自宅の庭を憧れの芝生にしてみたいと考える人は少なくないでしょう。鮮やかな緑の芝生は庭の景観だけでなく、家そのものの印象もランクアップさせます。
しかし、一見おしゃれな芝生も、お手入れや費用面などのデメリットが気になるもの。そこで今回は、芝生のメリットとデメリット、芝生を植えるための手間や費用について詳しく解説します。
庭を芝生にするメリット
庭を芝生(天然芝)にすると、どんなメリットがあるのでしょうか。主な利点を4つ紹介します。
自然な風合いと美しさ
天然芝の自然な風合いと美しさには、格別なものがあります。日光が当たったときの照りや色調は、光の角度や加減で1日のうちに何度も変化します。春から夏にかけては、特に緑が濃くなる時期なので、生きている植物の生命力やみずみずしさが感じられるでしょう。
花壇や家庭菜園との相性の良さもポイント。庭木や花壇の花々、畑に並んで植えられた野菜たちを、より美しく見せられます。ただ土や砂利が敷き詰められた庭との差は歴然です。
価格の安さ
コンクリート敷きやレンガ敷きなどほかの外構に比べて、安い費用で取り入れられるのも芝生のメリットです。庭が広いほど、価格の差は大きくなります。
たとえば、天然芝と人工芝、砂利、コンクリートで庭を舗装する場合、造園会社による施工費を含めると、一般的に最も費用が高くつくのがコンクリート、次いで砂利、人工芝、一番安いのが天然芝です。
同じ芝生でも、天然芝と人工芝では1.5~2倍ほど費用に差があります。
子どもやペットが遊べる
子どもやペットの体に優しいのも芝生のメリットです。芝生に覆われた地面は雨の日でも足が汚れにくく、晴れの日は裸足でも庭に出られます。
また、芝生がクッションのように柔らかく体に当たるため、座ったり寝そべったりしても快適です。コンクリートや砂利、レンガなどに比べて、転んだ際のケガのリスクも低くなります。
花火やBBQをした際、もし芝生が傷んでしまっても、その部分だけ植え替えが可能なのも利点の一つです。
夏は涼しい
芝生を敷いた地面は、コンクリートやレンガよりも日差しの照り返しや熱の反射が抑えられるため、夏場でも比較的涼しく過ごせるのがメリットです。
夏の暑さは、地面の温度や地面からの距離とも密接に関係しています。反射熱の影響で、身長の低い子どもやペットは熱中症になりやすく、熱された地面を歩かせれば散歩中の犬が肉球をやけどしてしまう恐れもあります。
猛暑日が増えている昨今では、こうした健康への影響も見逃せないポイントです。
庭を芝生にするデメリット
たくさんのメリットがある芝生ですが、一方でデメリットもあります。庭を芝生にする欠点も見ていきましょう。
手入れが大変
天然芝は生きた植物なので、手入れが欠かせません。コンクリートやレンガを敷いた庭は、掃除のほかには特にメンテナンスを必要としませんが、芝生は世話を怠ったり、方法を誤ったりすると枯れてしまい、庭の景観を逆に損ねてしまう恐れがあります。
生き生きとした美しい芝生を保つためには、以下に紹介するお手入れを定期的に行いましょう。
芝刈り
芝生のお手入れ方法としてまず挙げられるのが芝刈りです。
天然の芝生は成長し続けるため、放置していると伸びすぎてしまいます。伸びすぎると芝生の密度が下がって景観を損なうばかりか、芝生が枯れてしまうこともあります。
定期的なお手入れで、芝生の高さがつねに2~3cm程度になるように調整すると、芝生の密度と健康が保たれます。
芝生の成長期は5~11月です。特に成長速度が増す夏場は、月に最低2~3回は芝刈りを行いましょう。
雑草取り
芝生にはしばしば雑草が生えます。雑草の種が風に運ばれたり、動物の体に付着したりして芝生に落ち、そこから芽吹いてしまうためです。
雑草の生命力は強く、本来芝生に行き渡るはずの栄養が取られてしまうこともあります。芝生の健康を守るためには、雑草取りも必要不可欠です。
基本的には、雑草は見つけたらまず抜きましょう。芝生には作用せず雑草だけを枯らす除草剤(選択性除草剤)も効果的です。
水やり
天然の芝生には、適度な水やりも大切です。春と秋は3~4日に1回程度、夏場は毎日、散水ホースやスプリンクラーなどで水やりをしましょう。なお、冬は基本的に水やりの必要はありません。
また暑い日は、気温が上がってからの水やりは避けましょう。水分が熱されて、根が蒸れて傷んでしまう恐れがあります。
施肥
芝生を美しく保つためには、適度な施肥も必要です。芝生の種類や気候によって差はありますが、大まかには4~9月ごろ、芝生の成長期に合わせて肥料を与えるのが一般的です。
肥料は芝生専用のものを選び、適量をムラなく撒きましょう。施肥後の適度な散水も、栄養分をまんべんなく行き渡らせるコツです。
冬に枯れる
日本でポピュラーな芝の種類である日本芝(高麗芝)は、病気に強く日本の風土に合った性質で、一般家庭からゴルフ場まで幅広く植えられています。
しかし、日本芝は低温に弱く、冬場は枯れて春まで休眠状態になります。このため、庭に植えられた芝生の多くは、冬の間に見た目が悪くなってしまうのがデメリットです。
なお、比較的寒さに強いことで知られる西洋芝も、暖地型の夏芝はやはり冬に枯れてしまいます。
庭を芝生にする際の費用
庭に芝生を植えたいとき、気になるのは費用です。芝生には、どれくらいお金がかかるのでしょうか。
DIYで行う場合
芝生は造園会社に一任するケースが多い一方で、DIYで植えることも可能です。自らの手で行うなら、費用は実費のみで済みます。庭仕事の経験がある人や、費用をなるべく抑えたい人はDIYに挑戦してみましょう。
芝生の植え方は、種を蒔く方法と、マット状の苗を利用する方法の主に2つがあります。手間を省きたい場合は、便利な苗がおすすめです。
マット芝の植え方
マット芝を植える場合は、次の3つの植え方があります。「目地張り」や「市松張り」など、まんべんなく敷き詰めずに隙間を空けて植える方法のほうが、費用が安く抑えられます。
全面張り(平張り):マット芝を隙間なく地面に並べる植え方
目地張り:マット芝の間隔を数センチ空ける植え方
市松張り:市松模様のように、正方形のマット芝を左右交互に間隔を空ける植え方
マット芝を植える際には、雑草やゴミを取り除いて土を平らにならす下準備も重要です。
ホームセンターで購入すると
ホームセンターのコメリを例に挙げてみましょう。2022年8月時点でコメリでは、高麗芝1束(1平方メートル)が998円(税込)です。10平方メートルの庭を芝生にする場合、市松張りで植えると、5束必要になるため4,990円(税込)かかります。
なお、この計算には工具やマット苗を植える前の下地づくりの費用は含まれていません。トータルで考えると、もう数千円程度の費用がかかることを想定しておきましょう。
参照元:コメリ「高麗芝」
造園会社に依頼する場合
庭づくりのプロである造園会社に芝生植えを依頼する場合、料金の相場は材料費込みで1平方メートルあたり5,000~10,000円くらいです。10平方メートルの庭を芝生にしたい場合には、5~10万円程度は用意しなければなりません。
DIYで芝生を張る費用と比べて、造園会社に依頼すると5倍から10倍近くかかってしまいます。整地から植えた後の施肥まで自分で行う手間や時間と費用、仕上がりの美しさなどをふまえて検討してみましょう。
まとめ
庭の景観をランクアップさせ、子どもやペットの体にも優しい芝生。数々のメリットから、庭を芝生にしたいと考える人も多いでしょうが、相応の労力や費用がかかります。
芝生の手入れなど、管理にかかる手間も含めて庭仕事を楽しめる人は、ぜひ芝生の庭にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。