夏が終わる頃、日暮れ時に聞こえてくる虫たちの鳴き声。秋の訪れを告げる虫の音色には風情を感じますが、家の中に侵入されるのは迷惑です。秋の虫の代表格といえばコオロギでしょう。本記事ではコオロギが家に侵入する原因とその対策方法を解説します。
コオロギとカマドウマ
家の中に侵入してくる虫にはさまざまなものがいますが、コオロギもその一つです。そして、コオロギに姿形がよく似ているものの、コオロギとは別の虫もいます。家の中でよく間違えるのが「カマドウマ」という虫で、別名「便所コオロギ」と呼ばれるほどコオロギによく似ています。
コオロギはバッタ目(直翅目)に属し、キリギリス亜目コオロギ上科の昆虫です。翅(はね)をこすり合わせてコロコロという涼やかな鳴き声を出すのが特徴で、成虫になるとと翅を使って飛ぶものもいます。
一方、カマドウマはコオロギと同じバッタ目に属しますがカマドウマ科に分類されます。顔が馬に似ていることや、昔は家屋の竈(かまど)周辺で見かけられたことからカマドウマと名付けられました。翅がないのでコオロギと違って鳴くことはなく、飛ぶこともできません。後ろ足が発達しているため跳躍力が強いのが特徴です。
コオロギ、カマドウマともに毒性などはなく、人に危害を及ぼすことはありません。ただし、暗い場所に現れることが多く、見た目も不快なため嫌われている昆虫です。とくにカマドウマは「便所コオロギ」といわれるだけあって湿気を好み、トイレや風呂場など湿気の多い場所に出現する率が高くなります。どちらも生態や食性が似ているので、駆除する場合は同じ方法でよいでしょう。
コオロギが家に侵入する原因
戸建て住宅や共同住宅の低層階に、コオロギ(またはカマドウマ)が侵入することがあります。その原因は、家の中にある豊富な餌です。コオロギは雑食性で、屋外では樹液や枯葉、小昆虫、昆虫の死骸などを食べますが、家の中では人間の食べ残しや生ゴミ、アリやダニなどが餌になります。
また、家の周囲に餌となる落ち葉などが溜まらないように気を付けましょう。家の周囲に居場所があると、家の中に侵入しやすくなります。
コオロギの侵入経路
コオロギはどのように家の中に侵入してくるのでしょうか。主な侵入経路は以下の通りです。
玄関
まず考えられるのは、玄関からの侵入です。玄関は間口が大きく、人の出入りも多い場所です。人の出入りに紛れて侵入してくる可能性があります。また、掃除や風通しを良くするために開けておくこともあるでしょう。コオロギに限らず、害虫の侵入を防ぐには、まずは玄関を長時間開けっ放しにしないことです。
窓
玄関同様に窓も侵入経路になります。コオロギはちょっとした隙間からでも侵入できるので、窓を開ける際には網戸をするようにしましょう。網戸をしているのに虫が侵入するという場合は、窓の開け方に問題があるのかもしれません。
エアコンのドレンホース
エアコンのドレンホースから侵入してくることもあります。ドレンホースはエアコン運転時に発生する水を外へ排出するもので、室内機から屋外へとつながっています。外に出ているホースの先から家に侵入してくるため、先端部分に防虫カバーを付ければ侵入を防げます。
通風口・換気扇
通風口や作動していないときの換気扇も侵入経路になります。古いタイプの換気扇は構造的に隙間があるため、侵入されやすくなります。コオロギは暗くなると鳴き始めることからもわかるように、夜に徘徊する昆虫です。侵入を防ぐには昼夜問わず換気扇を回しておくか、換気扇フィルターなどを付けておくとよいいでしょう。
コオロギを撃退する方法
家の中に侵入したコオロギを撃退するにはどのようにしたらよいのでしょうか。コオロギの撃退方法としては、大きく殺虫・駆除する方法と捕まえる方法があります。それぞれについて紹介します。
駆除をする
家庭に置いてある殺虫剤は、コオロギにも使えます。スプレー式(エアゾール)の殺虫剤はコオロギに直接噴射しましょう。ただし、コオロギは意外に生命力が強いため、殺虫剤が効かずに逃げられてしまう場合があります。
冷却スプレータイプであれば、瞬間冷凍して殺虫するため、確実に撃退できます。また、冷却スプレータイプには殺虫成分が含まれていないため、小さい子どもやペットがいても安心して使用できるのもメリットです。
ゴキブリ駆除に使用する毒餌剤(どくえざい)の置き型も有効です。コオロギは昆虫の死骸も食べるので、毒餌で死んだコオロギの死骸を他のコオロギが食べれば、連鎖的に駆除できます。このほか、粘着テープ式の駆除用品も有効で、ゴキブリ駆除の方法は、総じてコオロギにも応用できます。
捕獲する
続いて捕獲する方法です。コオロギを捕獲する方法にはいくつかありますが、ここではペットボトルでトラップを作る方法を紹介します。
①2リットルペットボトルを用意し、半分に切る。
②切った上の部分は、逆さに(飲み口が下に向くように)して、下半分のボトルに入れる。
③ペットボトルの中に餌となる砂糖(キュウリやナス、鰹節なども可)を入れる。
④トラップを横にして置く。
捕獲したコオロギは外に逃がしても、飼育してもよいでしょう。ただし、カマドウマは鳴かないので観賞向きではありません。
家の中でコオロギを見かけると不快に思う人も多いかもしれませんが、中国では幸運のシンボルと考えられています。また、古くから闘蟋(とうしつ)というコオロギ相撲が楽しまれるなど、中国出身の方にとっては親しみのある虫です。とくに実害もないのに、見た目が不快というだけで忌み嫌うのは気の毒かもしれません。
まとめ
コオロギは、涼しい音色で秋の訪れを感じさせてくれる虫ですが、雑食で生命力が強く、家の中に侵入されると迷惑な虫でもあります。まずは侵入されない対策を講じて、侵入された場合は紹介した方法で対処しましょう。