ZEHとはどのような住宅のこと? メリット・デメリットも解説!

近年新築される住宅の中で増えているのがZEH(ゼッチ)と呼ばれる住宅です。2020年にはハウスメーカーが新築した注文戸建て住宅のうち、約56%と半数以上をZEHが占めるほどになっています。

環境にも家計にもやさしいとされるZEHですが、具体的にはどのような住宅なのでしょうか。この記事ではZEHの概要、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

ZEHとは?

ZEHとは「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称で、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅のことです。簡単に言い換えると「消費するエネルギー≦生み出すエネルギー」となる住宅を指します。

エネルギー収支をゼロ以下とするためには、消費エネルギーを減らすか生み出すエネルギーを増やす必要があります。そのため、高い省エネ性やエネルギーを創出する仕組みの導入などが求められるのです。

資源の少ない日本において、資源の消費量を抑えるのは重要なテーマ。また、多く発生する自然災害への備えとなることからも、国を挙げてZEH の普及が推進されています。

ZEHが推奨されている背景

ZEHが推奨されているのには、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、政府が環境に関する目標を掲げているという背景があります。

2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、2030年度以降の新築住宅ではZEH基準を水準とする省エネ性能の確保を目指すことや、2030年時点で新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を設置することを目標としています。

また、同じく2021年10月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」においても、2030年度以降の新築住宅でZEH水準を基準とする省エネ性能の確保を目指す旨が明記されています。

2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、2020年時点で新築住宅の省エネ基準適合率を100%とすることと、新築注文戸建て住宅の過半数をZEH化することを目標として位置づけています。2点目については、2020年に新築された注文戸建て住宅の約56%がZEHと、政府目標を達成していると言えるでしょう。

さらに、2019年6月閣議決定の「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」では、今世紀後半のできるだけ早期に、住宅を含めたストック平均をZEH相当にしていくために必要となる建材などの技術開発や普及を促す旨を定めています。

ZEHに不可欠な3つの要素とは?

ZEH認定を受けるためには、「断熱」「省エネ」「創エネ」という3つの要素を満たしていなければなりません。それぞれの要素について、概要を解説していきます。

断熱
ZEH認定を受けるにあたっては、高い断熱性能が求められます。外の暑さ・寒さに大きく影響される住宅では冷暖房を多く使用しなければならず、エネルギー消費量が増えてしまいます。高性能な断熱材や窓を設置して断熱性を高めることで、冷暖房の使用を抑え、エネルギー効率を高められるのです。

これは、エネルギー収支をゼロ以下にする2つの方法のうち、エネルギー消費を減らすための要素と言えます。

省エネ
ZEHにおいては、家で使用する電力量・発電量などを確認できる「HEMS(ヘムス)」というシステムが必要です。使用するエネルギー量を減らすため、省エネタイプの冷暖房器具や給湯システム、省電力のLED照明などを導入するというのもポイントとなります。

これも、エネルギー消費量を減らすための要素です。

創エネ
ZEHで求められる3つの要素のうち、生み出すエネルギーを増やすための方法として挙げられるのが「創エネ」です。ZEH認定を受けるには、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーシステムを備え、生活において消費するエネルギーを上回るだけのエネルギーを自家生産しなければなりません。

ここまで紹介したとおり、「断熱」「省エネ」によってエネルギー消費を減らし、「創エネ」によってエネルギーを生み出すという組み合わせにより、エネルギー収支をゼロ以下にするというのがZEHの基本的な考え方です。

ZEHのメリットとは?

「断熱」「省エネ」「創エネ」という3つの要素を満たすZEHには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ZEHはエネルギー消費が削減できるため、環境にやさしいというのがメリット。また、断熱性が高いので年間を通じて室内の温度を一定に保ちやすいのがZEHの大きな特徴です。

これにより、冬の急激な室温変化によって起こるヒートショックなどのリスクを軽減したり、結露やカビの発生を抑えたりできます。快適な住環境を実現できるので、地球環境にやさしいだけでなく、住んでいる人の身体にもやさしいというのもうれしいポイントです。

環境にやさしいということは、経済面でも良い効果が期待できます。ZEHは消費エネルギーが少なく、月々の光熱費を抑えられるのがうれしいところ。消費量以上の電力を生み出して電力会社に買い取ってもらえれば、収支をプラスにできる可能性もあるのです。また、自家発電しているので、蓄電池を設置すれば災害時にも非常電力が使えます。

なお、太陽光発電システムの設置価格は近年安価になってきており、以前よりも手軽に導入できます。

もう一つ大きなメリットとして挙げられるのが補助金を活用できる点。たとえば「ZEH支援事業」の場合、常時居住するZEHの戸建てであれば、1戸あたり55万円〜の支援を受けられます。ZEHに関する補助金についてはこちらの記事を参照してください。
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ZEHのデメリットとは?

環境面や経済面において数多くのメリットがあるZEHですが、デメリットがあることも認識しておかなければなりません。

第一に、ZEHは省エネ機器や創エネシステムを導入しなければならず、通常の住宅よりも初期投資がかかります。これらの機器は定期的なメンテナンスが欠かせないため、維持費も余分に必要となります。このように、一般的な住宅よりもコストが高いというのはZEHのデメリットです。

ただし、日々の光熱費が抑えられるので、トータルで見るとコストは十分に回収できるというケースが多いでしょう。

2つ目のデメリットとして、太陽光発電は天候によって発電量が大きく左右されるという点が挙げられます。晴れの日が続くシーズンはいいですが、梅雨や冬場などは発電量が減少するということをあらかじめ認識しておきましょう。

3つ目のデメリットとしては、電力の買取価格が引き下げ傾向にあるという点が挙げられます。余剰電力が発生しても以前ほど高く売れないため、収支がプラスになりにくい状況です。この傾向は今後も継続する可能性があるので注意が必要です。

まとめ

ZEHとは、消費エネルギー量を減らし、生産エネルギー量を増やすことにより、エネルギー収支をゼロ以下にする住まいを指しています。政府はZEHが当たり前になる未来を目指しており、今後ますますZEHへの注目は高まっていくでしょう。

ZEHは環境、住んでいる人の健康や財布にやさしいなど多くのメリットがある一方、初期費用や維持費が割高になるといったデメリットもあります。住まいを取得する際には、ZEHのメリット・デメリット両面を理解したうえで、ZEHとするか否かを検討してみてはいかがでしょうか。

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