お中元やお歳暮は、お世話になった人に感謝の気持ちを伝える贈り物をする習慣です。上司や恩師などには、お中元とお歳暮のどちらを渡せばよいのか、それぞれ違いはあるのか、相場はどのくらいかなど、迷うこともあるでしょう。そこで、本記事ではお中元とお歳暮の違いや相場、贈る際のマナーなどについて解説します。
お中元とは
まず、お中元の起源や贈る時期、金額の相場などについて紹介します。
贈る時期
お中元は、7月初めからお盆くらいに贈ることが一般的ですが、地域によって時期は異なります。東日本では7月上旬~7月15日まで、西日本では7月中旬~8月15日までに贈ることが通例です。
また、お盆をいつ行うかによってもお中元を贈る時期は変わります。一般的に、7月がお盆のところは7月上旬~7月15日まで、8月がお盆であれば8月上旬~8月15日までに相手に届くようにします。
由来
お中元の由来は中国の中元節にあります。中元節とは、道教で説かれる三元の一つで、旧暦の7月15日になります。旧暦の1月15日が上元、10月15日が下元になり、三つ合わせて三元です。中元節は地獄の帝(みかど)「地官大帝」の誕生日であり、死者の魂がさまようと考えられていたため、鎮魂のための燈籠流しなども行われていました。
日本では、中元節と仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が結びつき、お中元が祖先の霊を供養する日になっていきました。江戸時代以降はお中元に親類や知人が往来し、お盆の返礼に贈り物をする習慣が生まれ、これがお世話になった人に贈り物をする現在の「お中元」に変化したと考えられています。
金額の相場
お中元を贈る際、いくらくらいの品物を選ぶべきかで悩む人もいるでしょう。JOYLAB株式会社が30代以上の主婦1,117人を対象に行ったお中元に関する意識調査によると、以下のような結果になりました。
お中元の予算で最も多かったのが3,000円~4,000円未満でした。次に多いのが4,000円~5,000円未満だったことから、基本的には3,000円~5,000円の範囲で選ぶ人が多いということがわかります。
※参考:JOYLAB株式会社「【毎年悩むお中元!!】もらってうれしくないお中元で不名誉な第1位は「○○」!好みではないお中元の商品は人にあげるか無理やり消費・・・もっと良い解決方法は?」
お歳暮とは
続いて、お歳暮について、由来や贈る時期、金額の相場などを解説します。
贈る時期
お歳暮はその年にお世話になった人へ、感謝の気持ちを込めて年末に贈るものです。時期は地域によって多少違いがありますが、おおむね12月10~12月20日までに届くように贈ることが一般的です。
ただし、関東地方ではやや早く12月の上旬~12月20日ごろまで、最近では11月の終わりごろに贈る人も増えています。関東を除く北海道から九州までのエリアでは12月10日~20日ごろ、沖縄は他地域よりやや長めで12月初旬~12月25日ごろとされています。
したがって、いずれの地域でも12月20日くらいまでに相手に届くようにすれば、失礼にあたらないでしょう。ただし、数の子やサケのようなお正月用の生鮮食品を贈る場合は、賞味期限などの関係から25日ごろに届くように手配することをおすすめします。
年末は慌ただしくなり不在になる人もいますし、繁忙期に入ると配送に日数がかかるケースも考えられます。お歳暮を贈る際は日にちに余裕を持って、早めに手配したほうがよいでしょう。
由来
お歳暮も、お中元と同様に中国の風習が由来とされています。日本では、新年に神様や先祖の御霊(みたま)にささげるお供え物を、年の暮れに本家や近所の人に持っていく風習がありました。これが、中国の神様の誕生日にお供え物をする行事と結びつき、元禄時代ごろに武士の間で日頃のお礼をする習慣として定着し、次第に庶民にも広まったと考えられています。
金額の相場
通信販売事業『婦人画報のお取り寄せ』がユーザーを対象にお歳暮に関する調査を行った結果によると、以下のようになりました。
調査結果によると、最も多かったのが3,000円~5,000円未満で、相場観としてはお中元と同額程度であることがわかります。
ただし、お中元では5,000円以上が15%程度にとどまりますが、お歳暮では40%超になります。調査対象が同じではない点を考慮しても、お中元に比べてお歳暮のほうが、予算をやや高めにする傾向があるといえるでしょう。
※参考:株式会社ハースト婦人画報社「【2021年 お歳暮に関する調査結果発表】お歳暮・冬ギフトの新定番は「洋スイーツ・洋菓子」」
お中元とお歳暮の違い
お中元とお歳暮について、贈る時期や目的、由来、金額の相場を次のようにまとめてみました。
お中元とお歳暮は、いずれも日頃お世話になっている人への感謝の気持ちを品物で伝えるものです。また、どちらも中国の習慣が由来になっていますが、お中元は中元節が変化したものであるのに対し、お歳暮は新年に神様や先祖の御霊(みたま)にお供えをした風習が元になっています。
贈る時期は、お中元が7月からお盆までの夏の時期になるのに対し、お歳暮は12月上旬から20日ごろが目安になります。この点が両者の違いで大きなところでしょう。
お中元とお歳暮はどちらも贈るべきか?
お中元とお歳暮は両方を贈るべきか、どちらかでよいのか、悩む人もいるでしょう。お中元とお歳暮はセットのように考えられがちですが、必ずしも両方贈る必要はありません。ただし、お中元を贈ったら、お歳暮も贈ることが一般的なので、どちらか一方にするならお歳暮のみとするほうが無難です。
お中元やお歳暮を贈るときのマナー
お中元やお歳暮は相手への感謝を伝えるためのものです。そのため、送るときはマナーを守り、相手に不快感を与えないようにしましょう。ここでは、お中元やお歳暮を贈るときのマナーについて解説します。
送り状を事前に送ると丁寧な印象になる
お中元やお歳暮は、相手のお宅に持参するのが正式のマナーです。しかし、忙しい相手を訪ねるのはかえって迷惑だったり、相手が遠方だったりする場合などもあります。このような事情から、最近では品物を配送することが一般的です。
その際は、日頃の感謝の気持ちとともに、品物を送ったことを伝える送り状を事前に出すとよいでしょう。
相手の好みや状況に配慮する
当然ではありますが、贈り物をする際は相手の気持ちになって考えるのが大切です。品物は相手の好みに合わせて、季節を感じる品や日持ちのするものなどを贈るとよいでしょう。
また、感謝の気持ちを込めた品であっても、あまり高価なものは相手を恐縮させてしまいます。さらに、食料品などはあまり多すぎると食べ切れずに持て余してしまうこともあるので、相手の家族構成なども考慮したうえで選びましょう。
なお、お中元、お歳暮に限らず目上の人への贈り物の品として刃物や履物、下着、金券などはマナー違反とされています。このほか、花を贈る際は不吉な花言葉のものは避けましょう。
喪中のときでも贈ることは可能
お中元やお歳暮は感謝の気持ちを表すもので、お祝い事ではありません。したがって、自分や相手が喪中であっても贈ることはできます。ただし、仏式では四十九日、神式では五十日を過ぎてから贈るようにしましょう。
お歳暮の場合紅白の水引を掛けたのし紙を用意することがあります。しかし、喪中のときは、無地の奉書紙や白い短冊、派手すぎない包装紙を選ぶようにしてください。
贈る時期を過ぎてしまったら
お中元やお歳暮を贈りそびれてしまった場合は、別の形で贈り物をすることもできます。
お中元の時期を過ぎてから贈る場合は、表書きを「暑中御見舞い」(立秋まで)、立秋以降は「残暑御見舞い」に替えて贈りましょう。
お歳暮では、年が明けてから「御年賀」などを贈るようにしましょう。その際ののしは、1月1日~7日までの松の内は「御年賀」、1月8日~2月4日までは「寒中御見舞い・寒中御伺い」となります。
お中元やお歳暮をもらったときにすること
一般的に、お中元やお歳暮に対して返礼の品を送る必要はありません。電話やハガキなどでお礼を伝えるとよいでしょう。
どうしても返礼をしたい場合は、相手に気を遣わせないように、いただいた品物の半額から同額以下ぐらいを目安に選びましょう。旅行などのお土産という体裁で贈ることもおすすめです。
まとめ
お中元とお歳暮は、どちらも感謝を伝えるために贈るもので、金額の相場も3,000円~5,000円と同程度です。両者の大きな違いは贈る時期で、お中元は夏、お歳暮は冬の時期に贈ります。
贈るものの内容も両者に大きな違いはなく、どちらも相手の好みに合わせて喜ばれる品を選ぶとよいでしょう。