多くのビジネスパーソンにとって「年収1,000万円」は一つの目標ではないでしょうか。それを上回る「年収1,300万円」ともなると、生活や気持ちにかなりのゆとりが生まれそうです。年収1,300万円の場合はどのくらいの住宅ローンを組んだらよいのでしょうか。本記事では、手取り額や返済負担率(返済比率)などから年収1,300万円世帯の住宅ローンを具体的に試算してみます。
年収1,300万円あたりの人の割合
年収1,000万円でもなかなか手が届きそうにないのに、1,300万円なんて雲の上のような話と感じている人もいるでしょう。そもそも年収が1,300万円の人の割合はどのくらいなのでしょうか。
ピンポイントで年収1,300万円の人の割合を知ることはできませんが、国税庁が行った2020年分「民間給与実態統計調査」によると、1,000万円超1,500万円以下のレンジで全体の3.4%であることがわかります。
ちなみにこの調査でもっとも多かったのが、年収300万円超400万円以下のレンジで17.4%でした。このことからも年収が1,300万円の人はかなりの少数派といえるでしょう。
年収1,300万円の手取り額は?
当然ながら、年収と手取り額は異なります。給与所得者の場合は、給与の総支給額から税金や保険などの各種控除があるため、残った金額が手取りになります。それでは、年収1,300万円だと手取り額はいくらになるのでしょうか。
Webサイトの早見表を利用して試算してみましょう。「マネカツ」が作成した年収別の手取り額の試算表によると、年収1,300万円の手取り額は、所得税149万円、住民税92万円、社会保険料148万円を差し引いた911万円です。年収が1,300万円でも、手取り額にすると1,000万円を切ることがわかります。
ただし、この試算表では各種控除は「給与所得控除」「社会保険料控除」「基礎控除」のみを考慮しているため、実際には扶養家族の有無などによっても手取り額は変わってきます。
出典:マネカツ 【2022】年収別の手取り金額を一覧表で紹介!計算方法やおすすめの節税方法を解説
世帯年収1,300万円の場合
続いて、世帯年収が1,300万円のケースを紹介します。
世帯年収1,300万円以上の割合
2019年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」の概況より、所得の分布状況を見てみましょう。前章で紹介した年収1,300万円の人の割合は、給与所得者を対象にした調査でしたが、本章の調査対象には年金生活者や自営業者なども含まれています。
世帯年収が1,300万円以上1,400万円未満の世帯は全世帯の1.2%でした。年収が1,300万円以上になる世帯をすべて合わせても、5.4%しかないことがわかります。
ちなみに、この調査によると世帯年収でもっとも多かったのが200万円以上300万円未満の世帯で13.6%です。なお、平均所得金額である552万3,000円以下の割合は61.1%で、中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は437万円になっています。
世帯年収1,300万円の手取り額
前章の早見表で世帯年収1,300万円の手取り額を試算してみましょう。仮に夫の年収を650万円、妻を650万円とすると、それぞれの手取り額は、所得税24万円、住民税34万円、社会保険料97万円を差し引いた495万円です。
世帯での手取り額合計は495万円を2倍にした990万円になり、前章のケースより手取りが79万円多くなります。個人の給与所得で年収1,300万円となると、手が届かないと感じるかもしれませんが、夫650万円、妻650万円あたりであれば、雲の上とまでにはならず、現実的に目指せる目標ではないでしょうか。
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世帯年収1,300万円が住宅ローンを借りるなら
世帯年収1,300万円が住宅ローンを組むなら、いくらぐらいが適正で、月々の返済額はいくらになるのかなど、データを基にシミュレーションしてみましょう。
返済負担率で考える
住宅ローンを組む際に指標となる数字が返済負担率です。返済負担率とは「年収に対する住宅ローン年間返済額の割合」を指す数字で、返済比率とも呼ばれ、「年間の返済額÷年収(税金や社会保険料を含む)×100」で算出されます。
返済負担率30~35%を借入限度額と設定している金融機関が多く、年収が多い場合は35%以上で設定されることもあります。たとえば、【フラット35】では、年収400万円未満の場合は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下と定めています。
住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションで年収1,300万円のケースを月々37万9,000円の返済で、金利1.0%として試算をすると、1億3,426万円の借り入れが可能になります。ただし、これは借入限度額です。
支出から逆算して考える
住宅ローンの借入金額を算出する際、支出から逆算する方法もあります。収入から考えるのではなく、支出から考えた方が無理のない範囲で住宅ローンを収めることができます。家計簿を付けている人は、月々の支出額から住居費を除いた額を算出して、その額から月々の返済額を考えると良いでしょう。
家計簿を付けていない人の場合は、総務省の統計データを参考にすることができます。2021年度の家計調査「二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者以外の世帯」によると、2人以上世帯の1ヶ月間の支出総額は28万935円です。ここから住居費1万8,109円を差し引くと26万2,826円になり、自分の月収からこの額を差し引いた金額が返済可能額になります。
先述したように、世帯年収が1,300万円の手取り額は990万円なので、ボーナスを考慮しない場合で月収に換算すると82万5,000円です。ここから26万2,826円を引くと、56万2,174円になります。さらに、月々の預貯金額や、今後かかってくる可能性のある教育資金などを差し引いておきます。残った金額が、無理なく返済が可能な金額と考えてよいでしょう。
出典:総務省 家計調査 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者以外の世帯
返済負担率25%で考える
ローンを組む際は、月々の返済に余裕をもたせるために返済比率を25%以下に設定するのが理想とされています。そこで、返済率25%の場合の返済額と借入金額をローンシミュレーターで試算してみます。金利1.0%、返済期間35年とすると、月々の返済額は27万円、借入額は9,564万円になります。
返済額の27万円を負担に感じるかどうかは、ライフスタイルや将来設計によっても違ってくるでしょう。住宅ローンの返済は長期になるため、安定的に収入が得られることが大前提になります。転職や退職、病気や事故など不測の事態が生じて収入が減ることになった場合でも、返済は続けていかなければなりません。借入額は返済のことも考えて無理のない設定にすることをおすすめします。
まとめ
世帯年収1,300万円の家庭は、全世帯の中でもかなり裕福な世帯といえます。余裕のある生活が可能ではありますが、むちゃな住宅ローンの借り入れには注意が必要です。余裕をもった返済計画を立てておくと、不測の事態が生じた際にも気持ちにゆとりが生まれ、将来的にも安心です。
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(最終更新日:2023.07.18)