生ごみに群がるショウジョウバエ! その特徴と駆除方法を紹介

暖かくなってくると、どこからともなくやってくる迷惑なショウジョウバエ。数匹程度と見過ごしていたら、いつのまにか数が増えて驚いた経験がある人もいるでしょう。本記事はショウジョウバエとはどのような虫で、どのように駆除するべきかを解説します。

ショウジョウバエの特徴

暖かくなってくると家の中で見かけるコバエ。コバエは小さなハエの総称であり、コバエというハエがいるわけではありません。ショウジョウバエはコバエの一種です。小さくて見分けがつきにくいものの、ショウジョウバエの種類は世界で2,500種以上、日本国内でも260種ほど確認されています。まずは、ショウジョウバエの特徴について解説します。

ショウジョウバエとは
家の中に発生するコバエは主にショウジョウバエ、ノミバエ、キノコバエ、チョウバエの4種類になりますが、一番多い種はショウジョウバエです。ショウジョウバエの名前は、猩々(しょうじょう)という架空の猿に似た動物に由来しています。

ショウジョウバエは目が赤く、酒や発酵食品などに群がる性質があります。これが酒好きで赤い顔をしている猩々と似ているため、この名が付いたとされています。日本語では酒好きの猩々の名を付けられていますが、熟した果物も好むことから英語ではfruit fly(くだもの蝿)と呼ばれています。

ショウジョウバエは双翅目ショウジョウバエ科に属し、赤い目が特徴で体長は2~3mmほどです。ショウジョウバエ科には3,000以上もの種がいますが、人家で見られる種はキイロショウジョウバエになります。

あっという間に増えるショウジョウバエ
ショウジョウバエは発生当初は数匹程度であっても、あっという間に増えてしまいます。それもそのはずで、1匹の雌は1日に80個もの卵を産み、2~3ヶ月の生存期間中に1,000匹以上の子を残すことができます。また、卵から10日ほどで成虫になり、成虫になると翌日から卵を産み始めます。1年間で30代近くの世代を重ねることができ、この繁殖力が爆発的に増加する要因です。

このように早いサイクルで世代交代を重ねるため、長年遺伝学の研究材料に採用されてきました。体色が薄く、染色体数が少ないことや、大量の個体を安価で容易に飼育できることなども研究材料に適しています。ショウジョウバエは迷惑な存在である一方で、人の遺伝子疾患の解明などに役立ってきたのです。

ショウジョウバエの有害性
ショウジョウバエは、うるさく飛び回って鬱陶しいうえに、生ごみなどにたかり不衛生なイメージがあります。人間には忌み嫌われる存在ですが、実は蚊のように人を刺すこともありませんし、咬むこともありません。また、汚物などには集まらないため、病原菌を媒介することもなく、直接人間に危害を加えることはありません。

とはいえ、放置すればどんどん増えますし、見た目や羽音も不快です。食べ物に混入することもあるため、見過ごすわけにはいきません。

ショウジョウバエの発生場所と活動時期

いつの間にか家の中で見かけるようになるショウジョウバエですが、いつ頃、どのような場所に発生するのでしょうか。

どんな場所に発生するか

ショウジョウバエは腐敗した食材が大好物

ショウジョウバエは腐敗した食材に集まります。特に熟した果物やアルコール、漬物などの発酵食品が好物です。そのため、家の中ではキッチンのごみ箱や三角コーナーなどが主な発生源になります。わずかなエサだけで繁殖することができるので、エサになりそうなものは出しっ放しにしないようにするなど注意が必要です。

活動する時期
ショウジョウバエをよく見かけるのは春から秋です。活動時期は4~11月で、最も成長しやすい温度は25度とされています。30度を超す高温や18度以下の低温になると活動が弱まり繁殖できなくなります。

ショウジョウバエの駆除方法

体が小さいショウジョウバエは、窓のわずかな隙間や網戸の網目を通り抜けて侵入してきます。換気扇や室外機なども侵入経路になります。いったん侵入すると家の中で増えてしまうので、早めに駆除する必要があります。ショウジョウバエの駆除方法は次の通りです。

発生原因をなくすことが第一
ショウジョウバエを駆除するために、まずは発生原因をなくす必要があります。目の前のショウジョウバエを駆除したところで、発生場所には卵が残っているため根絶できません。

食材のカスや食べ残しは放置せず、こまめに清掃しましょう。また、ショウジョウバエは臭いに誘引されるため、三角コーナーの生ごみは新聞紙に包んだうえでビニール袋に入れて密封し、臭いが出ないようにしましょう。ゴミ箱にもフタをして、フタにコバエ忌避剤を貼るのも効果的です。

ワインやジュースなどのボトルや缶の処理にも注意が必要です。飲み終わったボトルや缶をキッチンに置きっぱなしにすると、アルコールやジュースの匂いがショウジョウバエを誘引します。ボトルや缶は中を洗浄してから保管するようにしましょう。

熱湯をかける
先述したように、ショウジョウバエは雌1匹で大量の卵を産むため、成虫だけでなく卵の駆除も重要です。卵は熱に弱いため、キッチンの三角コーナー付近や排水口に熱湯をかければ駆除できます。ただし、排水口に熱湯を流すと塩化ビニールの排水管を痛めるので、60度くらいのお湯にするとよいでしょう。

漂白剤をかける
熱湯の代わりに漂白剤を使うのも有効です。キッチン用漂白剤と水を1対1の割合で混ぜて、台所の三角コーナー付近や排水口に散布します。スプレー式ボトルのものは、そのままスプレーできます。

漂白剤をかけると、卵を駆除できるだけでなく、消臭効果により成虫も寄り付かなくなります。漂白剤をかけた後は、ぬめりがなくなるまでしっかり掃除しておきましょう。

殺虫スプレー

殺虫剤は成虫にのみ効果があり、卵には効かないことに注意

最も手軽で一般的な駆除方法がエアゾールの殺虫剤散布です。ショウジョウバエを見かけたら、直接殺虫スプレーを噴霧して退治することができます。通常は成虫にのみ効果を発揮し、卵には効きません。消臭効果があるタイプもあるので、ごみ箱などに噴霧しておくと、虫除け効果も期待できます。

コバエ忌避剤
室内で金魚やメダカなどの水棲生物を飼っている場合は、殺虫剤の使用は控えたほうがよいでしょう。また、キッチンに食材を置いているため、殺虫剤を使いたくない場合もあります。そんなときには、殺虫剤の代わりに、ショウジョウバエが嫌がるミント(ハッカ)やバジルなどのハーブを使って撃退してはいかがでしょうか。

コバエ忌避剤は、アロマオイルやハッカ油で手作りすることができます。作り方は、アロマオイルを水か精製水で希釈し、スプレーボトルに入れるだけです。これをゴミ箱やキッチンの三角コーナーなどに噴霧することで、防虫効果が期待できます。ショウジョウバエの侵入経路になる網戸などに吹きかけておくのもおすすめです。

殺虫剤を使わない駆除方法には、昔ながらのハエ取りテープや吊るすタイプのコバエ捕獲器もあります。ショウジョウバエの発生場所付近に吊り下げておくと、粘着シートで捕獲できます。

置き型コバエ殺虫剤

置き型のコバエ捕獲器

置き型のコバエ捕獲器もあります。「コバエがホイホイ」「コバエがポットン」などの商品がよく知られていますが、いずれもハエが好む匂いで捕獲器内に誘引し、中の殺虫成分で駆除するというものです。ほかにも、台座に粘着剤が付いているスティックを立て、飛んでいるコバエを捕獲するタイプなどがあります。

めんつゆトラップ
さまざまなメディアで紹介され、手作りできるコバエ駆除方法として有名になったのが「めんつゆトラップ」です。コバエ全般の捕獲方法として紹介されることが多い「めんつゆトラップは、ショウジョウバエ対策で最も効果を発揮します。

材料は、使用済みのペットボトルなどのプラスチック容器、めんつゆ、水、食器用洗剤です。作り方は、ペットボトルを5分の1ほどに切り、そこに1cmほど水を入れ、さらに同量のめんつゆを入れます。そこに食器用洗剤を数滴たらして完成です。ショウジョウバエは果物の香りに引き付けられるため、レモンやオレンジなど柑橘系の香りがする洗剤だとより効果が高まります。また、めんつゆの代わりにお酢を使ってもよいでしょう。

このトラップをキッチンの三角コーナーやゴミ箱付近に1週間程度置きます。トラップに入ったコバエは、洗剤の界面活性剤によって飛べなくなり溺れ死ぬという仕組みです。

まとめ

最初は数匹程度でも、あっという間に大量発生してしまうショウジョウバエ。一番のショウジョウバエ対策は生ゴミをこまめに処理し、清潔に保つことです。それでも発生したら、紹介した方法で確実に駆除しましょう。

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