グリーンカーテンは観葉植物として楽しめるだけでなく、植物が窓や壁を覆うことで室内の温度を下げられるため、夏の暑さを和らげるのに効果的です。今回は、グリーンカーテンの具体的な作り方やお手入れ方法などを紹介します。エアコンにかかる電気代の節約にもつながるので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
グリーンカーテンとは
グリーンカーテンとは、つる性の植物で窓や壁にあたる直射日光を遮る方法を指す言葉です。日射熱を抑える効果はカーテンやすだれ、遮蔽(しゃへい)ガラスよりも高く、約8割の熱エネルギーをカットするという研究結果が発表されています。冷房にかかる電力が抑えられることから、地球温暖化の防止策としても注目されています。
以下に紹介するのは、グリーンカーテンに使用される代表的な植物です。
- 実を楽しむ:ゴーヤ、キュウリ、ヘチマなど
- 花を楽しむ:アサガオ、ヒルガオ、クレマチスなど
- 緑を楽しむ:アイビー、ツルムラサキなど
育てる楽しみや収穫の楽しみが味わえるのも、グリーンカーテンの魅力といえるでしょう。初めてチャレンジする場合は、特に育てやすいゴーヤやアサガオがおすすめです。
グリーンカーテンを作るために用意するもの
まずはグリーンカーテンを作るために必要なものを紹介します。ホームセンターやスーパーの日用品売り場、ネットショップなどで手に入るので、必要なものを準備しておきましょう。
種や苗育ててみたいつる性の植物を選び、種や苗を入手します。種から育てる場合は発芽するまでの温度管理が必要なうえ、発芽してから植え替える手間がかかります。初心者は苗から育てるほうが失敗は少ないかもしれません。苗を選ぶ際は、葉の色が濃く生き生きしたものを選ぶようにしてください。
種や苗はホームセンターや園芸店、花屋、農協などで購入できます。なるべく管理が行き届いたお店で品質のよいものを購入するとよいでしょう。
プランターグリーンカーテンには、なるべく大きくて深さのあるプランターがおすすめです。目安は幅70cm×奥行30cm×深さ30cm以上です。根がしっかりと張り、のびのび大きく育ちます。
水はけが悪いと根腐れを起こしやすいため、プランターの底に敷く鉢底石(はちぞこいし)も用意しましょう。3cmほどの大きさに砕いた発砲スチロールや木炭などでも代用できます。キッチンの排水口や三角コーナーで使用するネットに入れておくと、再利用するときに土とふるい分ける手間が省けて便利ですよ。
土・肥料
園芸用土にはいくつかの種類があり、育てたい植物に合わせて数種類をブレンドするのが基本です。初心者はすでに肥料まで配合された培養土を使うとよいでしょう。花用や野菜用などの種類があるため、適したものを選ぶようにしてください。
庭や畑の土を使用する場合は、ふるいにかけてゴミを取り除き、消毒をしてから使用します。消毒のやり方は次のとおりです。1ヶ月ほどかかるため、早めに準備しておきましょう。
【夏】
1. 湿らせた土を黒いビニール袋に入れ、直射日光の当たる場所に置いておく
2. 隅々まで光にあてるために、1週間に1度のペースで袋をひっくり返す
【冬】
1. 土を容器に広げて熱湯をたっぷりかけ、屋外に置く
2. 2~3週間に1度、土をかきまぜる
ネット・支柱
つるを誘引するためのネットや支柱は、プランターの数に合わせて準備します。立て掛けタイプや吊り下げタイプなどグリーンカーテン用のセットも販売されているので、設置場所に応じて使いやすそうなものを選んでください。伸びてきたつるをネットに固定するビニタイや紐も一緒に準備しておきましょう。
グリーンカーテンの作り方
次に、グリーンカーテンの作り方について手順を追って解説します。設置する場所や植える時期など、あらかじめポイントをおさえておきましょう。
設置する場所を決める
設置場所には日当たりの良い場所を選びます。出入りに使用する掃き出し窓の近くで育てる場合は、出入りする際に邪魔にならないように工夫してください。また、植物が生い茂って近隣に迷惑をかける可能性がある場所は、トラブル防止のため避けたほうが無難です。
マンションなど集合住宅のベランダでは、避難用ハッチや隣室との仕切り壁など避難経路を塞がないよう注意しましょう。念のためにベランダでのガーデニングが可能かどうか、管理規約を確認することをおすすめします。
苗を植える
苗を植えるのに適しているのは5月ごろです。苗と苗の間に20cm以上の間隔を空けて植え付けましょう。プランターに直接種をまくことも可能ですが、必ず発芽するとは限りません。種から育てる場合は別のポットにまいて発芽させ、元気なものを選んでプランターに植え替えるのがおすすめです。種まきの時期は4月ごろです。2時間ほど水に浸してからまくと発芽しやすくなります。
つるを誘引する
支柱やネットは倒れないようにしっかりと固定しておきます。スペースに余裕があれば、ネットに角度をつけて設置してみてください。日がたっぷりと当たり、植物の生育に効果的です。つるが伸びてきたら誘引を行います。つるの数ヶ所をネットに固定することで植物の形を整え、伸ばしたい方向へと導くことができます。ビニタイや紐で緩めに括り付け、ネットからはみ出す余分なつるはカットしましょう。
グリーンカーテンのお手入れ方法
同じつる性の植物でも性質はそれぞれに異なるため、種や苗を購入する前に適切なお手入れ方法を調べるようにしましょう。ここでは、プランターでグリーンカーテンを育てる際に共通する注意点について解説します。
たっぷりと水を与える
植物には毎日の水やりが必要と思われがちですが、過度な水やりは根腐れの原因になります。土の表面が乾くまで水やりは控えるようにしてください。グリーンカーテンは日当たりの良い場所で育てるので、土表面が乾燥していないか毎日チェックしましょう。
水やりは、朝または夕方以降の気温が低めの時間帯に行います。土の中の古い水や雑菌を洗い流す効果があるため、プランターの底から流れ出すくらいたっぷりと与えるのがポイントです。
剪定をする
ある程度育ったら剪定を行いましょう。不要な枝葉やつるを切り落として植物の形を整えると同時に、風通しをよくするために行います。カビや病害虫の発生を防ぎ、健康に育てるために欠かせない作業です。
なお、先端部分を摘みとる作業は「摘芯(摘心)」といい、植物の生長を促す効果があります。親づる(一番太い茎)が1mくらいの高さまで育ったら、その都度、先端から2~3cmあたりを切り落としてください。脇芽がどんどん伸び、ボリュームのあるグリーンカーテンに育ちます。
病気・害虫の対策をする
うどんこ病やかっぱん病などの病気、アブラムシやハダニなどの害虫に注意してください。大きく育ってきたらこまめに剪定を行い、通気性をよくすることで、病気や害虫をある程度予防できます。
市販の農薬や木酢液、竹酢液、ニームオイルなどをスプレーするのも効果的です。使用するときは、製品のパッケージに書かれている用法・用量を守るようにしてください。
追肥する
苗を植え付ける前に用土に混ぜ込む肥料を「元肥(もとごえ)」、花や実が付いたころに与える肥料を「追肥(ついひ)」といいます。葉の色が黄色っぽくなったり、小さなつぼみや実しかつかなくなったりするのは、栄養不足のサインです。
ただし、肥料の与えすぎで根を傷めることもあるため、適量を使用するようにしてください。固形肥料は月1回程度、茎に触れないようプランターの縁に置きます。即効性が高い液体肥料は週1回程度のペースで与えるとよいでしょう。
まとめ
グリーンカーテンは夏の暑さ対策におすすめです。遮熱効果はもちろんのこと、窓の外に揺れるグリーンは見た目にも涼しげです。日当たりの良い窓や壁の近くで育ててみてはいかがでしょう。大きなグリーンカーテンを作るためには、水やりや剪定、追肥のタイミングに注意してください。