女性の平均年収はいくら? 男女格差が生まれる原因や収入アップの方法を紹介

女性の平均年収はいくらくらいなのでしょうか。今回は女性の平均年収について、国税庁が公表している資料などを参考に、男女別、年齢階層別、産業別などに分けて平均年収を紹介します。男女格差の原因や年収アップの方法も紹介するので参考にしてください。

女性の平均年収はいくら?

ここでは、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」をもとに女性の平均給与(平均年収)について解説します。男性と女性、正規と非正規、事業所規模別、年齢階層別を紹介するので参考にしてください。

男性と女性の比較
国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は約433万円となっています。女性の平均給与は全体平均よりも低く、約293万円です。一方、男性の平均給与は約532万円で、女性の1.5倍以上になります。また、女性の平均賞与は約39万円、男性は約83万円、全体の平均は約65万円となっています。

2018年~2020年の平均給与は次のとおりです。

出典:令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

上記でわかるように、どの年においても、男性と女性では1.5倍以上の差があります。また、平均給与の内訳は平均給料・手当と平均賞与です。それぞれの内訳は次のようになっています。

出典:令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

このように平均給料・手当ベースでも男性と女性では1.5倍以上の差、平均賞与は2倍以上の差があることがわかります。

正規と非正規の比較
女性の平均給与を正規雇用と非正規雇用で比較すると、正規雇用は383万7,000円、非正規雇用は153万2,000円(2020年)となります。正規雇用のほうが約2.5倍高い状況です。

2018年~2020年の推移は以下です。

出典:令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

このように、どの年においても正規雇用と非正規雇用では、2.5倍近い差があることがわかります。

事業所規模別の比較
事業所規模別でみると、規模が大きいほど平均給与は高くなることがわかります。女性の平均給与は10人未満の事業所で244万8,000円、10~29人では289万7,000円、30人以上で304万4,000円です。

詳細な事業所規模別の女性の平均給与は次のとおりです。

出典:令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

このように、詳細な事業所規模別で比較しても、基本的には規模に比例して平均給与は高くなる傾向にあることがわかります。

年齢階層別の比較
女性の平均給与を年齢階層別にみると、25~59歳ごろまで大体310万円前後で推移しており、年齢による較差は少ないことがわかります。一方で、男性は60歳未満まで年齢が高くなるほど平均給与が高くなる傾向があります。

年齢階層別の平均給与は次のとおりです。

出典:令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

どの年代も男性より女性のほうが平均給与は低いものの、年齢による較差に関しては女性のほうが少ないことがわかります。

男性と女性で年収格差が生まれる理由

男性と女性で年収格差が生まれる理由である、非正規雇用とサービス業従事者の多さや、管理職の割合の少なさについて解説します。

非正規雇用が多い
女性は男性に比べて非正規雇用の割合が高くなっています。「男女共同参画局」の資料によると、女性の非正規雇用の全体に対する割合は、2020年時点で54.4%、男性は22.2%です。

以下の表のように、年齢が高くなるにつれて非正規雇用の割合は高くなる傾向があります。

出典:年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移|男女共同参画局

上記でわかるように、男性は35歳から54歳までの非正規雇用の割合が極端に低くなるものの、女性はどの年代も二桁以上の割合となっています。

サービス業の従事者が多い
サービス職業従事者(※)は女性の割合が高く、サービス業就業者全体の63.1%を占めています。しかし、サービス業の平均給与は、全体の平均よりも低い傾向があります。

たとえば、宿泊業・飲食サービス業の平均給与は251万円、サービス業は353万円、卸売業・小売業は372万円です。一方で、情報通信業の平均給与は611万円、金融業・保険業は630万円、電気・ガス・熱供給・水道業は715万円となっています。

このように、サービス業に従事している女性の割合の高さが、男女の年収格差の原因の一つと考えられています。

※サービス職業従事者:個人の家庭における家事サービス、介護・身の回り用務・調理・接客・娯楽など個人に対するサービス、および他に分類されないサービスの仕事に従事するもの

出典:令和2年の働く女性の状況|厚生労働省
       令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

管理職の割合が少ない
日本では女性管理職の割合が14.9%と諸外国に比べて低い水準となっています。たとえば、アメリカの女性管理職の割合は40.7%、イギリスは36.3%、フランスは34.5%です。日本も年々増加傾向にはあるものの、大幅に割合が高くなっているとはいえない状況が続いています。

女性管理職が少ない理由としては、家事や育児との両立が難しいこと、管理職は業務が忙しいというイメージが強いことなどが挙げられます。

出典:就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)|男女共同参画局

女性が年収アップを目指すには

女性が年収アップを目指すにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、二つの対策方法について解説します。

年収の高い会社に就職・転職する
「民間給与実態統計調査」から事業所規模が大きいほど平均給与が高いことがわかります。産業別では、「電気・ガス・熱供給・水道業」の平均給与が715万円と最も高く、次いで「金融業・保険業」の630万円、「情報通信業」の611万円の順となっています。また、非正規雇用よりも正規雇用のほうが平均給与は高いことから、正社員で働いたほうが収入アップを目指せるでしょう。

出典:令和2年分民間給与実態統計調査|国税庁

資格を取得する
転職や副業、独立開業に役立つ資格を取得して年収アップを目指す方法があります。特に医師や弁護士、公認会計士など高収入が目指せる資格、薬剤師や看護師など安定した収入が期待できる資格が人気です。

独立開業を目指すなら、社会保険労務士や中小企業診断士、行政書士などもおすすめです。なかでも社会保険労務士は、女性の合格者が38.3%と高い数字となっています。

まとめ

女性の年収は平均293万円で、年齢が上がってもほぼ横ばいとなっています。特に、非正規雇用やサービス業では年収が低い傾向があります。女性管理職の少なさも、平均年収が低い理由の一つです。

年収アップを目指すなら、転職や副業、独立開業などを検討しましょう。その手段として、資格取得も効果的といえます。

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