快適だけどお手入れ大変!? 和室のメリット・デメリット、賃貸の場合の注意点

和風から洋風への生活様式の変化で、全室洋室の住宅も増えているようです。ベッドで寝起きしているため、特に和室がなくても困らないという人もいるでしょう。しかし、いざ我が家を新築または購入する際、本当に和室がなくていいのか悩む人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、和室のメリット・デメリットや、和室のある部屋を賃貸する場合の注意点などについて解説します。

和室にはどんなメリットがある?

和室は、畳敷きで襖や押入れなどがある日本古来の家屋に見られる伝統的な部屋です。和室に欠かせない畳は、日本の風土に適した床材といえます。ここでは和室のさまざまなメリットについて紹介します。

多目的に使える
畳はフローリングと比べると柔らかくクッション性があるため、そのまま寝転んだり、くつろいだりするのに適しています。和室は、居間や寝室、子どもの遊び場、お昼寝スペースなど、さまざまな用途で使えるのもメリットです。

床の間や仏間が備えられた和室なら、仏壇を置いたり、掛け軸や骨董品を飾ったりしても様になります。花や美術品などで華やかにしてあれば、客間として訪問客をおもてなしするのにもぴったりです。押し入れに客用布団を備えておけば、そのまま泊まってもらうこともできます。

湿度を快適に保つ
伝統ある本畳1枚の表面には、4,000~7,000本もの天然のイグサが整然と織り込まれています。イグサは吸湿性に優れているため、湿度が高いときは湿気を吸湿し、乾燥しているときは吸湿した水分を放出する特性があります。

畳には室内の湿度を快適に保つ働きがあるため、夏は高温多湿で、冬は乾燥する日本特有の気候に適した床材なのです。日本家屋の和室によく見られる砂壁にも調湿効果があり、畳と合わせることで一層の効果が期待できます。

防音効果がある
マンションなどの集合住宅では、住人の足音や生活音などの固体音が階下や隣戸に響いてトラブルになりがちです。そのため、分譲の集合住宅では音の響きにくい高価なフローリングに規定されていたり、賃貸などではクッションフロアなどの柔らかめの床材を敷いていたりすることがあります。

その点、畳の部屋はフローリングと比べて音が響きにくい床材です。畳の部屋なら畳床の厚みとクッション性があるため、音や振動が直接伝わることもなく、空気伝播音も吸収してくれるため、防音対策にも有効です。

リラックス効果がある
新しい畳は、青々としたイグサの良い香りが強く残っています。このイグサの香りには、人の心をリラックスさせる効果があります。イグサには「森の香り」とも呼ばれるフィトンという成分が含まれており、この香りがリラックス効果をもたらすといわれているのです。

さらに、イグサの芳香がヒトの学習機能にどのような働きを持つかについて検証した研究報告書もあります。検証結果によると、フローリングよりも畳のほうが学習に対する集中力の持続効果があることが明らかになっています。

和室のデメリットは?

メリットだらけの和室に思えますが、反面、デメリットもあることを理解しておきましょう。次に、和室のデメリットと感じる点について解説します。

お手入れが大変
和室の畳には吸湿性があると説明しました。そこに、ホコリや髪の毛、垢やフケ、食べかすなどがあれば、カビやダニが生息しやすい環境を作り出してしまいます。そのため、畳の目や敷居、繊維のすき間などに汚れが溜まらないように、普段からしっかりと掃除をしなければなりません。

新しい畳は5年以上経過すると段々と劣化してきます。使用状況や環境により異なりますが、そもそも畳は消耗品であるため、定期的な張り替えが必要になります。そのため、和室を来客用の部屋として使う場合はなおさら、畳やふすま、障子などを良い状態で維持するためのコストがかかることを理解しておきましょう。

置ける家具が限られる
和室をどのように使うかにもよりますが、ベッドや机などの重い家具を置くと畳がへこむため、設置できる家具が限られます。クッション性があり不安定なため、家具の下に敷板などを敷かなければならない場合もあるでしょう。

また、家具を移動させる際に引きずると、畳にキズがつく可能性があります。椅子なども、キャスターの下にマットなどを敷いて使うことになり、せっかくの畳の良さを損ねてしまいかねません。また、家具と畳の間に湿気が溜まり放出できないと、カビが生えやすくなってしまうのもデメリットです。

和室の種類とそれぞれのメリット・デメリット

和室の壁の造りは、真壁と大壁で違いがあります。ここでは、それぞれの特徴の違いと、メリット・デメリットを解説します。

真壁和室
真壁(しんかべ)の和室は、柱や梁が見えるように作られています。昔ながらの日本家屋に見られる伝統工法です。真壁和室は柱が露出するため、見栄えの良い高級な木材を使って、客間として使用されることも多いでしょう。

真壁は高級感があり、木の温かみを感じられるのがメリットです。一方で、施工の技術の良し悪しが明確になる工法でもあり、丁寧に仕上げるには時間や手間がかかるため、その分コストが高くなる点がデメリットです。

大壁和室
大壁とは、柱や梁を壁の内側に収める工法で、壁や天井がすっきり平らになります。真壁とは、柱や梁が見えるか見えないかが大きな違いです。

真壁が昔ながらの和室であるのに対して、大壁はシンプルな作りで古い純和風の印象が薄い点が特徴です。新築住宅でよく見られる和モダンのイメージなので、現代の家具や洋風のインテリアとも合わせやすいメリットがあります。

真壁和室よりも建築コストを抑えられる点もメリットです。ただし、壁の内側に柱や梁を収めることになるため、どうしても壁に厚みが出る分、真壁よりも部屋の面積がやや狭くなる点がデメリットです。

和室の賃貸物件を選ぶ際の注意点

和室はフローリングの洋室よりも汚れやキズがつきやすいため、賃貸では特に気をつけなければなりません。畳は、食べこぼしや汚れをすぐに対処せずに放置すると、シミやカビの原因になってしまいます。

また家具の移動によって、キズができたり畳の表面がささくれたりすることもあります。入居年数にもよりますが、入居者の不注意によって畳が傷んだ場合は、退去時に修繕費を負担しなければなりません。障子やふすまも、畳同様、張り替えが必要になるケースもあります。

退去時の原状回復費用の負担範囲については、地域の慣習や大家によっても対応が異なるため、契約内容をしっかり確認しておく必要があるでしょう。

まとめ

和室には湿度を一定に保ったり、防音性を高めたりする効果があります。何より、座ったり寝転がったりしてリラックスできる癒やしの空間となるのは、畳敷きの和室ならではです。フローリングの洋室とは違った使い方ができるのが和室のメリットといえるでしょう。

ただし、メンテナンスに手間やコストがかかる点には注意が必要です。賃貸の場合、畳の枚数が多いと退去の際の修繕費も気になることでしょう。貸主と借主の負担割合がどのようになっているのか、事前に確認しておくことをおすすめします。

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