ふるさと納税の控除を受けるときには、原則として確定申告が必要です。しかし、ワンストップ特例制度を利用すれば年末調整をするだけで寄附金控除を受けられます。会社員などの給与所得者にとってワンストップ特例制度は便利なものですが、具体的なやり方がわからない、という人もいるでしょう。
そこで今回は、ワンストップ特例制度の利用方法や申請書の書き方について解説します。
ふるさと納税のワンストップ特例制度とは
ふるさと納税は、応援したい自治体に対して寄附を行い、寄附した金額に応じて住民税の控除と所得税の還付を受けられる仕組みです。
ふるさと納税で支払った金額は寄附金となるため、寄附金控除として申請します。寄附金控除は年末調整対象外で確定申告が必要ですが、ワンストップ特例制度を利用すれば年末調整でふるさと納税の寄附金控除を受けられるようになります。
ワンストップ特例制度を申請できる条件は以下のとおりです。
・もともと確定申告や住民税申告をする必要がない給与所得者
・ふるさと納税以外に確定申告が必要な控除がない人
・年間寄附先が5自治体以内
これらの条件に該当している人がワンストップ特例制度を利用すると、確定申告の手間が省けます。
ふるさと納税ワンストップ特例申請をするための手順
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用するためには、自ら申請を行わなければなりません。申請は返礼品を選んで寄附を申し込む段階から始まります。ここでは、ふるさと納税ワンストップ特例申請をするための手順について解説します。
寄附先の自治体や返礼品を選ぶ
まずは、どの自治体のどの返礼品を選ぶのか決めましょう。寄附が目的であれば金額を気にする必要はありません。しかし、住民税の控除や所得税の還付の範囲内で行いたい場合は、年収やそのほかに受けられる控除によって上限額が変わります。寄附金控除額の計算シミュレーションなどを利用して、上限額以下の返礼品を選ぶようにしましょう。
ただし、ワンストップ特例制度を利用するためには、1年間に寄附をする自治体を五つ以内に抑えなければなりません。六つ以上になると確定申告が必須となるため注意してください。
「ワンストップ特例制度を利用する」にチェックを入れて申し込む
返礼品を選び寄附をする際に、「ワンストップ特例制度を利用する」「自治体からのワンストップ特例申請書の送付を希望する」といった項目を選択できる場合があります。ここで選択をしておけば、該当の自治体からワンストップ特例申請書が送付されます。
もしチェックを忘れてしまったときでも、ワンストップ特例申請書は、総務省や各自治体のホームページから自分でダウンロード可能です。そのため、チェックをせずに申請してもワンストップ特例制度は利用できます。
ワンストップ特例申請書を受け取る
申請時にワンストップ特例制度を利用することにしておけば、申請書はそれぞれの自治体から送付されます。なかには申請書の郵送に対応していない自治体もあるため、そういった場合も自分でダウンロードして申請書を用意しましょう。
また、利用するふるさと納税のサイトによっては、紙による申請書ではなくアプリなどを使い電子的に申請できるケースもあります。オンライン申請を利用するのであれば、申請書の管理や郵送などが必要なく、必要書類の送信もインターネットを通じて行えます。
必要書類を用意する
ワンストップ特例制度を利用するときの必要書類は以下のとおりです。
・ワンストップ特例申請書
・本人確認書類
本人確認書類は次のいずれかの組み合わせを用意します。
・マイナンバーカードの表面と裏面
・マイナンバー通知カードもしくはマイナンバーが記載されている住民票+運転免許証もしくはパスポート
上記の組み合わせを用意できない場合は、次の組み合わせでも可能です
・マイナンバー通知カードもしくはマイナンバーが記載されている住民票+健康保険証、年金手帳、提出先自治体が認める公的書類のなかから2点
ワンストップ特例制度の申請のためには、上記の必要書類を用意しましょう。
ふるさと納税ワンストップ特例申請書の書き方
ふるさと納税のワンストップ特例申請書では、まず、以下の事項を記入します。
1.申請書を提出した日
2.住所(住民票の住所)
3.電話番号
4.氏名
5.マイナンバー
6.生年月日
7.寄附をした日
8.寄附金額
同じ自治体に複数のふるさと納税をした場合でも、その都度申請することが必要です。そのため、寄附した日、寄附金額は、選んだ返礼品一つについてのみ記入します。
ワンストップ特例制度に該当するかどうか確認する項目として、9. 10.のチェック項目があります。該当する場合はチェックを入れましょう。9.はふるさと納税以外に確定申告を行う必要がない人、10.はふるさと納税を行った自治体の数が5以下であることを指します。最後に11.の欄に住所、氏名を記入すれば終了です。
申請書を記入し必要書類とともに郵送する
先ほど解説したとおりに申請書を記入し、必要書類とともに該当の自治体に送付します。送り先はそれぞれの自治体のホームページに記載されていることが一般的です。送り先がわからない場合は、自治体に問い合わせるなど自分で調べ送付しましょう。
もし、送付後に住所や氏名の変更などがある場合は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」の郵送が必要です。この変更届もふるさと納税のサイトや各自治体、総務省のサイトなどからダウンロードできます。
ふるさと納税ワンストップ特例申請に関する注意点
ふるさと納税ワンストップ特例制度は、正しく申請しないと控除を受けられません。きちんとこの制度を利用するために気をつけなくてはならないことについて解説します。
申請期限は翌年の1月10日まで
ワンストップ特例制度は寄附する自治体へ申請が必要ですが、その申請期限はふるさと納税を行った翌年の1月10日までとなっています。この期限を1日でも過ぎると年末調整でふるさと納税の寄附金控除を受けられず、確定申告が必要となります。
電子申請の場合は当日でも間に合いますが、紙の書類を郵送するときは1月10日までに該当する自治体に到着していなければなりません。年明け間もないころは年賀状や寒中見舞いなどで郵便局は混雑します。郵送で申請する場合は、早めに送付しましょう。
ちなみに、申請内容に変更があったときに送付する「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」の提出期限も、同じく1月10日までです。
ワンストップ特例申請書を郵送しない自治体もある
ワンストップ特例申請書は基本的に該当の自治体から送られてくるものですが、なかには郵送をしていないところもあります。また、ふるさと納税をしたのが年末で申請期限が近づいている場合は、郵送しても間に合わないため、郵送を停止しているケースもあります。
このような場合は、総務省、各自治体、ふるさと納税を扱うサイトなどを利用して自分で申請書をダウンロードしましょう。
受け取った申請書をなくしたときは自分でダウンロード可能
申請書を受け取ったのになくしてしまったときも、自分で申請書をダウンロードして利用できます。特に再発行の手続きや、紛失の届け出などは必要ありません。
また、自分で申請書をダウンロードして郵送したあとに、入れ違いで自治体から申請書が届くこともあります。そういったときは再度申請する必要はなく、使用しない申請書は破棄して構いません。
まとめ
ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用すると、本来確定申告が必要なふるさと納税の税金の控除が年末調整でできるようになります。申請書は該当の自治体から送付、もしくは自分でダウンロードして用意できます。
ワンストップ特例制度の申請書は翌年1月10日までに、該当の自治体に届けなければなりません。期限を過ぎると確定申告が必要になるため、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用する人は、早めに申請書や必要書類を準備して送付するようにしましょう。