入居する物件を選ぶうえで、建物の構造の違いを理解しておくことは、失敗を予防するためにも必要です。特に比較的家賃の安い軽量鉄骨造のお部屋を見つけた際には、「そもそも軽量鉄骨造って何?」という疑問や、軽量鉄骨造であるゆえの耐久性や防音性に不安を抱く人もいます。
今回は軽量鉄骨造を木造やRC造など他の構造と比較しながら、どのような人に向いているのかをお伝えするとともに、お部屋選びのコツについても併せて解説します。
軽量鉄骨造とは?
軽量鉄骨造とは、アパートによく用いられる構造で、鉄骨造やSteelの略である「S造」のうち、鋼材の厚さが6㎜未満のものを指します。木造建築と比べ、軽量鉄骨を使用することで、建物の強度を上げることができ、また、重量鉄骨などを利用するよりも建設コストを低減することが可能です。
軽量鉄骨造の法定耐用年数は、鋼材の厚さが4㎜を超えている場合で34年、鋼材の厚さが3㎜~4㎜だと27年、さらに3㎜以下になると19年です。RC造は47年ですが、木造は22年ですので、軽量鉄骨造の方が木造と比べ、法定耐用年数は長くなることがわかります。
また、軽量鉄骨造の家はプレハブ工法が用いられることが多く、使用するパーツも大量生産できるため、建築コストを抑えられることが、RC造に比べると賃料が安い理由とも言われています。
軽量鉄骨造のメリット・デメリットとは?
軽量鉄骨造には、工期が短く、コストパフォーマンスがよいというメリットがあるほか、木造に比べると耐久性や耐震性の面で強いという特徴があるものの、RC造と比べると劣る点は否めません。
また、木造と床や壁の素材が同等のものを使用しているため、防音性についてもRC造に比べると劣っており、木造とあまり変らないと言われています。そのため、軽量鉄骨造の家に住むなら、防音対策は必須です。
さらに、通気性や断熱性が低いため、「夏は暑く、冬は寒い」状況になるため、こちらについても何らかの対策が必要になります。
耐火性も強いとはいえず、気密性にも劣るため火事が発生した際には、最悪の場合、崩壊の恐れもあります。
そもそも鉄骨はさびやすく、定期的なメンテナンスが必要になるほか、軽量鉄骨造の構造上、間取りが自由に決められないというデメリットもあります。間取りが自由に決められない点は、新築時だけでなくリフォーム時にも問題になるといわれています。
軽量鉄骨造の耐久性や防音性は大丈夫?
軽量鉄骨造の耐久性、そして耐震性は木造よりも優れているため、地震などによって崩壊するリスクも木造より軽量鉄骨造の方が低いといわれています。特に2000年の建築基準法改正以降の物件を選ぶことで、より耐震性に優れた家に住むことができます。
しかし、残念ながら防音性に優れているとは言い難く、「生活音や足音が響きやすい」、「テレビの音やドアの開け閉めの音が聞こえる」、「上階の足音に悩まされる」といったケースも少なくありません。
他の部屋の生活音が聞こえるということは、自分の家の生活音も他の部屋に聞こえているということです。そのため、防音シートや防音カーテンなどの対策は必須と考えられ、それでも完全に防音できるわけではないことから、生活する上で常に気をつけておかなければなりません。
そのため、小さい子どもがいる家庭や、音に敏感な人には不向きな物件といえるでしょう。
軽量鉄骨造に向いている人の特徴とお部屋選びのコツ
では、軽量鉄骨造に向いている人とはどんな人なのでしょうか。その特徴を解説します。
上で述べたとおり、軽量鉄骨造は木造よりも耐久性に優れているという特徴があります。木造は地震の際の崩壊リスクや、シロアリの被害に遭いやすいというデメリットがあります。一方で、耐久性・耐震性に最も優れているといわれるRC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造の物件の賃料は軽量鉄骨造の物件に比べて割高な場合がほとんどです。
そのため、木造よりも安全性が高く、RC造よりも割安な軽量鉄骨造は「安全性とコストのバランスを重視している人」などにおすすめといえます。
気になるお部屋選びのコツですが、騒音が気になるけれどもRC造の物件は予算的に難しいという場合は、壁の厚い物件や、浴室やクローゼットなどが間にあり、居室が隣り合っていない物件、最上階の角部屋、騒音を発するものが少なく、静かな環境にある物件などを選ぶことをおすすめします。
壁の厚さは内見時に壁をたたき、その音の響き具合で確認できますし、生活環境については、内見の際、自分が在宅する時間帯を選ぶことで、どのような音が聞こえるかが確認できます。
また、建物だけでなく、周辺の環境を知ることも大切です。周辺にどのような建物があるのか、人通りの多い時間帯などについて、自分の足で歩いて見て回りながら確認するようにしましょう。
まとめ
軽量鉄骨造とは、アパートなどでよく用いられる構造です。
木造の物件よりも、耐震性および耐久性に優れているものの、防音性は高くなく、木造と変わらないため、選ぶなら、防音対策をしっかりと行う、もしくは騒音に悩まされにくい部屋を選ぶことが大切です。
内見時に壁の音の響き具合をチェックすることはもちろん、共用部分を住人が歩く音がどのくらい聞こえるか、また、ベランダを開けた際にどんな音が聞こえるかなどをくまなくチェックし、最終的に納得のいくお部屋を選ぶようにしましょう。