中小企業のボーナス、平均支給額は? 大企業との差や業種別の支給額も紹介

中小企業の場合、ボーナスの支給額は平均でいくらくらいなのでしょうか。また、大企業とどのくらいの差があるのか、気になっている人もいるでしょう。そこで今回は、中小企業のボーナスについて、平均支給額や大企業との差などを解説します。

そもそも中小企業とは

中小企業の定義は、中小企業基本法によって定められています。ここでは、中小企業とはどのような企業を指すのかを説明したのち、日本の企業における中小企業の割合を紹介します。

中小企業の定義
中小企業は業種別に「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する従業員の数」によって以下のように定義されています。

出典:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁

「常時使用する従業員」は、労働基準法第20条の規定に基づく「あらかじめ解雇の予告を必要とする者」とされています。パートやアルバイト、派遣社員などの非正規雇用は、上記の条文をもとに個別に判断されます。

出典:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁

中小企業の割合
中小企業庁が公表しているデータによると、2016年6月の調査の結果、中小企業の割合は全企業の99.7%を占め、従業員数も全体の約7割が中小企業で雇用されています。企業数では小規模事業者の割合が多く、日本の全企業数の84.9%です。また、従業員数は中規模企業に雇われている人の割合が高く、全体の46.5%を占めています。ここでいう小規模事業者とは、常時使用する従業員の数が製造業その他で20人以下、商業・サービス業で従業員5人以下の事業者です。

上記のデータにより、日本には圧倒的に中小企業が多く、また労働者の多くも中小企業に雇用されていることがわかります。

出典:2021年版 中小企業白書 小規模企業白書|中小企業庁

中小企業のボーナスの平均支給額は?

厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査」によると、2021年の夏季賞与と年末賞与の平均額は次のとおりです。

出典:毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要|厚生労働省

中小企業の定義とはやや異なるものの、500人以上の企業では平均額が60万円を超えているのに対し、500人未満の企業では平均額が20~40万円台という結果です。

このように、企業規模が大きいほど賞与の金額も大きくなっていることがわかります。

大手企業と中小企業のボーナスの差はどのくらい?

「毎月勤労統計調査」をもとに500人以上の企業と500人未満の企業のボーナスの差を比較してみましょう。

出典:毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要|厚生労働省

500人以上の大企業とのボーナスの差は、大体20万円以上あることがわかります。

ボーナスの差は企業規模だけではない

ボーナスの差は企業規模だけではなく、業種によっても変わります。支給額が高い業種は電気・ガス、情報通信、金融業・保険業である一方、低い業種は飲食サービス業など、生活関連サービスなど、その他のサービス業となっています。

支給額が高い業種の平均賞与額は次のとおりです。

出典:毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要|厚生労働省

支給額が低い業種の平均賞与額は以下です。

出典:毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要|厚生労働省

支給額が高い業種と低い業種では、50万円以上の差になることがあります。

会社や雇用形態によってはボーナスがないこともある

会社や雇用形態によってはボーナスが支給されない場合があります。業績悪化、ベンチャー企業・スタートアップ企業、年俸制という3つのケースそれぞれを解説します。

業績が悪化して支給を見送るケース
ボーナスは賃金の一種ではありますが、給与と異なり、必ず支払われるものではありません。特に、2020年以降はコロナ禍の影響によって業績が悪化し、大企業でもボーナスを縮小するケースが少なくない状況です。

就業規則において、支給の有無が明確ではなかったり、「業績が悪化した場合は支給しないことがある」と定められていたりする場合、賞与の支給が見送られることがあります。そのため、会社員として働いている人は、自社の就業規則を確認するとよいでしょう。

ベンチャー企業やスタートアップ企業
ベンチャー企業は既存のビジネスモデルを軸としながらも、独自性を加味した新サービスを創出する企業を指します。一方のスタートアップ企業は、従来の常識を覆し、新たな価値観によって新サービスを創出する企業のことです。

設立したばかりのベンチャー企業では、ボーナスが支給されないケースが多いものの、その一方で月給が高くなっていたり、インセンティブ制度を設けていたりするケースがあります。ボーナスが支給される場合も、業績に左右される傾向が強いでしょう。

スタートアップ企業の場合は、ボーナスを支給する代わりに、新株予約権を与えるといったケースもあります。

年俸制を採用している会社
年俸制とは、1年単位で給与の総額を決める仕組みのことです。1年分の給与を12ヶ月で割って支給するため、ボーナスが支給されないこともあります。その分、毎月の給与が高く設定されているケースが多いでしょう。

年俸制を採用している会社は外資系企業によくみられますが、年功序列ではなく、成果主義に基づくことが多いため、ボーナスがなくても大幅な給与アップを狙うことができます。ただし、成果に乏しければ大幅な年俸ダウンもありえるため、シビアな賃金体系といえます。

まとめ

中小企業のボーナスは20~40万円台くらいで、大企業とは20万円ほどの差があります。ただし、ボーナスの平均支給額は企業規模だけでなく、業種によっても異なります。業績が悪化している場合や、ベンチャー企業、年俸制の会社などはボーナスの支給がないこともあるので注意しましょう。

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