京都は国内外からたくさんの人が訪れる観光のまちとして有名です。貴重な文化財は世界遺産に登録され、多くの観光客でにぎわっています。そんな京都に住んでみたいという人もいるのではないでしょうか。ここでは京都へ移住するメリットやおすすめのエリアを紹介します。京都移住を検討する方はぜひ参考にしてください。
京都はどんなまち?
京都府は日本列島のほぼ中央に位置し、南は京都盆地、北は丹波高地と丹波山地が連なり、日本海にも面している府です。府庁所在地である京都市は、かつて1000年あまりもの長きにわたり都が置かれていた場所で歴史的建造物が多く、伝統ある文化や景観を残す魅力ある街として国際的な観光地となっています。
国指定の伝統的工芸品の種類も多く、西陣織や京友禅、清水焼などの伝統産業も盛んです。地方暮らしをサポートするNPO法人「ふるさと回帰支援センター(東京)」の2021年ランキングでは、窓口相談者のうち京都の移住を希望する人は全国で17位でした。セミナー参加者ではランク外という結果になっています。首都圏からの移住先としては、京都はあまり人気度が高くないといえます。
京都移住の魅力
京都は田舎ではなく観光地としてのイメージがありますが、実際に住みやすいまちなのでしょうか。ここでは、京都移住の魅力について解説します。
交通の利便性
京都は日本屈指の観光地として、全国各地からのアクセスの利便性に優れています。京都府には、東海道・山陽新幹線、山陰本線、舞鶴線、奈良線、関西本線などの路線が乗り入れているほか、周辺空港からのリムジンバスや電車の本数も多く運行されています。
京都市内では、地下鉄やバス移動が便利です。道路は、名神高速道路、新名神高速道路、舞鶴若狭自動車道などが通っているため、車でのアクセスもしやすいでしょう。全国各地の主要駅からの高速バス便もたくさんあります。
子育て環境
京都府では少子化対策条例として毎月19日を「きょうと育児の日」と制定し、「子育て環境日本一」の実現を目指しています。19日には、定時退社や年休取得の促進など企業にも協力を呼びかけ、社会全体で子育てを支える環境づくりを行っています。
「きょうと子育て応援パスポート」事業として、子育て家庭にパスポートを発行し、京都府、市町村、企業、協賛店舗が独自のサービスを提供する取り組みが好評です。協賛店舗のサービスや特典を始めとした子育てに関する情報は、きょうと子育て応援パスポートアプリ&ウェブサイト「まもっぷ」で詳しく調べられます。
移住支援
京都府では、働き方の多様化による移住ニーズへの対応や、伝統工芸の担い手の確保、地域社会の活性化などを目的として、さまざまな移住支援制度を強化しています。そのなかのひとつが京都府内の対象市町村への移住を前提とした「京都府移住支援金」の支給です。
東京23区在住者または東京23区への通勤者を対象に、定められた要件を満たす場合に、2人以上の世帯へ上限100万円、単身には上限60万円を支給しています。京都での「移住支援金対象求人」に応募し採用された方や、京都で起業する方、東京23区の勤務先に在籍したままテレワーク移住する方なども申請が可能です。
「京都移住コンシェルジュ」では、京都移住に関するさまざまな無料相談を受け付けています。就職に関しては「京都府UIJターンナビ」が、企業説明会や面談会などのイベントを開催し、求人活動を手厚くサポートしています。
京都移住におすすめのまち
長く京都に住むことを考えた場合、京都市以外にも魅力あるまちはあります。特に、子育て家庭には生活環境や子育て支援制度なども気になるところでしょう。ここでは、京都移住におすすめのまちを紹介します。
京都市
京都市は公共交通機関が発達し、大阪などの周辺都市へのアクセスも良好です。京都市約145万人の市民の足は、もっぱら地下鉄や市バスで、市内のあらゆる場所への移動に便利です。
京都市は、8年間連続で待機児童ゼロを達成し、時間外保育、夜間保育、障害児保育、一時預かりなど、家庭の状況に応じた多様な保育サービスを提供しています。また、任天堂、京セラ、オムロン、島津製作所、ワコールなどの有名企業が多く、大阪などの周辺都市への通勤も可能です。
宇治市
宇治市は、京都府南部に位置する京都市に次いで府内で2番目に大きな都市です。JR奈良線や京阪宇治線、近鉄京都線、京都市営地下鉄東西線などの交通網が発達し、京都まで約20分、大阪まで約1時間なので通勤・通学にも便利です。
また、宇治市では子育てに関するあらゆる情報を網羅した小冊子「宇治子育て情報誌」を毎年発行しています。子育て支援事業や各種手当、助成、相談窓口、お出かけ情報、地域の子育てグループなどの情報が得られます。
長岡京市
長岡京市は、京都府の南部、京都盆地の西南部に位置し、京都市や大阪府と隣接しています。784年には桓武天皇により奈良の平城京から長岡京に遷都し、政治、経済、文化の中心地として栄えた場所です。
京都と大阪を結ぶ交通網が発達しており、1960年代頃から都市圏へのベッドタウンとして発展しました。長岡京市では、子育てコンシェルジュや不妊治療の助成制度、子育てふれあいルームなどの子育て支援を行っています。
向日市
向日市は、京都府西南部、京都盆地西側に位置する市で、桓武天皇が長岡京を建設し、794年まで都となっていたまちです。向日市では、地域子育て支援拠点として、3ヶ所の子育て相談室を設置し、子育て支援を行っています。農業が盛んでタケノコの産地として全国的に有名です。国道171号線沿いを中心に、市内には電気や機械、化学、ビール工場などもあります。
城陽市
城陽市は、京都と奈良のほぼ中間に位置し、住宅都市として発達しています。梅やトマト、イチジク、茶の生産が盛んで、京都府最大の青谷梅林は城陽市の観光スポットとしても有名です。城陽市では、「子ども家庭総合支援拠点」を設置し、保健師、心理士、教師、保育士等の専門職が各種の相談に応じています。
京都移住に向いている人とは?
京都の歴史や古い町並みが好きな人は京都移住に向いています。特に京都市内は観光客が多いため、にぎやかな環境にもなじめる人のほうが合っています。また、京都市は広大な京都盆地の中にあるため、夏は暑く、冬は寒いことが特徴です。気候が厳しいと感じる人もいますが、四季の移り変わりを楽しめる人なら向いているでしょう。
移住後は、徐々に地域の人との交流も生まれてきます。京都の人は本音と建て前を使い分けるともいわれていますが、状況に応じた言外の意味を汲み取れる人なら心配ないでしょう。
京都移住の進め方
まずは、観光地の近くがよいのか、繁華街近くで生活したいのか、あるいは自然豊かなエリアで暮らしたいのか、移住後の生活をイメージしてみましょう。
次に、京都移住に関する情報集めです。イメージした生活が可能かどうか、交通機関や家賃相場、生活したいまちなど、インターネットである程度のことは調べられます。そして、候補地を絞ったら、実際にお試し滞在をしてみて、現地の人の雰囲気やまちの様子を体感してみましょう。
候補地が気に入ったら、仕事や就職先を探します。仕事に関しては、実際の相談専門窓口などのサポートを利用することをおすすめします。移住後の住まいは、自治体の空き家バンクに相談したりや不動産業者もいくつか回ったりして納得の行く物件を探しましょう。
まとめ
京都は歴史あるまちで古い街並みや伝統的な文化が魅力的です。観光スポットやイベントも多く、数日の滞在では回りきれないため、いっそのこと住んでみたいと思う人もいるでしょう。
京都府では移住支援金などの手厚い移住支援事業を行っています。交通の利便性がよく、大阪などの周辺都市への通勤も可能、子育て支援が充実している市もあります。ぜひ、京都移住を実現してみてはいかがでしょうか。