今回は、神奈川県の政令指定都市である川崎市と相模原市の中古マンション価格動向を見ていきます。川崎市は超高層マンションなどが人気の武蔵小杉駅があり、武蔵小杉駅のある中原区の平均は5,000万円近くに上昇しています。その影響もあって、川崎市全体の平均価格も横浜市より高くなっています。
川崎市中原区の平均価格は4,893万円
神奈川県には、横浜市、川崎市、相模原市と、3つの政令指定都市があります。中古マンション価格は、人気の高い横浜市が一番高いのではないかと思いがちですが、実はそうではありません。3市の中古マンションの平均価格を見ると、横浜市は3,511万円で、川崎市が3,954万円、相模原市2,809万円と、川崎市のほうが高くなっているのです。
横浜市には、横浜市の中心部や東京の都心から遠い旭区、瀬谷区、泉区など平均価格が2,000万円台の区もありますが、川崎市には2,000 万円台の区はなく、一番安い多摩区でも3,037万円です。それが両市の平均価格に反映されているのではないでしょうか。
武蔵小杉の人気が川崎市の平均価格を押し上げ 相模原市は3区ともに平均2,000万円台
川崎市と相模原市の区別の2022年8月の中古マンション価格の平均は図表1の通りです。
最も高いのは、川崎市中原区の4,893 万円。2021年8月は4,646万円でしたから、前年同月比で5.3%のアップです。中原区にある武蔵小杉駅は、東急東横線のほか、JR横須賀線・南武線が乗り入れ、交通の便に恵まれているうえ、駅前にはグランツリー武蔵小杉などの大規模商業施設も充実。超高層マンションが立ち並ぶ街となっているのは周知の通りです。
武蔵小杉駅周辺では現在も超高層マンションの分譲が行われていますが、新しく立地する場所が少なくなっているため、東急東横線やJR南武線の隣接駅などでの開発も盛んになっています。それだけ武蔵小杉駅周辺の物件の希少性が高まり、中古マンション価格も高くなっているにもかかわらず、上昇ピッチが下がりません。
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川崎市で中原区に次いで中古マンションの平均価格が高いのは幸区の4,313万円で、高津区が4,218万円などとなっています。幸区はJR東海道本線の川崎駅、京浜急行本線の京急川崎駅などがあり、川崎駅の周辺では再開発が進み、大規模商業施設のほかコンサートホールなどの文化施設の集積が進んでいます。
3位の高津区は、東急田園都市線の溝の口駅、JR南武線の武蔵溝ノ口駅などがあり、交通の要衝であるとともに、駅前にはノクティプラザなどの大規模商業施設も多く、マンションの集積も進んでいます。
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川崎駅 / 京急川崎駅 / 武蔵溝ノ口駅
相模原市は、緑区、中央区、南区の3区からなりますが、平均価格はいずれも3,000万円以下。首都圏の政令指定都市の中でも、比較的購入しやすいエリアであると言えます。ただ、図表2にあるように、中古マンションの物件数がさほど多くないのが実情です。
川崎市中原区の築浅物件購入には月20万円以上の返済額が必要
中古マンション価格は立地による差があるほか、築年数や間取りによる違いもあります。その違いを利用すれば、新築や築年数の浅い築浅物件は無理でも、築年数がたった築古物件なら手が届くということがあります。
そこで、川崎市で最も平均価格の高い中原区と、最も物件数が多い宮前区で築年数別の価格を見ると、図表3のようになっています。
平均価格が4,893万円の中原区では、築3年以内は8,448万円となっています。8,000万円の住宅ローンを組むと、金利1%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は22万円台に達するので、かなりの高額所得者でないと購入は難しいでしょう。
築古物件なら毎月の負担が大幅に軽くなる
しかし、築年数が経つとかなり安くなります。中原区の築30年以内の中古マンションの平均価格は5,862万円ですから、前述の条件で5,000万円のローンを組んだとすれば、毎月14万円台の負担に減少します。これなら、何とかなるという人も多いのではないでしょうか。
ただ言うまでもありませんが、築古マンションの場合、購入時に大規模なリフォームが必要になることが多いため、その点は考慮しておく必要があります。購入を決める前に、リフォーム業者に実物を見てもらった上で見積もりを出してもらい、購入価格にリフォーム代を加えて資金計画を組み立て、それでも返済に問題がないことを確認しておくのが安心です。
同時に、耐震性や断熱性などの基本性能に問題がないか、専門家にチェックしてもらうのもいいでしょう。
小さな間取りからステップアップしていく
次に、間取りタイプ別の中古マンションの平均価格は図表4のようになっています。最も平均価格が高い川崎市中原区でも、1Rや1Kなら2,000万円を切っています。シングルやDINKSのうちに取得しておいて、必要に応じて買い替えていくといった考え方もありではないでしょうか。
中原区の武蔵小杉駅周辺なら、相場が高いだけではなく、将来の資産価値の向上が期待できるかもしれません。東京カンテイの「2021年中古マンションのリセールバリュー(首都圏)」によると、武蔵小杉駅のリセールバリューは100%を超えています。10年たっても資産価値が落ちないどころか、むしろ高くなっているのです。
賃貸住宅の場合、家賃は払いっぱなしで何も残りません。一方、マイホームの場合、資産として残せるだけでなく、住み替えの際には売却代金を自己資金に充てることもできます。自分たちにとって、より現実的なレベルでマンション購入を考えて、段階的に理想に近づけていくのがいいのではないでしょうか。
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