私立中学の学費は公立の約3倍!? 学費以外にかかる費用や必要になる年収とは

子どもの進学先を公立ではなく私立にしたとき、気になるのは「学費」ではないでしょうか。私立の学費は、当たり前ですが公立よりかかります。私立中学に進学するのであれば、ある程度まとまった貯蓄も必要になるでしょう。この記事では、私立中学にかかる学費に関して詳しく解説します。

私立中学にかかる学費の平均

私立中学にかかる学費の平均は以下のとおりです。

東京都内の私立中学に限定すると平均額は以下のようになります。

都内の私立中学校のほうが学費の平均は安いように見えますが、こちらには修学旅行費や学校外教育費などは含まれてはいません。

※参考:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
    東京都「令和4年度 都内私立中学校の学費の状況」

公立中学との比較
続いて、公立中学の学費の平均は以下のとおりです。

私立中学は学校給食を採用していないところも多く、学校給食費は公立中学のほうが高くなっています。しかし、そのほかの項目はすべて私立中学のほうが高いことがわかります。総額で比較すると、私立中学は公立中学の約3倍の学費が必要です。

※参考:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」

私立中学に進学するときにかかる学費以外の費用

私立中学に進学しようとすると、学費以外にもさまざまな費用がかかります。具体的にどのような費用が要るのか、それぞれ解説します。

中学受験塾に通う費用
学校にもよりますが、私立中学に進学するためには通常学力試験を受けて合格しなければなりません。私立中学の受験勉強は、専門知識や多くの情報を集める必要があり、中学受験塾に通うことが一般的です。

中学受験塾には、基本的に小学4~6年生の3年間通います。塾にもよりますが、授業料は4年生で年間60万円、5年生で80万円、6年生で100万円くらいが相場です。

受験料
私立中学を受験するには、1校につき受験料が2万円くらいかかります。その際は、落ちてしまったときのことを考え5~6校は受験するのが一般的です。なかなか受からないようなことがあれば、受験校はどんどん増えるため、最終的に10校近く受ける児童もいます。

そのため、中学受験の受験料として10~20万円は用意したほうがよいでしょう。

制服や学用品
次は、入学後にかかる費用について説明します。私立だと、制服以外にも室内履き、体育館履き、体操服、通学カバン、コート、靴下、すべて学校指定のものを用意しなければならない学校もあります。

もちろん公立中学も、学校指定の制服があるのが一般的ですし、指定の学用品を用意しなければならないところもあります。しかし、基本的に私立中学よりはリーズナブルであるケースが多いようです。

修学旅行や研修にかかる費用
公立中学の場合、修学旅行や研修を行うとしても、基本的に国内で費用もそこまでかかりません。しかし、私立中学だと行き先が海外になり、公立中学に比べ多額の費用がかかることがあります。公立中学の修学旅行の相場は5~6万円ですが、私立中学になると20万円を超えるケースもあるでしょう。

さらに、私立中学には留学制度などが整っているところも多く、子どもによっては長期間海外留学を希望する場合もあります。留学先や期間にもよりますが100万円を超えることも珍しくありません。

私立中学に通う人への経済的支援

私立中学へ進学しようとすると入学前から多くの費用がかかりますが、こういった費用が払えないようであれば、通常は公立中学へ進学します。中学は義務教育で誰でも公立中学校に入学できるため、私立中学に行けないからといって進学先には困らないでしょう。そのためなのか、私立中学に通う人に対する経済的支援はそこまで手厚くありません。

唯一ある支援は、年収400万円未満かつ資産保有額600万円以下の世帯を対象に、学費から差し引くかたちで年間最大10万円を支援するものです。この支援については学校から申請書類が配布されるため、そちらを参照してください。

それぞれの学校にある特待生制度などもある
私立中学によっては、学力優秀な生徒、金銭的に通学が困難な生徒に授業料全額もしくは一部免除などを行う特待生制度を設けているところもあります。特待生制度の実施の有無や内容は、それぞれの学校によって大きく異なります。特待生制度がまったくない学校もあるため、入学前に調べてみてください。

私立中学に通わせるために必要な年収

私立中学に進学するにはお金がかかりますが、そうなると、どのくらいの世帯年収が必要なのか気になる人もいるでしょう。そこで、私立中学と公立中学、それぞれに進学している子どもがいる世帯年収の構成比を紹介します。

公立中学で一番多い世帯年収帯は「400万円~599万円」「600万円~799万円」ですが、私立中学になると「1,200万円以上」が最多となります。世帯年収が多いほど、子どもを私立中学に通わせる傾向があるといえるでしょう。

ただ、私立中学にも「400万円未満」の世帯が3.9%あることから、最低限必要な年収というものは決まっていません。どの年収帯でも、子どもの私立中学進学を目指すことはできるようです。

※参考:子供の学習費調査 / 平成30年度 子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比

まとめ

学校外教育費なども含めると、私立中学進学には年間140万円近くの費用がかかります。また、私立中学に進学するのであれば、中学受験塾に通い、何校も受験することが一般的です。入学前から、年間60万~100万円の費用がかかると思っておきましょう。

私立中学に通う子どもがいる世帯の世帯年収は、1,200万円以上が一番多くなっています。ただし、それ以下の年収帯の割合を合計すると7割弱となるため、年収が1,200万円ないと、私立中学に行けないというようなことはありません。出費をおさえて学費をためれば、私立中学進学は可能といえるでしょう。

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