塩水で除草はNG！ 塩以外でできる効果的な雑草対策を解説

庭があるとガーデニングや家庭菜園などを楽しむことができますが、煩わしいのが雑草です。次々に生えてくるので草むしりが追い付かず、手を焼いている人も多いでしょう。雑草対策には塩水が有効という説がありますが、庭に塩水を撒いてはいけないともいわれています。塩による除草の危険性、塩以外の有効な除草方法について解説します。

塩は土壌へのダメージが大きい

塩で雑草を枯らして除草する方法は簡単ですし、費用もかかりません。除草剤などの化学薬品を使うよりも、人やペットへの影響が少ないように感じる人もいるでしょう。しかし、塩を使った除草は土壌に大きなダメージを与えます。塩や塩水を使った除草を避けるべき理由は次の通りです。

今後、植物が生えない土地になる

庭に塩や塩水をまくと、塩害により土壌がダメージを受けます。塩害とは、塩分がおよぼす悪影響のことです。そもそもなぜ塩をまくことで除草ができるのでしょうか。

「青菜に塩」の言葉があるように、野菜に塩をかけると水分が出て野菜がしんなりと柔らかくなります。これは、浸透圧の作用によるものです。雑草も同じように、葉や根に塩がかかると浸透圧により脱水して枯れます。塩分濃度が高ければ高いほど、除草効果は高まります。

しかし、手軽に除草できるからと安易に塩を使うと、取り返しのつかないことになりかねません。塩分は長く土壌に残留する性質があります。一度塩を撒いてしまうと、雑草が生えなくなるだけでなく、長期間ガーデニングや家庭菜園ができない土地になってしまいます。

住宅の基礎、インフラ設備への被害

塩分は植物を枯らすだけでなく、金属を錆びやすくします。庭に置いた車や自転車が錆びるだけでなく、住宅やインフラ設備などにも悪影響をおよぼします。

住宅の基礎やコンクリート内部に使われている鉄筋は、塩害被害を受けやすい部分です。鉄筋は錆びると膨張し、内部からコンクリートを圧迫して、ひび割れなどを招きます。

また、敷地を囲うフェンスなども腐食しやすくなります。さらに、水道管や配管、電線なども腐食する可能性があります。

周辺地域への流出

自宅の敷地内であれば塩を撒いても問題ないと考えるかもしれません。しかし、地面は地下でつながっているので、影響は敷地内だけにとどまりません。塩分が雨で敷地外へと流出し、周辺の畑におよんだ場合は、作物ができなくなる恐れがあります。農家の場合は、塩害による作物被害は死活問題になるため深刻です。

塩以外の除草方法

それでは、塩以外の除草方法にはどのようなものがあるのでしょうか。さまざまな除草方法を紹介します。

手作業で草刈り

除草方法としてまず考えられるのは、手作業による草むしりと手鎌による草刈りです。雑草を根ごと引き抜く草むしりに対し、鎌などで土から上の部分を刈る作業が草刈りです。除草、雑草取りの基本であり、思い立ったらすぐにできて費用もかかりませんし、環境負荷もありません。狭い範囲の庭であれば、手作業でも十分対処できます。

作業をする際は、虫除けや日焼け対策として、また草で擦って肌を傷めないためにも長袖長ズボンに軍手、帽子を着用するようにしましょう。鎌、スコップ、レーキ（雑草を集める道具）、剪定バサミなどを用意しておくと便利です。道具の扱いに慣れていない人は、怪我をしないように注意し、集めた雑草はゴミ袋などにまとめて、各自治体のルールに則って処分しましょう。

機械で草刈り

面積が広い庭や、農園になると手作業での除草は難しくなります。また、雑草が伸びきっている場合も、手作業より草刈り機（刈払い機）を使った方が効率的です。草刈り機にはエンジン式と電動式があります。竹や木などもまとめて刈りたいときには、丸鋸の刃先部分に超硬チップを付けたチップソーがおすすめです。

草刈り機を使用すると、刃が回転する勢いで小石などが飛んで来ることがあります。作業をする際は必ずヘルメット、フェイスシールド、長袖の作業服、作業靴、防振手袋、すね当てなどの保護具を着用しましょう。

草刈り機は、機種によって使い方が異なります。正しく使用しないと大きな事故につながるため、事前に使用方法についての講習を受けることをおすすめします。

除草剤を散布する

除草剤を散布するという方法もあります。除草剤は不要な植物や雑草を枯らすために使う農薬の一種です。散布するだけで除草できますし、即効性もあります。さまざまな種類があるので、使いたい場所や効果、雑草の種類などに合わせて選びましょう。

除草剤が子どもやペットに与える影響が心配な人もいるでしょう。市販されている除草剤は安全に配慮して作られていますが、心配であれば天然由来の除草剤を使うことをおすすめします。

除草後の雑草対策

手間をかけて除草したら、なるべく雑草がない状態をキープしたいものです。除草後の雑草対策には次のような方法があります。

防草シートを敷く

防草シートは、雑草を生やしたくない場所を覆い、遮光することで雑草の発芽や生育を防ぐためのものです。防草マット、除草シートと呼ばれることもあります。素材はポリエステル、ポリプロピレンなどで、庭以外にも農地や高速道路の中央分離帯などで使用されています。

防草シートを使う場所はあらかじめ除草し、地面を平らにならしておきます。隙間ができないように防草シートを敷き詰めたらピンなどで固定します。防草効果は高いものの、見た目が殺風景になるので、庭などに敷設する場合はシートの上にウッドチップや砂利などを敷くと良いでしょう。

ウッドチップを撒く

雑草を生やしたくない場所に、木材を細かく砕いたウッドチップを撒いて防草する方法もあります。ウッドチップを撒いた場所は日光が遮られるため、雑草の発芽と生育が抑えられます。

ウッドチップの耐用年数は1～2年とされており、やや短く感じるかもしれませんが、その後は土に還るため環境負荷がかかりません。また、見た目もおしゃれで、ナチュラルな雰囲気が楽しめるのもメリットといえるでしょう。土の上に直接撒いても効果がありますが、防草シートを敷いた上に5～10cm程度撒いて使うとより高い効果が期待できます。

砂利を撒く

砂利や砕石を撒くのも効果的な防草対策です。ただし、土の上に直接砂利を敷くと、石の隙間から雑草が生えてくるので、防草シートとの併用がおすすめです。砂利や砕石は、雨風によって、また上を人が歩くうちに次第に層が薄くなるため、定期的につぎ足す必要があります。

砂利は踏むと音がすることから、庭に撒いておくと防犯にも役立ちます。防犯と防草の両方の効果をうたった砂利も販売されています。

固まる土を敷く

ホームセンターなどで入手できる固まる土を使う方法もあります。固まる土は、セメントや真砂土などを混ぜ合わせたもので、水をかけるとガッチリと固まります。防草効果が高く、見た目も土に近いので景観の邪魔になりにくいのもメリットです。さらに、ウッドチップや砂利は落ち葉などの掃除がしにくくなりますが、固まる土は掃除もラクです。

ただし、固まる土は割れやすく、ひびが入るとそこから雑草が生えてきてしまいます。また、水はけがあまり良くないので、大雨の際は水たまりができやすくなります。

グランドカバープランツを植える

葉や花を楽しみながら雑草を抑える方法もあります。カバープランツは地表を覆うように生育する植物のことで、植えておくと雑草が生えにくくなります。種類が豊富で、アイビーのようにつる性のものもあれば、オキザリスや芝桜のように可憐な花を付けるものもあります。

基本的には丈夫で手間がかからないので、植えっぱなしで問題ありません。ただし、種類によっては日当たりが悪いと育ちにくいものや、繁殖力が強すぎて雑草化するものもあります。カバープランツを植える際は、環境に合うものを選び、適度な管理を心がけるようにしましょう。

まとめ

塩や塩水は除草効果が絶大ですが、土壌にダメージを与え、近隣に迷惑をかけることになりかねません。除草には使用しないようにしましょう。雑草対策には、草刈りや除草剤で除草したうえで、防草シートなどを使うのがおすすめです。