがボーダーラインと考えるようにしましょう。時価が110万円を超える場合、超えた部分について贈与税が発生することになります。

まとめ

通常、庶民の感覚では、お年玉に税金がかかるとは予想もできませんが、お年玉も高額になると、贈与税の対象になる可能性があります。高額の基準ははっきりとは示されていませんが、贈与税の基礎控除額である110万円を目安にして、年間の合計贈与額がそれを下回るようにすれば課税されません。

ただし、贈った側ではなく受け取った側の合計が110万円であることを忘れないようにしましょう。

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