住所・住居・本籍地・地番の違いとは? 住所にまつわる豆知識を集めてみました

普段何気なく使用する「住所」や「住居」といった言葉ですが、それぞれの意味や違いをご存知でしょうか。あまり使い分けを気にすることがない言葉ではありますが、それぞれどのように使用されるのか、違いはあるのか、といったことについて解説します。

そのほか、住所はどのように決められるのか、住所にまつわる豆知識も紹介するので、ぜひ読んでみてください。

住所とは

住所とは、民法や地方自治法、住民基本台帳法において「各人の生活の本拠」と定義されています。言葉は同じですが、それぞれの指す内容は、法律の趣旨による解釈が可能です。

民法では複数の生活拠点をもつこともあるため、各法律の制度趣旨によって意義を決めるとしていますが、地方自治法、住民基本台帳法では行政サービスをスムーズに行うために、住所は1ヶ所としています。

民法では「仮住居」も住所とできますが、地方自治法、住民基本台帳法では仮住居や居所、現在地を住所とはできません。

※参考:総務省「住所・住民概念について」

住居との違い
住居とは、「住んでいる場所や家」のことをいいます。住居は住所と異なり、法律で定義はされておらず、基本的に現在住んでいるところを住居とするケースが多いようです。そのため、ホテルなどの宿泊施設で生活している場合、一時的でもそこを住居とすることもあります。

住所との違いについても厳密な定義はありませんが、一般的には住んでいたり、生活拠点としていたりする場所を住所、住んでいる建物を住居と使い分けられています。住所は位置、住居は建物、といったイメージです。

※参考:weblio辞書デジタル大辞林「住居」

本籍地との違い
本籍地とは、一言でいえば戸籍のある場所です。戸籍は生まれてから亡くなるまでの親族関係などを登録し、公に証明するためものです。結婚するときには新たな戸籍を作成します。

本籍地は日本国内の土地台帳にある場所ならどこでもよく、居住地に限る必要はありません。まったく関係ない人の住所や、テーマパークなど不特定多数が出入りする場所、公共の施設など、特に制限なく自由に設定できます。

本籍地も住所も位置を特定するのですが、本籍地は戸籍の所在地、住所は生活拠点として住んでいる場所を示す、という点に違いがあります。

住所の表記方法・地番と住居表示

住所の表記方法には、地番と住居表示の2種類があります。

地番とは、土地を区別するために決められた番号のことです。市、区、町、村、字ごとに地番区域があり、そのなかで番号が割り振られています。一つの土地が分筆されて複数個にわかれる際、新しい土地には分筆前とは違う番号がつけられます。

地番の付け方の性質上、隣り合う土地の番号が大きく離れる場合もあり、規則正しく番号が並んでいるわけではありません。そのため、番号から該当の場所を探しにくい、という問題があります。

住居表示は、緊急車両の到着や郵送のときの利便性に配慮された住所表記であり、地図をみると規則正しく番号がふられていることがわかります。

地番で住所を表示するときは、市区町村名のあとに直接地番を表記しますが、住居表示では市区町村名○丁目○番○号といった書き方です。

住居表示はどちらにすべきか決められているわけではありません。都市部では住居表示を採用している地域も多い傾向にあります。

県境に住居があるとき住所はどうなる?

住んでいる家がちょうど県境にある場合でも、住民票を2つの地域に出す必要はありません。住民票は一人につき一つであるため、どちらかを選んで出すことになります。

選び方に規定はありませんが、一般的に玄関や門など行政サービスを受けるうえで重要な場所があるほうの自治体へ住民票を提出します。納める住民税も選んだ自治体に対してだけで問題ありません。

住まいが複数あるときの住所

二拠点生活や単身赴任などで、住まいが複数ある人もいるでしょう。この場合、どちらも住所として使用はできますが、住民票をとれるのは1ヶ所だけです。基本的に、生活の本拠地となっているほうを住所として、住民票の届け出をしましょう。

単身赴任などの一時的な場合で、生活の本拠地が元の家であれば、そこに住民票を置いたままにもできます。住民票をそのままにしておけば、住宅ローン控除も引き続き受けられます。しかし、免許の書き換えや選挙などは住民票がある場所で行わなければならず、生活は不便になるかもしれません。

どちらも同じくらいの使用率であれば、どちらを選んでも問題ないでしょう。

引っ越しても住所変更しないと法律違反になる

もし引っ越しをして、前の住所にはまったく住まないのであれば、転入転出届を提出し、住民票を引っ越し先へうつさなければなりません。これは法律で決められており、正当な理由なく住民票をうつさないままでいると、5万円以下の過料が発生する可能性があります。

正当な理由とは、「元の住所に戻る見込みがある」「定期的に元の住所に移動する」といったものです。そのため、忙しくて届出を出せなかった、というような理由は認められません。

ホテル暮らしの人の住所は?

家を借りたり買ったりせずに、ホテルなどの宿泊施設で生活する人もいるでしょう。しかし、基本的にホテルの住所を住民票に登録することはできません。しかし、同じ宿泊施設に長期間滞在し、生活の拠点として確立しているのであれば、そこを住所として届け出られる可能性もあります。

しかし、これにはホテルの許可をとらなくてはならず、自己判断で勝手に住所として届け出ることはできません。

さまざまなホテルを転々とする生活をするのであれば、実家や契約した賃貸物件の場所に住民票をおくようにしましょう。

他人と住所が同じ場合

つながった土地に複数の住居が建てられたとき、建物が隣接しているときなど、他人と同じ住所になってしまうことがあります。そうなると郵便物や宅配便の誤配が起こる可能性があり、不便になるでしょう。こういった場合、今ある住所に枝番や方書をつけることにより住所を区別できます。管轄の市区町村に相談してみましょう。

ルームシェアなどで同じ部屋に住んでいるケースでは、住所をわけるのは難しく、それぞれが同じ住所を使用して住民票をおくことになります。ルームシェアでは同じ住所であっても世帯主を誰か一人に決める必要はなく、それぞれが世帯主として登録可能です。

まとめ

住所は住んでいる場所、住居は住んでいる建物、本籍地は戸籍がある場所を示します。日本では住んでいる場所に必ず住民票をおかなければならず、住所が複数ある人も、生活拠点を転々としている人でも、自身の拠点を表す住所を設定しなければなりません。

単身赴任などで、もとの住所に戻る可能性があるときを除き、引っ越しをしたら必ず住民票もうつすようにしてください。

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(最終更新日:2024.04.19)
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