ふるさと納税を行うと所得税・住民税の控除が受けられますが、その額は人によって異なります。自分はどのくらいの控除が受けられるのか、気になりますよね。そこでこの記事では「これからふるさと納税を行ってみたい」という人に向けて、ふるさと納税の仕組みや注意点について解説します。初めてのふるさと納税に役立ててください。
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、生まれ故郷や応援したい自治体に寄付金を送る制度です。寄付金のうち2,000円は自己負担で、それ以上は寄付金控除の対象になります。
また、ほとんどの自治体では感謝の印として、地元の特産品・名産品などの返礼品を用意しています。返礼品は寄付金額に応じて選べるようになっていて、なかには高級食材や家電などの高額商品も!
ちなみに、返礼品の額は寄付金額の3割以内と定められています。たとえば、10万円の寄付を行った場合は3万円相当の返礼品が受け取れます。 なお、控除が受けられる寄付金額には、所得などに応じた年間上限額が設けられています。上限額を超えた部分は「純粋な寄付」であり、控除対象にはなりません。
ふるさと納税の還付金とは
ふるさと納税によって控除が受けられるのは所得税と住民税です。このうち、還付金が受けられるのは所得税のみ。住民税は還付ではなく、翌年度の住民税から控除(減額)という形で還元されます。
なお、所得控除や税額控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。何もしないで自動的に控除が受けられるわけではないため注意してください。
具体的には、同年1月1日から12月31日までに行ったふるさと納税の全額を、翌年の確定申告で「寄付金控除」として申告します。提出が必要な書類もあるので、紛失などがないよう確認・保管しておきましょう。
還付金の金額の計算方法
所得税から還付される金額は、以下の計算式で算出できます。
・所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
所得税の税率は収入によって異なります。税率を確認するには国税庁のWebサイトをご覧ください。
住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があります。計算式はそれぞれ以下のとおりです。特例分については計算結果が住民税所得割額の2割を超えない場合はAが、超える場合はBが適用されます。
・基本分=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
・特例分A=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
・特例分B=住民税所得割額×20%
ワンストップ特例制度を利用すると還付金はない
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる、ふるさと納税特有の制度です。次の要件を満たす人が利用できます。
・会社員などの給与所得者で、ふるさと納税以外の確定申告が不要な人
・ふるさと納税の寄付先が1年間(1~12月)で5自治体以内の人
ワンストップ特例制度では全額が住民税控除の対象になるため、所得税からの還付金は発生しません。なお、医療費控除などで確定申告を行った場合、それまでに申請したワンストップ特例分は自動的に無効となります。そのときには、改めてふるさと納税の寄付金控除 を申告しないと控除が受けられません。
ふるさと納税の還付金が受け取れるのは確定申告から1~2ヶ月ごろ
ふるさと納税で還付金が発生した場合、受け取れるのは確定申告の1~2ヶ月後です。確定申告の時期は例年2月半ばから3月半ばですが、還付のみの申告は所轄の税務署で1月から受け付けています。早めに還付金を受け取りたい場合は、年内に申告書類を準備して年明けすぐに申告を行いましょう。
住民税が控除されるのは翌年分
住民税は、その年の1月から12月までの所得をもとに計算され、翌年6月から納付が始まります。税額を確認できる「住民税決定通知書」が届くのは5~6月ごろ。給与所得者の場合は勤め先で、自営業者やフリーランスには自治体から郵送されます。
ふるさと納税分の控除がきちんと行われているかどうかは、住民税決定通知書の「摘要欄」で確認できます。記載されている「寄附金税額控除額」が、実際に寄付した金額から個人負担分2,000円を引いた額と一致しているかを確認してください。誤りがなければ住民税の控除は問題なく行われています。
ふるさと納税還付金の確認方法
所得税の還付金は、確定申告の際に指定した金融機関の口座に振り込まれます。振り込みが完了すると税務署からも通知(はがき)が届くため、口座を確認してみましょう。還付金が振り込まれるまでには一定の期間を要しますが、確定申告から2ヶ月以上たっても振り込みが確認できない場合は、所轄の税務署に問い合わせることをおすすめします。
ふるさと納税還付金に関する注意点
この段落では、ふるさと納税の還付金に関する注意点について解説します。
還付金として受け取りたいなら確定申告が必要
ふるさと納税では、自己負担分の2,000円を除き、控除上限額以内の寄付は所得税・住民税から控除されます。
ただし、先述のとおりワンストップ特例制度を利用した場合は住民税控除のみが行われ、所得税からの還付金が発生しません。控除対象額は変わらないので損をするわけではありませんが、還付金を受け取りたい場合は確定申告を行うことをおすすめします。
還付金詐欺には要注意
確定申告の時期には、全国で「還付金詐欺」の報告・相談が急増します。国税局や税務署、市役所職員をかたる電話やメールには十分注意してください。具体的には次のような事例が報告されています。
・個人情報を聞き出す事例
「還付金があるので振込先を教えてほしい」
「提出書類に不備があるのでマイナンバーを口頭で確認したい」
「確定申告についてのアンケートに協力してほしい」など
・ATM操作に誘導する事例
「所得税の未払いがある」
「医療費の払い戻しがある」など
基本的に税務署や市役所の職員がこのような連絡をすることはなく、ATMで還付金を受け取ることもできません。巧みな話術にだまされないよう、十分注意してください。
まとめ
ふるさと納税による寄付金は、自己負担分2,000円を除いた控除上限額までの全額が所得税や住民税の控除対象になります。
控除を受けるには確定申告が必要ですが、要件を満たす場合は確定申告不要のワンストップ特例制度を利用することが可能です。なお、ワンストップ特例制度を利用した場合は所得税からの還付金は発生しません。還付金は確定申告から1~2ヶ月後に指定口座に振り込まれます。この時期には、還付金詐欺が発生することがあるため注意してください。