労働者が失業した際などに、生活支援や雇用の安定を図る目的で給付金を支給する「雇用保険制度」。労働者と事業主の双方で保険料を負担する仕組みのため、毎月支給される給与の手取り額は、雇用保険料の労働者負担分などを引いた金額となります。実際に、働く人々はどの程度の雇用保険料を負担しているのでしょうか。
2022年10月~2023年3月まで、雇用保険の保険料率が引き上げに
会社員などが退職や失業をしたとき、雇用保険に加入していれば、約3ヶ月から1年間、「失業手当(失業保険・失業給付金)」を受給することができます。雇用保険の加入に当たり、労働者側が負担する雇用保険料は「給与額または賞与額×雇用保険料率」で算出され、2021年度の雇用保険料率は一般の事業(農林水産・清酒製造の事業と建築の事業以外すべて)の場合、賃金の0.3%でした。
しかし、2022年に「雇用保険制度」の保険料率が改定となり、労働者と事業主ともに負担額が増加することに。具体的には、労働者が負担する保険料は一般の事業の場合、賃金の0.3%から0.5%に、事業主は0.65%から0.85%にそれぞれ引き上げとなっています。例えば、月給が20万円の場合は毎月の雇用保険料の労働者負担が600円から1,000円に、月給が30万円の場合は労働者負担が900円から1,500円に増えたということです。背景には、新型コロナウイルスの感染拡大により十分な収入が得られなくなった人が増え、財源が不足している問題があります。
「給与の振り込み額は意識していても、内訳は気にしていなかった」という人はこれを機に、雇用保険料などの控除額もチェックしてみてはいかがでしょうか。