年始の挨拶の際、親戚の子どもにお年玉を渡す人も多いでしょう。そのとき、お年玉としていくら渡せばよいか迷うケースも少なくありません。この記事では、アンケート調査の結果をもとに、お年玉の相場を解説します。子どもの年齢に応じた金額や渡し方のマナーなどについても説明するため、ぜひ参考にしてください。
そもそもお年玉とは?
お年玉の起源は諸説あるものの、民俗学においては、年神様(歳神様)の贈り物を目上の人から目下の人へ分配したものがお年玉だと考えられています。昔は年神様のために神棚に供えた餅を年少者に与える風習があり、それが現在のお年玉のルーツになっていると思われます。
また、言語学や歴史学においては、お年玉はお正月の挨拶の際に添える贈り物を示す言葉です。たとえば室町時代の史料を見ると、贈り物を持参してお世話になっている人のもとを訪問したという記録が残っています。そのお返しとして、お酒などが振る舞われたそうです。当時、新年の挨拶の際にやり取りされたものは、すべてお年玉と呼ばれていました。
お年玉としてお金を渡すようになったのは、高度経済成長に入ってからです。現在のお年玉は、基本的に目上の人から目下の人へ渡します。なお、お正月に目下の人から目上の人へ何かを贈る場合は、「お年賀」といいます。
お年玉の相場は
ここでは、株式会社エイチームフィナジーが行った「お年玉に関するアンケート調査」をもとに、お年玉の相場を紹介します。
出典:【お年玉あげる側アンケート】いつまで、いくら渡してる?お年玉事情や思いの丈を大調査
小学生未満
小学生未満へのお年玉の金額として最も多かった回答は「~1,000円」の31.7%でした。2番目に多かったのは「~3,000円」の15.1%、3番目は「~2,000円」の11.8%です。また、そもそもお年玉をあげていないと回答した人の割合は28.4%でした。
小学生
小学生に対するお年玉の金額として、あげた人のなかで最も多かった回答は「~3,000円」の17.1%、2番目に多かったのは「~5,000円」の12.9%、3番目は「~2,000円」の11.6%でした。小学生には2,000~5,000円程度のお年玉を渡している人が多いようです。なお、小学生にお年玉をあげていないと回答した人の割合は38.8%でした。
中学生
中学生へのお年玉の金額として最も多かった回答は「~5,000円」の26.1%でした。2番目に多かったのは「~1万円」の11.0%、3番目は「~3,000円」の9.8%です。中学生にお年玉をあげていないと回答した人の割合は40.7%となっており、お年玉を渡していない人も多いことがわかります。
高校生
高校生に対するお年玉の金額として最も多かった回答は「~1万円」の18.9%、2番目に多かったのは「~5,000円」の18.7%でした。3番目は「~3,000円」の4.2%となっており、高校生にお年玉をあげている人の多くは5,000円以上を渡しているとわかります。なお、高校生にお年玉をあげていないと回答した人の割合は48.4%でした。
大学生・専門学生
大学生・専門学生へのお年玉の金額として最も多かった回答は「~1万円」の16.5%、2番目に多かったのは「~5,000円」の9.2%、3番目は「1万円以上」の5.2%でした。お年玉をあげていないと回答した人の割合は60.5%です。
全体的に、年齢が上がるにつれてお年玉の金額は上がるものの、あげていない人の割合も多くなっています。
お年玉の額に迷ったら
お年玉の額に明確な決まりはないため、基本的には自分があげたい額を渡せば問題ありません。ただし、どうしてもお年玉の額に迷う場合は、アンケートの結果を参考にしてみるとよいでしょう。たとえば、小学生未満は1,000円、小学生は3,000円、中学生は5、000円、高校生以上は1万円とすると平均的な額になります。
お年玉は何歳まであげる?
お年玉をあげる年齢についても、特に決まりはありません。お年玉を渡したいという気持ちがあるなら、相手が何歳になってもあげてよいでしょう。アンケート調査の結果においては、お年玉をあげるのは「大学生・専門学生まで」としている人が、最も多い39.8%となっています。次に多かった回答は「高校生まで」の32.7%です。
一般的には、相手が学生で収入が少ないうちは、お年玉をあげようと考える人が多いようです。
お年玉の渡し方は
アンケート調査の結果によると、お年玉の渡し方としては、「現金」が圧倒的に多く93.6%を占めています。ほとんどの人が、お年玉を現金で渡していることがわかります。現金に次いで多かった回答を順番に紹介すると、2番目は「送金(電子マネーなどキャッシュレス)」の10.0%、3番目は「金券(Amazonギフト券、図書カードなど)」の7.0%、4番目は「振り込み」の6.8%、5番目は「その他」の2.8%です。
近年、日常的にキャッシュレッス決済を選択する人が増えており、それがお年玉の渡し方にも少しずつ反映されているようです。お年玉を送金にすれば、コロナ禍で会えない遠くにいる子や孫などにもスムーズに渡せるでしょう。
お年玉を渡すときのマナー
お年玉を渡す際は、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。ここでは、お年玉を渡すときに意識したいマナーについて解説します。
ポチ袋に入れて渡す
お年玉を現金で渡す場合は、できるだけポチ袋に入れましょう。ポチ袋は文房具店やスーパーなどで購入できます。表に相手の名前、裏に自分の名前を書くのも忘れないようにしてください。相手に向けたメッセージを添えると、より喜んでもらえるでしょう。
どうしてもポチ袋を用意できないときは、封筒に入れても構いません。また、急きょお年玉を渡すことになってポチ袋も封筒も手元にないなら、紙やティッシュペーパーに包むという方法もあります。いずれにせよ、むき出しの状態でお年玉を渡すのだけは避けましょう。心配な人は、お正月が近くなったら多めにポチ袋を用意しておくと安心です。
お金は新札で
お年玉はおめでたいものなので、新札で渡すのが基本です。お年玉を急にあげることになり新札を用意していない場合は、手持ちの現金のなかでなるべくきれいなものを選びましょう。新札でなくて申し訳ないという気持ちを口頭で伝えると、よりていねいです。
また、お年玉をポチ袋に入れる際は、お札を3つ折りにします。ポチ袋の大きさによっては2つ折りにしても構いませんが、4つ折りは縁起が悪いと考えられているため避けてください。
なお、お札を折るときは肖像画が内側になるようにします。ポチ袋に入れる際に肖像画が見えなくなるため、向きが逆さまにならないように気をつけてください。硬貨も入れる場合は、製造年が書かれている面が後ろになるようにしましょう。
まとめ
お年玉の金額に決まりはありませんが、多くの人が渡している相場を踏まえるとより安心です。ただし、そもそもお年玉やお年賀は新年を祝うためのものであるため、その気持ちを第一に考えるべきでしょう。基本的なマナーを意識しつつも、新年に親しい人と顔を合わせる機会をぜひ楽しんでください。