老後生活費の平均額や内訳を紹介! ゆとりある老後のためにはいくら必要?

平均寿命が男女ともに80歳を超え、高齢化社会が訪れている日本において、老後の生活費はどのくらい必要なのか気になっている人も多いでしょう。ゆとりのある老後を送るためには、できるだけ早い時期から計画的に準備を進めていく必要があります。今回は老後生活費の平均額や内訳などを詳しく紹介します。老後資金のため方についても紹介するので参考にしてください。

老後生活費はいくら必要?

生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人で必要な最低限の老後生活費として、月20~25万円未満と回答した人の割合が最も多く、全体の29.4%でした。平均額は月22万1,000円です。

さらに、ゆとりのある老後生活を送るなら、平均で月36万1,000円は必要と考えられています。生活費以外にも、旅行やレジャー、趣味や教養、日常生活費の充実、身内とのつきあいのためにお金が必要と考えている人が多いようです。

出典:令和元年度「生活保障に関する調査」|公益財団法人生命保険文化センター

実際にかかる老後生活費はいくら?

実際にかかる老後生活費はいくらくらいなのでしょうか。ここでは、総務省統計局が公表している「家計調査年報」をもとに、老後生活費の実態や内訳を紹介します。

老後生活費の実態
総務省統計局が公表している「家計調査年報(家計収支編)」によると、2人以上の世帯においての老後生活費は世帯主の年齢60~69歳の世帯で月28万8,312円、70歳以上の世帯で月22万6,383円となっています。

60~69歳の世帯も70歳以上の世帯も最低生活費の平均よりも多く、ゆとりのある老後を送るための生活費よりも少ないことがわかります。

出典:家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)|総務省統計局

二人以上世帯の内訳
65歳以上の二人以上世帯の世帯主の年齢別の消費支出(月額)の内訳は以下のとおりです。

出典:家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)|総務省統計局

単身世帯の内訳
単身世帯65歳以上の消費支出(月額)の内訳は以下のとおりです。

出典:家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)|総務省統計局

公的年金の受給額はいくら?

老後の生活を支える重要な収入源の一つが公的年金です。年金でどのくらいの生活費をまかなえるのでしょうか。

2020年度の厚生年金保険の平均年金月額(老齢年金)は14万4,366円となっています。一方、国民年金の平均年金月額(老齢年金)は2020年度が5万6,358円です。また、過去5年間の平均年金月額(老齢年金)の推移は以下のとおりです。

出典:令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省年金局

年金受給額と生活費の差額は?

続いて、老後に予想される最低限の生活費の平均額22万1,000円、あるいはゆとりのある生活費の平均額36万1,000円と、年金受給額との差額がいくらなのかを解説します。

夫婦で厚生年金を受給する場合
夫婦で厚生年金を受給する場合の生活費と年金受給額の差額は以下のとおりです。

夫婦で厚生年金を受給する場合、生活費の平均額は超えるものの、ゆとりのある生活費には及ばないことがわかります。

夫婦の一方が厚生年金・もう一方が国民年金を受給する場合
夫が厚生年金・妻が国民年金を受給する場合の生活費と年金受給額の差額は以下のとおりです。

夫婦の一方が厚生年金、もう一方が国民年金を受給する場合、生活費の平均額には約2万円とわずかに及ばず、ゆとりのある生活費には約16万円足りません。

夫婦で国民年金を受給する場合
夫婦で国民年金を受給する場合の生活費と年金受給額の差額は以下のとおりです。

夫婦で国民年金を受給する場合、生活費の平均額には10万円以上及ばず、ゆとりのある生活費には25万円近く足りないことがわかります。

単身で厚生年金を受給する場合
単身で厚生年金を受給する場合の生活費と年金受給額の差額は以下のとおりです。

単身で厚生年金を受給する場合、生活費の平均額には7万円以上及ばず、ゆとりのある生活費には20万円以上足りません。ただし、比較しているのは夫婦2人暮らしの生活費なので、単身世帯の場合はこれよりも生活費が抑えられる可能性があります。

単身で国民年金を受給する場合
単身で国民年金を受給する場合の生活費と年金受給額の差額は以下のとおりです。

前述のとおり、単身世帯の場合は生活費が夫婦2人の生活よりも少なくなるはずです。しかし、年金受給額が少ないため、単身で国民年金のみのケースが最も厳しい状況といえます。そのため、老後生活費は年金以外でも用意しておく必要があるでしょう。

老後資金をためるには?

ここまで説明したように、年金だけでは老後の生活費をまかなえない可能性があるので、老後資金への意識を高める必要があるかもしれません。老後資金をためる主に次のような方法があります。

・つみたてNISA(少額投資非課税制度)
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・財形年金貯蓄
・個人年金保険

つみたてNISAは、「年間40万円×20年間=800万円」まで資産運用の利益が非課税になる制度です。長期の積立・分散投資に適した公募株式投資信託とETF(上場株式投資信託)が対象になります。

iDeCoは自分で掛金を積み立てて資産運用を行い、60歳以降に積み立てた金額や運用益を受け取れる制度です。運用益が非課税というだけではなく、毎月の掛金が全額所得控除というメリットがあります。

財形年金貯蓄とは、給与からの天引きによる貯蓄制度で、積立期間は5年以上と定められています。また、個人年金保険は一定の年齢まで保険料を払い、その後に私的年金を受け取れる保険商品です。

このような方法を取り入れることで、厚生年金・国民年金以外の老後資金を得られる可能性があります。

まとめ

夫婦2人で最低限必要と考えられる老後生活費の平均額は月22万1,000円です。しかし、公的年金だけではまかなえない可能性があるため、不足分は貯蓄などで補う必要があります。特にゆとりのある老後を送りたい場合は、計画的に老後資金をためておくことが大切です。

老後資金をためるなら、つみたてNISAやiDeCoなどを活用することをおすすめします。これらの制度を活用して、老後生活費の準備を始めるとよいでしょう。

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