近頃、大学の学費や受験料が高くなることがニュースで取り上げられています。住宅ローンの返済もしながら子どもの教育費の準備ができるか不安、という方も多いかもしれませんね。今回は、特に負担が大きい大学費用がどのくらいかかるのか、子どもが大学入学までにどれぐらいお金を用意する必要があるのかご紹介します。
ライフプランを立てるにあたって、おさえておきたい教育費
ここ数年、今後の自分や家族のライフイベントを踏まえて、資金計画を立てる考え方、いわゆるライフプランやマネープランの考え方が浸透してきた影響もあり、「今後増える教育費の負担も踏まえて無理なく買える住宅の資金計画を考えたい」「子どもが生まれたので、大学までどのくらいの資金を準備しておけば良いのか知りたい」という方が増えています。
実際に、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2021年)」によると、「生活設計を立てている」、と答えた人は約40%、「今は立てていないけれど今後は立てるつもり」という人が約42%、ライフプランの重要性を認識している人が多いことがうかがえます。
一方で、「子どもが小学高学年、中学生になったけれど、家を購入したので貯金があまりない、教育費の準備が間に合うか不安」という方も多くいらっしゃるでしょう。では、そもそも大学にかかる教育費はどのくらいかかるのでしょうか?
1.大学入学時にかかる費用は平均約81万円
大学にかかる費用は入学時や入学前にかかる「入学関連費用」、「授業料や通学費などの在学費用」に大きく分かれます。まず、「入学関連費用」ですが、学校に納める納付金、受験費用、入学しなかった学校へ支払う納付金が挙げられます。もちろん学部によっても異なりますが、平均合計で約81.1万円(日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」より)となっています。内訳は以下の通りですが、大学入学時・入学前にも結構お金がかかることがわかります。
2.大学在学費用の目安は4年間で約400~730万円
では「大学在学費用」はどのくらいかかるのでしょうか?
在学費用には、「授業料など学校に支払うお金」と「塾代、お稽古代など」がありますが、国立大学で自宅通学の場合の教育費は4年間で平均約414万円、私立文系の場合は、自宅通学で約608万円、私立理系の場合は、自宅通学で約733万円、となっています。国公立と私立理系では約1.8倍の差があり、在学費用は国公立か私立か、学部などによって大きく変わってくることがわかります。
進路については、早い段階から決定するのは難しいですが、普段からお子さんとコミュニケーションをとって、文系科目が好きなのか、理系科目が好きなのか、おおよその傾向をつかんで心積もりとしておきたいところです。
高校3年生の時期は、高校の授業費などの教育費に加えて、受験のための塾代、そして「大学入学関連費用」が必要となり、家計の負担が大きくなります。少なくとも「大学入学関連費用」「初年度分の在学費用」の合計約200万円強は早めに準備しておきましょう。
準備の仕方ですが、児童手当は中学校修了まですべて合計すると1人あたり約200万円(所得制限にかからない場合)となるので、この児童手当分を充てられるように貯めておくのが理想ですね。
なお、国公立を目指していても、途中で進路が変わるという可能性もあります。余裕をもって資金を準備しておきたいところです。
3.下宿の場合の仕送り額は年間約95万円
続いて、下宿した場合にはどのくらいの仕送りが必要かも見ておきましょう。
もちろん下宿先の都市によっても異なりますが、仕送り額は年間平均95万円、月々約7.9万円、その他アパートの敷金や家財購入費など下宿を始めるための費用が合計平均38万円(日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」より)となっています。
自宅通学者が1人いる世帯において、仕送りをしていない世帯の割合は約10%と、ほとんどの世帯が仕送りをしている状況です。コロナ禍で学生のアルバイト先が減っている影響で、仕送り額は増加傾向にあることから、下宿をする場合には、仕送り費をどう捻出するかをしっかり考える必要がありますね。
4.教育費の目標金額に届かなかったらどうする?
では、もし、どうしても資金準備が間に合わないという場合にはどうすれば良いでしょうか?
その場合には、まずは給付型の奨学金、貸与型の奨学金を考え、足りない、あるいは借りることができない場合には国の教育ローン、民間の教育ローンの順に考えます。ちなみに日本学生支援機構の「平成30年度 学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学(昼間部)で47.5%と約半数の方が奨学金を利用しているとのことです。
ただし、貸与型の奨学金にしてもローンにしても、いずれ返さなければならないものです。近頃、奨学金の返済負担が大きくて、自分の将来ための積立ができない、生活が苦しいといった若い方からの相談が増加しています。資金準備に利用する場合は最低限の金額に抑え、返済計画もしっかり立てておきましょう。