エアコンの冷房電気代は1時間あたりいくら? 無理せず電気代を抑えるには?

夏を快適に過ごすには、冷房の使用が欠かせません。猛暑や酷暑で気温の上がる日は、室内にいても熱中症の心配があるため、適切に冷房を使うことが推奨されています。しかし、電気料金が値上がりするなか、電気使用量や電気代が気になる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、冷房の電気代の計算方法や、暑さを我慢することなく節電する方法も紹介するので参考にしてください。

冷房の電気代は1時間あたりいくら?

冷房の電気代は、エアコンの性能や設定温度、使用環境などによっても変わってきます。消費電力から電気代を計算する場合の計算式は次のとおりです。消費電力は、エアコンのパンフレットや取扱説明書などに記載されています。

消費電力(kW)×1kWhあたりの電気料金単価(円)=1時間あたりの電気代

たとえば、パナソニックCS-220CVの冷房の消費電力は135~700Wです。電気料金単価が1kWhあたり26.48円(※)の場合の1時間あたりの電気代は、最小で0.135kW×26.48円=約3.6円、最大は0.7kW×26.48円=約18.5円です。1日8時間使用した場合は約28.8~148円、1ヶ月(30日間)で約864~4,440円です。

※東京電力エナジーパートナー従量電灯B (第2段階料金)の場合

出典:【エアコン】1時間あたりの電気代の目安(品番別)|パナソニック

出典:従量電灯B・C|TEPCO東京電力エナジーパートナー

平均的な冷房電気代はどのくらい?

資源エネルギー庁の調査では、過去50年ほどの間に、家庭が消費する電気やガス、灯油などのエネルギー源のうち、電気消費量が大幅に増加していることがわかります。

同庁発表の「エネルギー白書2020」によると、2018年度における家庭のエネルギー源別消費に占める電気の割合は約半分です。また、家庭の用途別エネルギー消費を見ると、冷房は3.2%となっています。暖房が25.4%であるのに比べると割合は小さいものの、エアコンの普及に伴い冷房電気代のシェアが増加傾向です。

総務省統計局の資料によると、2018年度のエネルギー消費全体にかかる支出は1ヶ月あたり平均1万4,418円でした。年間では17万3,016円となり、そのうちの3.2%である約5,537円が冷房にかかる電気代と見ることができます。

出典:省エネって何?|経済産業省 資源エネルギー庁

出典:家計調査 / 家計収支編 総世帯 詳細結果表|総務省統計局

エアコンの電気代を冷房と暖房で比較!

パナソニックのエアコン「CS-220CV」の消費電力は、冷房が135~700W、暖房が125~970Wと記載があり、最大消費電力は暖房のほうが多いことがわかります。その理由は、外気と室内温度の差が関係しています。

たとえば、東京の昨年8月の平均気温は27.4度なので、エアコンの設定温度を26~28度に設定しても外気との差はそれほどありません。一方、東京の昨年1月の平均気温は5.4度ですので、エアコンの設定温度を20度にすると、外気との差は14度以上にもなります。温度差が大きいほど消費電力が多くなるため、暖房のほうが電気代が高くなるのです。東京よりも平均気温が低い地域では、より消費電力が多くなります。

出典:観測開始からの毎月の値|気象庁

冷房の設定温度は何度くらいが最適?

環境省が推奨しているクールビズでは、冷房時の適正な室温は28度を目安としています。誤解している人もいるかもしれませんが、 28度は室温の目安であり、冷房の設定温度のことではありません。日当たりや部屋の広さ、エアコンの性能などによって、冷房の設定温度を28度にしても、室温が28度になるとは限らないためです。

その場合は、温度計などで確認して室温が28度程度になるよう調整するとよいでしょう。ただし、湿度や体感温度にもよりますが、人によっては室温28度を快適と感じない場合もあります。室温や設定温度にこだわり過ぎずに体調などを考慮しながら、室内環境を管理することが大切です。

冷房の電気代を無理なく節約するには?

国際情勢などの影響で電力供給がひっ迫するなか、冷房のための電力消費をなるべく抑えたいと思う人もいるでしょう。節電できれば家計の節約にもなります。ここからは、室温を上げずに無理なく節約する方法を紹介します。

サーキュレーターを併用する
冷房時にサーキュレーターを同時に使用することにより、電気代の節約効果が見込めます。

床にたまった冷気を循環させ、室内の温度差をなくしすことで、冷房の設定温度を下げすぎることなく部屋全体を冷やせるため、節電につながり電気代を節約できるでしょう。

自動運転機能を使う
電気代を節約しようとして、常にパワーを弱のまま使用してはいないでしょうか。エアコンは自動運転機能を使うと、素早く室内を冷やし、室温を一定に保てます。自動運転は、設定温度に近づけるべく最も効率的な運転に自動制御してくれる機能です。

節電のため、涼しくなったら運転停止し、少し暑くなってきたらスイッチを入れるなどこまめに手動で運転を切り替える人もいるかもしれません。しかし、冷房を入れたまま自動運転にしたほうが、消費電力を抑えられます。風量や風向きを自動設定できるものは、室内全体の空気をかき回して温度のムラをなくし、必要以上に冷やすこともありません。

省エネタイプのエアコンに買い替える
近年の家電は、全般的にエネルギーの消費効率が向上しています。最新のエアコンに買い替えたほうが、古いエアコンを使い続けるより消費電力が少なく、電気代を節約できます。

たとえば2009年製と2019年製のエアコンを比較すると、2019年製のほうが約17%も省エネ効果が高くなっています。特に、省エネタイプのエアコンは節電効果が高いためおすすめです。

出典:機器の買換で省エネ節約|経済産業省資源エネルギー庁

関連記事:買い換える? 使い続ける? 10年前エアコンVS最新エアコンの電気代・機能比較

短時間の場合はつけっぱなしにする
エアコンは、運転開始時に最も多くの電力を消費します。外気温や室温が高いほど、最大のパワーで設定温度まで冷やそうとするため、エアコンの運転音も大きくフル稼働していると感じる人もいるでしょう。

自動運転であれば、設定温度に達すると運転のパワーも最小になり、室温の維持に切り替わります。その頃には、必要最低限の電力しか消費しないため、1時間程度までの短時間の外出であれば、冷房をつけっぱなしにしたほうが、電気代の節約になります。ただし、1時間以上不在にするなら、いったん消したほうがよいでしょう。

フィルターをこまめに掃除する
エアコンの冷房は、室内の空気を取り込んで冷やし、吐き出すことで室内を冷却しています。そのため、エアコンのフィルターがホコリなどで目詰まりすると、空気の循環の効率が悪くなり消費電力が増えてしまいます。

いわゆる冷房の効きが悪い状態であり、エアコン本来の性能が発揮できません。自動お掃除機能がないエアコンは、定期的にフィルターを掃除すれば冷房効率が改善し、電気代の節約にもつながります。

料金プランや電力会社を見直す
電気代が高いと感じるときは、電力会社の料金プランを見直したり、他社に変更したりすることで電気代を安くできる可能性があります。電力会社によっては、毎月の電気使用量にあわせてポイントを付与してくれるところもあります。

携帯電話やガスなどほかのサービスとのセット割引などを提供している会社もあるので、現行と比べてどの程度安くなるか、比較してみてはいかがでしょうか。

まとめ

暑さが厳しい日は、睡眠中も冷房をつけっぱなしの家庭もあるでしょう。気になるのは電気代ですが、冷房の消費電力はエアコンの性能や使用環境によって大きく異なります。平均的な冷房電気代は、年間およそ5,537円です。冷房電気代の節約のためには、自動運転機能やサーキュレーターの併用など、無理のない範囲で節約できるように工夫することが大切です。

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