除草剤はいつ撒けばいいの？ 散布時期と使い方を種類別に解説

戸建て住宅など庭付きの住まいに不可欠なのが、雑草対策です。生命力が強く、伸びるスピードも速い雑草には除草剤が効果的ですが、「どの種類を使えばいいのか」「どんな時期に撒けばいいのか」と迷う人も多いのではないでしょうか。

この記事では除草剤の種類と効果の違い、使用法や散布時期について解説します。

除草剤の種類・効果の違い

除草剤は大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴や効果の違いについて見ていきましょう。

茎葉処理型

茎葉処理型とは、その名の通り雑草の茎や葉を枯らす効果のある除草剤です。雑草に直接かけられる液体タイプで、茎・葉の表面から薬剤が吸収されることで効果を発揮します。

茎葉処理型の大きなメリットは即効性がある点です。「今生えている雑草を素早く除草したい」という場合に適しています。また、効果があらわれる範囲が限定的なため、枯らしたくない木の周辺や、除草後に新たに植物を植えたい場所への使用もおすすめです。

ただし、除草効果があるのはあくまで地上に出ている茎や葉のみ。基本的に根からは吸収されないため、これから生える雑草には効果がありません。

茎葉処理剤には、薬剤が触れた部分のみを枯らす「接触型」と、茎や葉から浸透した薬剤が植物全体を枯らす「（吸収）移行型」の2タイプがあるので、用途に応じて使い分けましょう。

土壌処理型

植物の茎や葉から吸収される葉茎処理型に対し、土に作用するのが土壌処理型の除草剤です。粒状の薬剤が散水や降雨で溶けて土壌に染み込み、植物の根から浸透して雑草の生育をおさえるため、生えてくる前の雑草に効果があります。

土壌処理型のメリットは除草効果の長さです。一般的に散布後1週間ほどから効果があらわれ、3ヶ月～半年ほど持続します。また、「土壌に作用する」という性質から、広範囲の除草にも適しています。

土壌処理型の除草剤は、端的にいえば「草が生えづらい土に改良する」というもの。このため、除草した場所に新たに植物を植えたい場合などには向きません。また、枯らしたくない植物の周辺では、距離に注意しながら使用する必要があります。

除草剤を散布する時期

除草剤の散布時期は、薬剤の種類によって異なります。前項で紹介した2種類の除草剤の特徴をふまえつつ、散布に適した時期を見極めましょう。

茎葉処理型

茎葉処理型の除草剤はすでに成長している雑草に対して散布するため、雑草が活発に伸びる時期が適しています。

4月から10月あたり、おおよそ春から秋に使用するのが効果的です。茎や葉に作用する薬剤なので、雑草が育ったところを見計らって散布することで、除草効果が実感できます。

また、一度の使用で不十分だと感じた場合には、上記の期間内に2回目の散布を行いましょう。

土壌処理型

土壌処理型の除草剤は土壌に成分が作用するため、雑草が生えていない時期の散布が効果的です。初春の2～3月、秋の9～10月の年2回が最適といえるでしょう。

また、すでに雑草が生えてきている場所には、短く刈り取ってから散布します。茎葉処理型で土表面の雑草を取り除いた後に土壌処理型を使う方法もありますが、併用に関する注意書きをよく読んでから行いましょう。

天候にも気をつける

除草剤を使用する際には、天候にも注意しましょう。散布した直後に雨が降ると除草剤が洗い流されてしまい、十分な効果が得られないことがあります。雨が降っているときに散布しても、同様に効果が落ちてしまいます。

特に、液体の茎葉処理型除草剤は散布後6時間程度日に当てて、しっかりと薬剤が吸収されるようにしましょう。

なお、粒剤の土壌処理型除草剤は土が湿った状態だと浸透しやすくなるため、降雨後の使用が効果的です。ただし、風が強い日は粒剤が飛んでしまい、除草効果が薄れたり、意図しない場所に薬剤の影響が出たりすることがあるので注意が必要です。

除草剤散布の注意点

除草剤を散布する際には、いくつかの注意点があります。使い方によっては予期せぬトラブルにつながることがあるので、以下のポイントをしっかりとおさえておきましょう。

服装は長袖、長ズボン

ホームセンターなどで購入できる家庭用の除草剤は、比較的安全性は高いものの、人や動物の体にも影響のある薬剤です。そのため、使用の際には安全対策をきちんと行わなければなりません。

なるべく肌を出さないように長袖や長ズボン、マスク、ゴーグル、手袋、長靴などを身につけ、タオルなども用意しておきましょう。また、散布時だけでなく、使用後の器具や薬剤の空き容器を扱う際にも注意が必要です。

小さなお子さんやペットがいる場合には、除草場所に近付かないよう目を配りましょう。

誤って目に入ってしまったり、肌がかぶれてしまったりしたら、説明書に添った処置を行い、医療機関を受診してください。

なお、成分が気になる人には、より安全な天然成分由来の除草剤もおすすめです。

近所へ配慮する

除草剤を使用する際には、近所への配慮も重要です。隣家の庭の植物にかかってしまったり、隣接した田畑や畑、井戸に薬剤が流出したりしないよう、十分注意しましょう。

魚に害のある成分も多いため、河川の近くで散布するときは商品の説明書をよく読み、十分な距離を取って行ってください。

また、急な傾斜がある土地は粒剤が転がって他の土地に入ってしまったり、傾斜を支えていた植物が枯れて土壌が崩落してしまったりする恐れもあるので注意が必要です。

事前に草刈りをしておく

事前の草刈りも重要なポイントです。雑草が伸びすぎた状態で除草剤を使用しても、効果がいまひとつ出ない場合があります。特に土壌処理型の除草剤は、生い茂った葉に邪魔されて薬剤が土壌に届かないこともあるので注意しましょう。

茎葉処理型は茎や葉に作用する除草剤ですが、成長した雑草ほど抵抗力が強くなるため、1メートルを超えるぐらい成長しているものは刈っておくのがおすすめです。

なお、刈り取った後の雑草は種を吐き出す場合があるので、速やかに処分してしまいましょう。

芝生の場合は専用の除草剤を使用する

除草剤のなかには、芝生まで枯らしてしまうものもあるので注意が必要です。

除草剤には、幅広い植物に効果のある「非選択性除草剤」と特定の植物に効果のある「選択性除草剤」があります。芝生に生えた雑草を除草する場合は、芝生専用の選択性除草剤を使用しましょう。

不安な場合は、あらかじめ目立たない場所に試しに散布してみるのがおすすめです。

まとめ

雑草の除去に便利な除草剤ですが、種類や使用方法、使う時期を間違えれば十分な効果を得られない場合もあります。用法・容量を守り、正しく安全に使うことが大切です。

今回紹介した使用時期や注意点をおさえつつ、購入した除草剤の使用説明書をしっかりと読んでから使ってみてくださいね。