9月1日は防災の日。日本では洪水や台風などの自然災害が多いため、普段から避難するときの備えをしておくことが大切です。大雨による避難は、どのようなタイミングで、どこへ避難すればいいのか正しく把握しているでしょうか。今回は、大雨の避難方法、避難する際の服装や持ち物、避難が困難な場合の対処法などを解説します。
大雨や台風による災害には十分注意!
近年、大雨により急な河川の増水や氾濫による住宅浸水などの被害が多発しています。7~10月にかけては台風が多く発生する時期でもあり、大雨や暴風による被害が発生しやすくなります。大雨や台風により生活や命が危険にさらされる可能性もあるため、普段から災害対策をして備えることが大切です。
大雨による災害にどう備える?
大雨による災害に対して、普段からどのような点に注意して、どう備えればよいのでしょうか。事前の準備について解説します。
避難場所や避難所を確認する
災害時の避難場所と避難所には違いがあります。避難場所は一時的に身の安全を確保するための場所です。大きめの公園や広場などが多く、基本的には水や食料などの備蓄はありません。
一方、避難所は、災害で家に戻れなくなった場合や、被害を受ける恐れのある家から避難するために一定期間の滞在先となる施設を指します。避難所となるのは小中学校や公民館などの公共施設です。
自分の住んでいる場所がどのような災害の危険性があるか、まずはハザードマップで調べておきましょう。また、自治体が指定している避難場所や避難所を把握して、安全に移動できる避難経路を確認しておくことが大切です。
出典:防災情報のページ|内閣府
非常用グッズを準備する
浸水や冠水、土砂災害などの危険性がある地域の方は特に、大雨による避難に備えて非常用グッズを準備しておく必要があります。また、自宅の場所が安全でも、水や電気などのライフラインが止まるかもしれないため、備えは必要です。以下に非常用持ち出し袋に最低限備えておきたい物品を紹介します。
・飲料水
・食料品…ビスケット、クラッカー、チョコレート、乾パンな、レトルト食品、缶詰など
・懐中電灯、携帯ラジオ…手回し式で電池の必要のないものが便利です
・携帯電話の充電器
・レインウェア
・着替え、タオル
・マスク、除菌ウェットティッシュ、常備薬、生理用品など
・携帯トイレ
・ヘルメットや防災ずきん
・紙皿、紙コップ、ラップ
・貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
・乳児がいる場合は、抱っこひも、ミルク、紙おむつ、哺乳びん、おしり拭き、ゴミ袋など
政府では、自宅用の備蓄として、食料や水を最低3日分、できれば1週間分準備しておくことを推奨しています。また、生活用品のストックも切らさないようにしましょう。
出典:災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~|内閣官房内閣広報室
自宅を水害から守るための対策をする
自宅に水が侵入するのを防ぐためには、普段から対策をしておくことが大切です。雨どいや屋根、外壁、窓ガラス、雨戸などの整備点検を行って雨漏りや雨の侵入経路を防ぎましょう。台風による暴風雨に備えて、自宅の周辺に植木鉢や物干し竿など飛散すると危険なものはないか確認しておきます。川が氾濫しなくても排水が追いつかずに道路が冠水することもあります。家屋への浸水を防ぐ方法として以下の対策グッズが便利です。
・土のう…麻袋やポリエチレン製の袋に土や砂を詰めたもの。並べて積み重ねることで水の侵入を防ぎます。
・止水版…玄関ドアの隙間から水の侵入をせき止める板。
・ポリ袋…ポリ袋など耐水性の袋に水を入れて水のうとして使えます。
・レジャーシート…土が入ったプランターや、水を入れたポリタンクなどを重しとして、レジャーシートで巻き込んでも止水板の代用になります。
大雨が降ったときの避難方法
大雨が降ったときの避難は、よく気をつけて行動する必要があります。以下に、正しい避難の方法について解説します。
情報収集
災害の情報収集の手段としては、平常時にはテレビやラジオ、インターネット、携帯電話などを使用することが多いでしょう。災害時には、このほかに防災行政無線、消防救急無線、エリアメール、災害用伝言サービスなどがあります。
携帯電話、パソコンやタブレット、スマートテレビやゲーム機などでインターネットが使える場合は、自治体のホームページ、防災用掲示板、TwitterなどのSNSなども活用するといち早く情報が入手できます。SNSなどでは、デマ情報に惑わされないようにしましょう。
避難のタイミング
災害時に、どの程度の危険が迫っているか住民が直感的に理解しやすいように、警戒レベルを5段階で示しています。警戒レベルを参考に避難が必要かどうかを判断できます。特に、子ども・高齢者等、避難に時間がかかる人がいる場合は、自主的に早めの避難が必要です。警戒レベル別の避難行動は次のとおりです。
・警戒レベル1…災害への心構えを高めましょう。
・警戒レベル2…避難に備え、ハザードマップ等により、自らの避難行動を確認しましょう。
・警戒レベル3…危険な場所から高齢者等は避難しましょう。ほかの人は避難の準備を整えましょう。
・警戒レベル4…速やかに危険な場所から全員避難しましょう。
・警戒レベル5…命が危険ですので、直ちに身の安全を確保しましょう。
出典:「警戒レベル4」で危険な場所から全員避難!5段階の「警戒レベル」を確認しましょう|政府広報オンライン
服装・持ち物
水害避難時の服装や持ち物には以下のような注意が必要です。
・ケガを防ぐため、長袖、長ズボン、軍手などを着用して肌を保護しましょう。
・靴は履き慣れた運動靴や底が厚いスニーカーがおすすめです。長靴は水が入ると歩行しづらいため避けましょう。
・飛散物や転倒に備えてヘルメットや防災頭巾、帽子をかぶると安心です。
・非常用持ち出し袋は、避難する際の負担にならないように必要最小限にします。
・両手がふさがらないようにリュックがおすすめです。
避難するときの注意点
避難のために家を離れるときは、以下の注意点を守りましょう。
避難する前にすること
火災のおそれがあるため、電気のブレーカーを落とし、ガスの元栓も閉めましょう。また、防犯のため、窓やドアの鍵を閉め、しっかりと戸締まりをしておきます。可能であれば、近隣の人にも声掛けをして、火災や盗難のリスクに備えましょう。
避難のしかた
大雨で避難するときは、できるだけ2人以上で一緒に移動するようにしてください。明るいうちに移動し、冠水している場所には近づかないようにします。薄暗いときは、足元を懐中電灯などで照らし、危険がないか傘や杖などで足元を確認しながら歩きましょう。川沿いや田んぼの周辺、アンダーパスは避けて、安全な道を選んでください。
避難が難しい場合
既に水の深さが50cmを超えるような場合は、無理に避難してもかえって危険です。避難所まで移動するのが困難な場合は、近くの鉄筋コンクリート製などの頑丈な建物の高い階に避難します。自宅から出られないようなら、2階以上の山や崖から離れた側の部屋へ移動してください。
まとめ
いつどこで発生するかわからない水害に対して、日頃から備えをしておくことが大切です。避難する場合は、服装や持ち物、避難経路などに気をつけて慎重に行動してください。避難が難しい場合は、頑丈な建物の2階以上、山や崖が近くにある場合はできる限り離れた部屋へ移動しましょう。
自然災害の中でも水害は事前に予測しやすい災害です。天気予報で情報を確認するとともに、早めの避難など命を守る行動が重要です。