埼玉県の中古マンション、最も高額なのは「戸田市」 さいたま市の平均価格より高い?!

住宅地としての人気が高まり、2022年度上半期の新築マンション平均価格は、ついに神奈川県を追い抜いた埼玉県。中古マンション価格はまだ神奈川県に及ばないものの、3,000万円台後半のエリアもあり、注目度が高まっています。

戸田市の平均価格はさいたま市より高い

埼玉県の中古マンション平均価格は、2,906万円となっています(2022年11月時点)。では、埼玉県内の各市別の平均価格はどうなっているでしょうか。

市別で最も高いのは戸田市の3,642万円で、県庁所在地であるさいたま市の3,579万円より高くなっています(図表1)。さいたま市のなかでも大宮区、中央区、浦和区は4,000万円台ですが、そのほかの区より戸田市の平均価格は高いのです。

戸田市内にはJR埼京線が走っており、北戸田駅、戸田駅、戸田公園駅の3駅があります。少し東側を走るJR京浜東北線などに比べると歴史が新しく、そのぶん、駅前などで大規模な再開発が行われています。マンション建設が相次いでおり、中古マンションの蓄積も進んでいます。計画的に開発されてきたエリアが多いので、中古マンションとしても評価が高く、JR京浜東北線などの沿線より平均価格が高くなっているのです。

このJR埼京線は、池袋、新宿、渋谷の副都心に直結しており、並行して走る湘南新宿ラインも利用できるので、副都心方面への交通アクセスはJR京浜東北線より便利かもしれません。

埼玉県内各市の中古マンション平均価格
出典:「不動産情報サイト アットホーム」より著者作成

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北戸田駅戸田駅戸田公園駅

幸手市の平均価格は戸田市の3分の1以下

埼玉県内で戸田市、さいたま市に次いで中古マンションの平均価格が高いのは、川口市の3,293万円。以下、八潮市の3,232万円、志木市の3,230万円などが続いています。

やはり東京都に近く、利便性の高いエリアの平均価格が高く、川口市などの新築マンションでは億ションもめずらしくなくなっています。

反対に、東京から離れたエリアでは平均価格が低くなっています。比較的取引が活発なエリアで、平均価格が安いのは幸手市でした。1,038万円と最も平均価格が高い戸田市の3,642万円より2,600万円以上安く、幸手市なら戸田市の3分の1以下で中古マンションが手に入る計算です。

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幸手駅から北千住駅までの乗車時間は約35分

幸手市は利根川のほとりにあり、茨城県との県境に近い場所にあります。通勤・通学などの利便性があまり良くないように思われるかもしれませんが、実は幸手市を走る東武日光線は東京メトロ日比谷線・半蔵門線に乗り入れていて、都心や神奈川県方面に直結しているのです。幸手駅から急行を利用すれば北千住駅までの乗車時間は約45分、東武動物公園で特急に乗り換えれば約35分ですから、交通アクセスが悪いわけではありません。それでいて、1,000万円を少し超える価格で中古マンションを買えるというのは、メリットは小さくはないでしょう。

そのほか、中古マンション平均価格が1,000万円台前半のエリアは、狭山市、北本市、本庄市などです。通勤や通学先などの関係もあるでしょうが、在宅ワークが主体になってきた今の時代には、注目してもよいエリアかもしれません。

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築古物件に目を向ければ価格は安くなる

価格とのバランスで言えば、築年数や間取りタイプについても考慮しておく必要があります。建築後の年数が短い、いわゆる築浅物件だと、新築並みかそれ以上で取引されているエリアがあります。しかし、築年数がたった築古マンションであれば、平均価格よりかなり安く見つかることがあります。そうした物件を入手して、リフォームやリノベーションを行えば、快適に住むことが可能ですし、満足度が高まるかもしれません。

たとえば、さいたま市に次いで物件数が多い川口市では、築3年以内の築浅物件の平均価格は図表2にあるように5,315万円と、かなり高くなってしまいます。ところが、築年数が長くなると次第に価格は低下します。築30年以内では4,265万円です。

また、川口市に次いで物件数が多い越谷市を見ると、築3年以内の築浅物件は4,895万円。それに対して、築20年以内では3,693万円に下がり、築30年以内は3,387万円となります。

川口市と越谷市の築年数別平均価格
出典:「不動産情報サイト アットホーム」より著者作成

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川口駅越谷駅

川口市でもワンルームなら幸手市の平均並み価格に

さらにもうひとつ、間取りタイプ別の価格の違いも知っておきたいところです。

埼玉県内で平均価格が3番目に高い川口市では、図表3にあるように、平均価格3,293万円に対して、1Rや1Kなら1,064万円です。これなら、埼玉県下で平均価格が最も安い幸手市の平均価格並みで手に入ることになります。また、越谷市についても、1DKや2LDKなら1000万円台と平均価格よりかなり安く購入できます。

川口市と越谷市の間取りタイプ平均価格
出典:「不動産情報サイト アットホーム」より著者作成

川口市のような、県内でも価格水準が高いエリアであれば、比較的専有面積の小さなマンションであっても、資産価値が高まる可能性があります。シングルやDINKSのうちに安い価格でマンションを購入し、それ基盤にして、ライフステージの変化に合わせてステップアップしていくという方法があるかもしれません。

不動産仲介の大手や中堅の業界団体である不動産流通経営協会では、毎年「不動産流通業に関する消費者動向調査」を行っています。その最新版である2022年度版を見ると、図表4にあるように自宅を売却して買い替えた人のうち2022年度は58.4%の人が「プラスの売却差額が出た」としています。つまり、買ったときの価格より高く売れたという人が、ほぼ6割に達しているのです。

年度別売却差額の発生状況
出典:一般社団法人不動産経済流通協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2022年度)

将来を見据えてどこでどんな物件を買うのか

近年の中古マンション価格の上昇の影響もあって、人気のあるエリアで買っておけば将来的に値上がりする可能性が期待できます。値上がり後に売却すれば、残っている住宅ローンを一括返済することもできるかもしれません。さらに、残りを自己資金に充てれば、それまでよりひと回りもふた回りも広い住まいに住み替えることも夢ではありません。

もちろん、最初から2DKや2LDKなどの少し広めの住まいを取得しておけば、購入価格が高いぶん、多額の売却利益を得ることができる可能性が高まります。それを基盤にすれば、無理なく3LDK、4LDKなどの広めの住まいに買い替えることができるでしょう。

ただ、買い替えによってステップアップをしていくためには、ある程度資産価値の高いエリアで住宅を取得しておく必要があります。現在の価格が安くて買いやすいエリアについては、将来的な値上がりもさほど期待できない可能性があります。そのようなエリアで取得するのであれば、買い替えを前提にするのではなく、よほどのことがない限りそこに住み続ける、という永住を前提にしておいたほうがいいかもしれません。

同じ埼玉県内でも、どのタイミングで、どんな物件を購入するのか、自分たちの現在のライフステージ、ライフスタイルとともに、将来の変化も見据えて選択する必要がありそうです。

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