和室に障子があると独特な佇まいを感じられます。ただし、障子紙は傷みやすいため、定期的な張り替えが必要です。障子はどの程度の頻度で張り替えればよいのでしょうか。この記事では、障子を張り替えるタイミングについて解説します。障子を張り替える方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
障子の種類
障子紙の種類には、和紙とプラスチック紙があります。ここでは、それぞれ素材の特徴と張り方の違いを説明します。
和紙
和紙は、日本の伝統的な製法によって作られている紙です。洋紙と比べると繊維が長く丈夫で、障子紙としても使用されています。
和紙は、さらに手すき和紙と機械すき和紙に分けられます。手すき和紙は、クワ科の楮(こうぞ)が多く含まれているのが特徴的です。一方、機械すき和紙は使用できる素材が複数あり、それによってさらに呼び名が分けられています。具体的には、機械すき楮和紙、レーヨン障子紙、パルプ障子紙などです。
現在では、手すき和紙を使用している障子はあまりありません。機械すき和紙のほうが主流となっています。
プラスチック紙
プラスチック紙は、薄い塩化ビニール製のシートで和紙を挟んだものです。見た目は和紙と変わりませんが、プラスチックを使用しているためより丈夫です。日焼けがしにくいところもメリットです。さらに、和紙と比較するとより気密性が高いため、冷暖房の効率もアップします。
また、プラスチック紙の多くは、両面テープやアイロンで張るタイプです。障子用ののりを使用して張る和紙よりも、簡単に障子の張り替えができます。作業が楽になるため、素人でも定期的な張り替えに対応しやすいのもポイントです。
障子を張り替えるタイミング
障子はどのようなときに張り替えればよいのでしょうか。ここでは、障子を張り替えるタイミングについて解説します。
穴が開いたら
和紙の障子紙を使用している場合、誤って障子に触れると穴が開くことがあります。ペットや子どもがいたずらをして、穴を開けてしまう場合もあるでしょう。障子に穴が開いたら、できるかぎりすぐに障子を張り替えてください。障子は薄くて光を通すため、穴が目立ちやすいためです。
もちろん、障子に開いた穴を隠すためのシールを使用して、応急処置をしても構いません。ただし、場合によっては穴が余計に目立つ可能性もあります。
日焼けや汚れが目立ったら
和紙が日に当たり続ければ、経年変化により日焼けの黄ばみが目立ってきます。また、手が触れたりほこりが溜まったりすると、汚れも気になるようになります。日焼けや汚れが目立ってきたときも、障子の張り替えのタイミングです。
日焼けの黄ばみは拭いても落ちないため、きれいにするには障子を張り替えなければなりません。障子の汚れは優しく拭くときれいになる場合もありますが、汚れが落ちないなら張り替えが必要です。
紙がたるんできたら
和紙を張った直後は、ピンと張っていて美しく見えます。しかし、時間が経てば少しずつ和紙の張りがなくなり、たるみが気になってきます。和紙にたるみがあると見た目がよくないため、張り替えが必要です。
障子の紙がたるんでいるだけでは日常生活に対する支障を感じず、なかなか張り替えようとは思わないかもしれません。とはいえ、そのままにしていると来客時に恥ずかしい思いをする可能性があるため、注意しましょう。
カビが生えたら
障子は、性質上カビが生える場合があります。障子には湿気を吸収する性質があり、湿度が高かったり、あまり換気されていなかったりする部屋では、特にカビが繁殖しやすくなります。カビが発生している範囲が小さければ、漂白剤やカビ取り剤を使用して落とせるかもしれません。しかし、範囲が大きいなら、障子そのものを張り替えたほうがよいでしょう。
障子にカビが生えていると、健康被害につながるリスクもあります。安心して過ごせる環境を作るためにも、カビが生えたら早めに障子を張り替えてください。
5年を目安にする
見た目に変化がなければ、障子の張り替えはある程度の期間行わなくても問題ありません。ただし、障子紙の寿命は5年程度といわれているため、5年を目安に張り替えるとよいでしょう。
障子は日焼けにより全体が少しずつ黄ばんでいきます。よって、自分たちはあまり気になっていないとしても、実際には障子が本来の色よりも黄ばんでいる可能性があります。障子を張り替えるサイクルを決め、特に問題がなくても定期的に張り替えるようにしましょう。
障子を張り替える方法
ここでは、障子を張り替える際に用意するものと、具体的な方法を紹介します。
用意するもの
障子を張り替えるには、以下のものを用意します。
・障子紙
・障子用ののり
・霧吹きまたは刷毛(和紙の場合)
・ドライヤー(プラスチック紙の場合)
・スポンジや割り箸
・マスキングテープ
・ぞうきん
・カッターナイフ
・定規
和紙の場合とプラスチック紙の場合では、必要なものが少し異なります。使用する素材に合わせて準備を整えましょう。
古い障子紙をはがす
古い障子紙は、水で湿らせるとはがせます。和紙の場合は霧吹きや刷毛などを使用し、組子や桟に沿って障子紙を濡らしましょう。その後、少し経つと古い障子紙がはがれやすくなるので、障子の下側からはがしてください。まだのりがのこっている部分があれば、スポンジや割り箸でこするとはがれます。
プラスチック紙の場合は、ドライヤーを使用してのりがついている部分を温めるとはがれます。
新しい障子紙を仮止めする
古い障子紙をすべて取り除いたら、障子の木枠をよく乾かします。その後、新しい障子紙を当てて仮止めを行います。仮止めは、障子の木枠を寝かせて置いた状態で行いましょう。障子を張る位置を決めたら、マスキングテープでとめます。このときは上桟だけをとめるのがポイントです。
風の影響を受けにくく、平らな場所を選ぶと作業しやすくなります。いきなりのりを塗ると失敗する恐れがあるため、仮止めは必ず行ってください。
のりを塗る
仮止めの位置を参考にし、のりを塗りましょう。組子と桟にのりを塗ったら、乾かないうちに手早く障子紙を張ります。障子紙を優しく上から押さえ、しっかり固定することが大切です。
のりを塗る際は、塗り忘れが生じないよう気をつけましょう。塗り忘れがあると、障子がたるんで見た目が悪くなります。
仕上げをする
障子を枠に合わせて切り取り、仕上げを行います。障子の張り替え用の定規を使用すると、障子紙をきれいにカットできます。のりがはみ出している場合は、きちんと拭き取りましょう。
その後、のりが完全に乾くまでそのままにしておきます。障子の裏側から霧吹きで水をかけると障子がピンと張りやすくなるため、おすすめです。仕上げまで丁寧に作業し、障子を美しく張り替えましょう。
まとめ
障子の張り替えは、実際にやってみるとそれほど難しくありません。自宅に障子がある場合は、ぜひ障子の張り替えにチャレンジしてみてください。もし障子の張り替えに挑戦して失敗した人や、そもそも自分で張り替える自信がないという人は、リフォーム会社に障子の張り替えを依頼してもよいでしょう。