首都圏の政令指定都市の中古マンション平均価格、どこが高くてどこが安い？

現在、日本には20の政令指定都市があり、首都圏には5つの政令指定都市があります。政令指定都市の街には多くのマンションが立地し、多くの人が住んでいますが、同じ政令指定都市でも、マンション価格は大きく異なっています。価格が高い都市、低い都市はどこなのでしょうか。首都圏の政令指定都市のマンション価格を徹底比較します。

政令指定都市は、都道府県と同等の権能を持つこともある

政令指定都市とは、政令で指定された都市のことで、指定都市や政令市とも言われます。人口100万人以上であることが目安とされてきましたが、1999年の市町村合併特例法施行時から始まった「平成の大合併」によって誕生した、おおむね70万人以上の都市も対象に加えられました。2022年現在は人口50万人以上が政令指定都市の要件とされており、横浜市、大阪市、名古屋市など20の都市が指定されています。

政令指定都市に指定されると、都道府県からの権限の移譲などによって、都市独自の政策を実施できるメリットがあります。都市計画や児童福祉、教育などについて一般の市町村よりも大きな権限が与えられています。たとえば、政令指定都市には児童相談所の設置が義務づけられており、保育園・小中学校と一括管理することで、より円滑な援助活動が期待できます。場合によっては、道府県以上の存在感があり、発言力を持っていることもあります。

首都圏では、神奈川県の横浜市、川崎市、相模原市と、埼玉県のさいたま市、千葉県の千葉市の5都市が政令指定都市になっています。

首都圏の政令指定都市の中古マンション平均価格、最も高いのは川崎市

首都圏の政令指定都市の中古マンションの平均価格は図表1にある通りです。

住宅地として人気の高い横浜市が最も高いのではないかというイメージがあるかもしれませんが、実際には川崎市が4,000万円で最も高く、次いでさいたま市が3,562 万円、横浜市が3,498万円で続いています。

川崎市は、高層マンションが立ち並ぶ武蔵小杉の存在が大きく、それが全体の平均価格を大きく押し上げています。さいたま市は、大宮・浦和の人気の高まりから価格が上昇し、横浜市と肩を並べるほどになっています。

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武蔵小杉駅 ／ 大宮駅 ／ 浦和駅 

それに対して、最も平均価格が安いのが千葉市の2,449万円で、相模原市の2,799万円が続いています。価格面だけを見れば、首都圏の政令指定都市のなかでは、千葉市と相模原市が狙い目といってよさそうです。

政令指定都市でも区によって価格差が 横浜市の場合は？

ただ、一口に政令指定都市といってもそれぞれに市域は広く、場所によって価格帯は大きく異なっています。平均価格が最も高い川崎市でも、千葉市や相模原市より安い物件もあるので、区や街、駅まで落とし込んでマンションを探すのがよいでしょう。たとえば、横浜市の区別の平均価格は図表2のようになっています。

横浜市内で最も高いのは、市の中心部である西区と中区で、ともに5,000万円前後の水準です。次いで都筑区が4,000万円台の半ばで、港北区が4,000万円弱となっています。全体的に東京からの距離が近く、港北ニュータウンなど計画的に開発されてきた住宅地の多いエリアの平均価格が高い傾向です。

反対に、最も平均価格が安いのは金沢区の2,554万円。旭区も2,579万円となっていて、中区や西区の半分程度の価格帯で取得できます。横浜市の中心部から離れ、東京からの距離が遠いほど、平均価格が安くなる傾向があるようです。

川崎市中原区の価格水準は横浜の中心部並み 相模原市は2,000万円台も

首都圏の政令指定都市のなかで、マンションの平均価格が最も高い川崎市を見ると、区別の平均価格は図表3のようになっています。

武蔵小杉駅のある中原区が5,088万円と最も高く、横浜市の中区や西区とほとんど変わらない水準です。次いで、川崎市の中心市街地のある幸区、中原区に隣接し最も東京に近い高津区が続いています。反対に多摩区は3,000 万円台の前半ですが、横浜市のように平均価格帯が2,000万円台の区はありません。

次に相模原市を見ると、図表4にあるように南区が3,000万円台で、緑区は2,800万円台、中央区が2,500万円台となっています。小田急小田原線の相模大野駅がある南区、京王相模原線・JR相模線・JR横浜線の橋本駅がある緑区が中央区を上回っています。

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相模大野駅 ／ 橋本駅 

さいたま市では浦和区の価格が飛び抜けて高い

さいたま市を見ると、図表5にあるように、浦和区が4,907万円と飛び抜けて高くなっています。埼玉県庁やさいたま市役所があり、浦和市の頃から長く埼玉県やさいたま市の社会・経済の中心地として発展してきました。文教都市としての評価も高く、区内には高級住宅地が広がっています。

最近は中央区、大宮区が浦和区を追いかけています。大宮区には、新幹線やJR各線が集まる大宮駅があり、駅周辺にはそごう、高島屋などの大規模商業施設の集積が進んでいます。中央区もさいたま新都心の開発が進み、マンションが増えています。

それに対して、西区や見沼区、岩槻区は2,000 万円を切っており、東京の都心からは多少遠くなりますが、価格面では狙い目のエリアと言っていいでしょう。

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浦和駅 ／ 大宮駅 ／ さいたま新都心駅 

千葉市なら1,400万円台のエリアもある

千葉市の中古マンション価格は、首都圏の政令指定都市のなかで、平均価格が最も安くなっています。図表6にあるように平均価格3,000 万円以上の区はなく、最も高い中央区でも2,819万円です。

中央区はJR総武線の千葉駅、京成線の京成千葉駅などがあり、駅周辺にはそごうなどの大規模商業施設が集まっています。県庁や市役所もあり、千葉県・千葉市の社会・経済の中心です。千葉市のなかでも最も高いのは当然でしょう。

次いで高いのが美浜区の2,617万円です。東京湾の埋め立てによって計画的に街づくりが進められたエリアを含み、幕張新都心や海浜ニュータウンがあります。早くからマンションの開発が進められ、それらが中古マンション市場で活発に取り引きされています。

その一方では、若葉区のように平均価格1,400万円台のエリアもあります。JR総武線の都賀駅を中心に千葉市の重要地域拠点として開発が進められているだけに、穴場的な存在かもしれません。

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政令指定都市内でも区まで落とし込んで場所選びを

以上のように、同じ政令指定都市といっても価格帯は大きく異なり、同じ市のなかでも区によって大きな価格差があります。

政令指定都市内での購入を検討する場合、まずは市全体の動向を抑えつつ、個別にどの区が狙い目なのか、しっかりと市場動向を把握してから、場所選びを行うことをおすすめします。

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