年末恒例の大掃除。普段はなかなか手が出せず、後回しにしていた換気扇・レンジフードを「大掃除できれいにしたい」という人も多いのではないでしょうか。
家の中でも特に汚れが気になりやすい換気扇は、放置するとデメリットが生じてしまうこともあるので注意が必要です。
この記事では、換気扇の掃除が必要な理由に加え、掃除方法や適した時期について詳しく解説します。
換気扇の汚れを放置してはいけない理由
さまざまな調理を行うキッチンの換気扇は、油汚れが溜まりやすい場所です。
面倒な掃除場所としてよく挙げられますが、汚れを放置すると思わぬトラブルにつながることもあります。
換気性能が低下する
換気扇の汚れが及ぼす影響としてまず考えられるのが、換気性能の低下です。
台所で調理をすると、油が飛んだり、細かい油の粒子が空気と共に換気扇に吸い込まれたりして、ファンやフィルターに油汚れが付きます。また、べとつく油汚れには空気中のほこりが付着しやすく、油とほこりが混ざった換気扇特有の汚れが目立つようになります。
本来空気が通る場所に汚れがたまり換気扇の性能が落ちれば、調理時の煙や臭いが部屋に充満してしまうことも。換気扇本来の性能を保つためにも、こまめな清掃は大切です。
電気代がよけいにかかる
換気扇の汚れを放置しておくと、電気代がよけいにかかる恐れもあります。
換気扇に汚れがたまると、ファンやヒーターを動かすモーターに負荷がかかります。汚れのぶん重くなったモーターを作動させるためには、本来よりもよけいな電気を使うことになるのです。
また、汚れで換気性能が低下した換気扇は換気効率が悪いため、長く運転しなければ空気が入れ替わりません。調理する機会が多いほど、換気扇のよけいな運転時間が増え、電気代もかさむことになるでしょう。
雑菌やカビの温床になる
汚れた換気扇は、雑菌やカビにとって格好の繁殖場所です。
油汚れやほこりは、雑菌やカビの栄養源。放置しておけば、汚れをエサにどんどん広がってしまいます。また、換気扇の裏は、油汚れやカビを好む害虫の住みかになることもあります。
多くの換気扇はコンロの真上に設置されているため、不衛生な状態が続くのは避けたいところです。料理に雑菌やカビ、害虫などが混入すると食中毒などの健康被害を引き起こすこともあるので注意しましょう。
また、繁殖した雑菌やカビが、換気扇を作動させることによって、室内に拡散されてしまう可能性もあります。室内の衛生を保つためにも、換気扇はなるべくきれいに保ちましょう。
火事の原因になることも
換気扇の汚れを放置すると、思わぬ火事の原因にもなりかねません。
換気扇には、油とほこりが入り混ざった可燃性の汚れが蓄積されています。汚れの層が厚くなると、コンロの熱をためこんで発火することがあり、非常に危険です。また、ファンを動かすモーターが劣化すると運転中に高温になりやすく、発火原因となる場合もあります。
厚く付着した油汚れは固形燃料のように火が消えにくく、延焼の恐れがあるので注意が必要です。さらに、固まった油汚れがコンロの熱で溶け、火や揚げ物鍋に落下すると引火の危険性もあります。
火事を避けるためにも、換気扇の掃除はこまめに行いましょう。
換気扇掃除に適した季節は
年末の大掃除で行われることが多い換気扇掃除ですが、本当に掃除しやすいのは他の季節です。換気扇掃除に適しているのはどんな時期なのでしょうか。
掃除に適した時期は暖かい季節
換気扇掃除に適しているのは、実は気温の高い夏。
換気扇に付く汚れの大部分を占める油は、気温が低いと固まり、高いと溶ける性質を持ちます。このため、寒い冬は固まった油汚れがしっかりとこびりついてしまい、簡単には落とせなくなるのです。
夏なら油汚れもゆるく溶けて落としやすくなるので、掃除の手間が省けます。換気扇掃除の時短を狙うなら、夏場に済ませてしまいましょう。
寒い時期に掃除するならお湯を活用
換気扇の掃除は夏が適していますが、冬に行う場合はお湯を使うのがおすすめです。
前述のとおり、換気扇に付く油汚れは気温が低いと固まってしまいます。汚れたファンや部品を50℃ほどのお湯につけて温めることで、汚れが落としやすくなります。
さらに、洗剤をお湯に入れてつけ置きするとさらに有効です。つけ置き後はブラシなどでこすって汚れを落としましょう。
換気扇の種類別掃除方法
換気扇にはいくつか種類があり、掃除方法も異なります。効率的に掃除を行うには、それぞれの種類に適した掃除方法をとることが大切です。
なお、換気扇の金属部品は、素手で扱うと怪我をする恐れもあるので注意が必要です。洗剤による肌荒れ防止も兼ねてゴム手袋を装着するなど、安全に気をつけつつ掃除を行いましょう。
シロッコファンの換気扇
近年、ほとんどのキッチンにはシロッコファンと呼ばれる換気扇が設置されています。
シロッコファンとは、吸い込んだ空気を、ダクトを通して排気する換気扇を指します。換気扇と屋外が直接つながっている必要がなく、ダクトで排気場所が調節できるため、集合住宅の多くで採用されているタイプです。
なお、コンロの上部を覆うように口を開けた吸気設備「フード」と換気扇のファンが一体になった「レンジフード」も、シロッコファンの代表的な形状です。
シロッコファンの掃除をする際は、まず部品を外すところからはじめましょう。具体的な手順は以下のとおりです。
1.部品(整流板・フィルター・ベルマウス・ファン)を外す
2.フィルターに洗剤を振りかける
3.外した部品をバケツなどで洗剤の溶液につける
4.外せない部分は洗剤スプレーで掃除する
5.フィルターと外した部品を水洗いする
6.外した部品を取り付ける
洗剤は重曹やセスキ炭酸ソーダや酸素系漂白剤がおすすめです。油汚れと洗剤が反応するまでにやや時間がかかるため、洗剤をかけてから少し待ちましょう。
プロペラファンの換気扇
プロペラがトレードマークのプロペラファンは、古い戸建て住宅で多く見られる昔ながらの換気扇です。シロッコファンがダクトを通じて排気を行うのに対し、プロペラファンは設置場所から直に室外へ排気します。
シロッコファンと比べて構造が単純で、簡単に掃除ができる点がメリット。部品を外してから洗剤で洗う手順はシロッコファンと同じですが、部品が少ないため分解も手軽です。
また、プロペラの換気扇はファン部分が小さいタイプが多いので、キッチンシンクで簡単に洗えます。油が固まって分解しづらい場合は、ドライヤーなどで軽く温めてみましょう。
プロに依頼するという方法もある
「換気扇を放置していたら手が付けられないほど汚れがひどくなってしまった」「年末は特に忙しく、大掃除の時間を捻出できない」という場合には、ハウスクリーニングや家事代行などプロの清掃会社に依頼するのもおすすめです。
慣れない換気扇掃除は、やり残しやモーターの劣化など見落としも多く、時間や手間をかけても隅々まで掃除しきれないこともあります。しかし、換気扇の種類や構造、汚れの落とし方に精通したプロならその心配もありません。
換気扇・レンジフードのクリーニング代は、8,000~18,000円が一般的な相場です。換気扇周りの汚れを一掃したい場合には、専門会社への依頼も視野に入れておきましょう。
まとめ
油汚れがたまりやすい換気扇は、放置しておくと衛生面・安全面でデメリットが生じる恐れがあるため、なるべくこまめに掃除しておきたい場所です。
本来は気温の高い夏が掃除に適していますが、年末の大掃除で行う場合はお湯を活用するのがおすすめ。また、時間がない場合は専門会社に依頼するのも一つの方法です。
今回紹介したコツを実践して、手際よく換気扇を掃除しましょう。