コーポラティブハウスとは? メリット・デメリットや向いている人の特徴を解説

コーポラティブハウスとは、住人が主体となって建築していく集合住宅のことです。コーポラティブハウスが人気の理由は、集合住宅でありながら住む人が自由に設計できる点にあります。今回はコーポラティブハウスに住んでみたいと考える人のために、メリット・デメリットを解説します。

コーポラティブハウスとは

コーポラティブハウスとは、入居を希望する世帯が集まって建築家とともに共同で建てる集合住宅のことです。欧米では一般的な建築方法ですが、日本ではまだあまり広く知られておらず、馴染みのない住宅のかたちかもしれません。

コーポラティブハウスの大きな特徴は、建築段階から関われるため自分の希望を反映しやすいことです。一般的な分譲マンションの場合、不動産会社や建築会社が主体となって建築し、完成した部屋を販売します。そのため、多少壁材や設備の変更ができたとしても、間取りや外装までは変えられないことがほとんどです。

なた、コーポラティブハウスは住民たちの自主管理が基本です。管理人の役割を住民たちで分担しながら協力し合い、コミュニケーション豊かな住環境が実現します。

コレクティブハウスとの違い
コーポラティブハウスと似た言葉にコレクティブハウスというものがあります。コレクティブハウスとは、個々の住戸と共有スペースがある共同住宅のことです。共有する部分はリビングなどの団らんスペースで、トイレやキッチンなどの居住部分はそれぞれ独立して用意されています。

コーポラティブハウスは住民で住居を作り上げることはしますが、各世帯の住居は独立して、住民が集まるリビングのような部分はありません。そのため、コーポラティブハウスのほうがコレクティブハウスよりもプライバシーを保って生活できます。

コーポラティブハウスのメリット

完成した分譲マンションが多いなか、あえてコーポラティブハウスを選ぶ人も増えています。そこで、コーポラティブハウスの魅力についてご紹介します。

自由度が高い
コーポラティブハウスを建てる一番のメリットは、注文住宅のような自由度の高さです。一般的な分譲マンションでは、設備や壁紙の変更ができても、場合外観や間取りまでは変更できません。

しかし、コーポラティブハウスなら設計段階から建築家に希望を伝えることができるので、マンションでありながらオーダーメイドの住まいを実現可能です。

住人同士のコミュニケーションが活発になる
コーポラティブハウスは建築段階からご近所付き合いが始まり、運営も自分たちで行うため、おのずと住民同士のコミュニケーションが活発になります。コミュニケーションが活発になれば、情報交換ができるだけではなく、不審者に気付きやすくなり防犯面でも効果的です。

分譲マンションよりも低価格
コーポラティブハウスは、基本的に分譲マンションよりも低価格です。その理由は、コーポラティブハウスの建て方にあります。完成した段階で入居者を募る分譲マンションに対して、コーポラティブハウスは計画時点で入居者が決まっています。

入居者がすべて埋まった状態で計画を始めるので、分譲マンションのように広告宣伝費がかかりません。その分の費用を削減できるため、コーポラティブハウスは分譲マンションに比べて低価格で建築可能です。

コーポラティブハウスのデメリット

コーポラティブハウスにはたくさんの魅力がありますが、メリットばかりではありません。計画を始める前に、デメリットについても押さえておきましょう。

売却しにくい
コーポラティブハウスの魅力は、住む人のライフスタイルや好みに合わせた設計ができることです。しかし、オリジナリティあふれる間取りや内装であるがゆえに、一般受けせずに売却がしにくいという面もあります。

たとえば、広々とした書斎にこだわった間取りも、子ども用に部屋数を増やしたい家族などにとっては避けられてしまう可能性が高いでしょう。注文住宅にもいえることですが、自由設計で個性的な物件は、売却しなければならないときに売れにくい傾向があります。

入居までに手間と時間がかかる
コーポラティブハウスを建てるまでには、何度も話し合いを重ねる必要があります。多いときは2週間に1度のペースで打ち合わせが行われ、プランの内容を決めていきます。

一般的に、組合の立ち上げから完成までは1年半から2年程度かかることが多く、通常の注文住宅や分譲マンションよりも手間と時間がかかります。そのため、できるだけ早く入居したいという人には向かないでしょう。

また、支払いは入居前となるため、場合によってはつなぎ融資を利用する必要があります。住宅ローンがおりるときにつなぎ融資は完済できますが、それまでの間は利息分を支払わなければなりません。利息分と現在住んでいる家の家賃の二重払いが発生してしまう場合は注意が必要です。

参加者が集まるまでスタートできない
コーポラティブハウスは計画に必要な入居希望者がそろわないと計画開始となりません。そのため、入居者が集まらないと入居開始までにかなり時間がかかることもあります。いつごろ建設開始できそうか心配な場合は、コーポラティブハウス建設の仲介役となるコーディネート会社に確認しておきましょう。

たとえば、居住希望者が集まらなかった場合はコーディネート会社が参加する形で計画を進める場合もあります。その途中で参加者が集まってくるケースもあったり、万が一集まらなかった場合はその分の住戸を分譲マンションという形で販売したりする場合もあります。

いつまでも計画が進まないと困ってしまうため、居住希望者が集まらなかった場合の対処法について事前に確認しておきましょう。

住民同士が険悪になることもある
コーポラティブハウスはほかの居住希望者とコミュニケーションをとりながら計画を進めていく必要があります。幾度となく話し合いを重ねていくうちに、スムーズなご近所付き合いへと発展していくケースもありますが、話し合いがすべてうまくいくとは限りません。建築段階で意見が合わず衝突してしまう可能性もあります。

建築段階で険悪な仲になっても、住宅は気軽に変更できません。とはいえ、コーポラティブハウスの入居希望者は住民同士の距離の近さに魅力を感じていることが多く、険悪にならずスムーズに進む可能性も高いでしょう。

コーポラティブハウスが向いている人の特徴

メリットとデメリットを踏まえると、コーポラティブハウスは次のような人に向いているといえます。

・コミュニケーションが嫌いではない
・マンションがいいけれど自由に間取りを決めたい
・住み始めるまでに時間がかかっても構わない

コーポラティブハウスはマンションでありながら自由に間取りを決められるのが大きな魅力です。一方、住民同士の協力は必須であり、計画段階から入居後もほかの居住希望者と協力しながら暮らしていくことになります。

居住希望者全員の意見をまとめるため、打ち合わせの回数も時間も長く、手間がかかります。その時間も楽しみながら計画を立てていけるという人には、向いている集合住宅です。

まとめ

コーポラティブハウスとは、居住希望者が集まって自分たちの手で設計できる集合住宅のことです。分譲マンションと比べて自由度が高く、住人とのコミュニケーションがとりやすい点が魅力的です。また、宣伝費用がかからない分、分譲マンションよりも低価格で購入できます。

一方で、建設段階から話し合いが必要で入居までに時間がかかることが多く、売却しにくいという点には注意が必要です。入居までの時間に余裕があり、コミュニケーションを大切にしながら、自分好みのマンションを建てたいという人は、コーポラティブハウスはおすすめです。

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