JR東日本エリア内で新宿駅に次ぐ乗降客数2位を誇る池袋駅を訪ねると、新たなスポットが次々に誕生し、街の発展を感じます。リニューアルで野外劇場が整備された池袋西口広場、洒落たレストランと芝生広場が美しい南池袋公園、個性的な8つの劇場を備える新複合商業施設「ハレザ(Hareza)池袋」。どれもライフスタイルを豊かにする施設です。豊島区は、池袋をはじめ都心アクセスが良い街が多く、交通の要衝とも言えるポジション。それだけに、再開発による街の発展が期待できます。
今回は、豊島区の住宅事情と筆者おすすめの街を紹介します。
池袋を中心に商業施設が集積 環境に配慮した新庁舎や公園などを整備
豊島区は、東京23区の西北部に位置する行政区です。武蔵野台地の東端に位置し、起伏のある地形が特徴。総面積は13.01平方キロメートルで、23区中18番目の広さです。江戸時代は多くが農村地帯でしたが、明治後期の鉄道開通とともに市街化が進み、人口も大きく増加しました。高度成長期には、都心に近い交通利便性の高さから産業や人口が集中。1958年に池袋が副都心に指定されたことを機に区の中心として商業機能の集積がさらに進み、大きく発展しました。1978年には「サンシャイン60」を核とした「サンシャインシティ」が開業。1990年には、東京芸術劇場が開館するなど、文化・交流施設も増えていきました。
区内からアクセスしやすい池袋駅には、「池袋パルコ」や「東武百貨店 池袋店」、「西武池袋本店」などの商業施設が豊富。「グランドスケープ池袋」などの新たな施設もオープンし、映画や演劇を見る、レジャーを楽しむなど多彩な過ごし方が可能です。
一方で、公園など緑地の少なさが課題でしたが、緑を増やす「グリーンとしま」再生プロジェクトを区で推進。公園の整備などが進み、街の魅力も大きく高まりました。
交通網の整備も進み、2008年には東京メトロ副都心線が開通。2013年には東急東横線・みなとみらい線との相互直通運転もスタートし、埼玉県や神奈川県からの池袋へのアクセスが向上。利便性も大きく高まっています。JR山手線など豊島区には11路線23駅あり、都心近接の便利な立地であることから人口も増加傾向にあります。1997年1月1日時点で246,505人だった総人口は、2022年1月1日時点で、283,342人に。この25年で3万5,000人以上増加しています。
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その大きな要因が、地区計画制度の活用や市街地再開発事業による計画的な街づくりの実施。たとえば、2015年に開業した「としまエコミューゼタウン」は、豊島区役所の新庁舎とマンションが一体になった地上49階建ての高層ビルで、複合的な街づくりが行われています。1階と3〜10階までに豊島区役所が入り、11階以上がマンション「ブリリアタワー池袋」となっています。
また、地域の活性化を図った公園の整備も進められています。2016年に全面リニューアルし南池袋公園には、広々とした芝生広場とカフェレストラン「RACINES FARM TO PARK (ラシーヌ ファーム トゥー パーク)」がオープン。公園を訪ねると多くの人がカフェや広場でくつろぐ姿が見られ、地域の人気スポットになっています。
2020年には、東池袋の造幣局跡地の公園が「イケ・サンパーク」として新たに再生。防災公園としての機能を有し、サクラやイチョウ、シラカシなどの植栽に加え、災害時に備えた備蓄倉庫や消火用水確保のための深井戸、非常用トイレなどを整備。豊島区全体の防災活動を行うヘリポート・物資集積拠点としても機能も持ちます。
原っぱ広場のほか、健康遊具広場や遊具とともにカフェを整備。小型店舗の出店や旬の野菜や果物を農家さんから直接買えるファーマーズマーケットを毎週末開くなど、にぎわいを生み出す工夫もあり、さまざまな世代の多くの人が利用しています。人口密集度が高く、面積に占める緑地の割合が低い豊島区では、こうした緑の再生に注力しています。
豊島区では、豊島区役所に近い「南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業」で2棟のタワーマンションが建設されたり、「池袋駅西口地区市街地再開発準備組合」による池袋駅西口エリアの再開発の準備も進められていたりと、各所で再開発が進んでいます。整備が進めば、さらに街の魅力が高まりそうです。
【豊島区のデータ】
総面積…13.01平方キロメートル
人口…28万5,368(2022年5月1日現在)
世帯数…17万8,615(2022年5月1日現在)
池袋を核とした商業利便性と多彩なカルチャーが魅力
豊島区は、JR線ほか各線池袋駅周辺に商業・ビジネスエリアが集積し、東側はJR山手線大塚駅や巣鴨駅などのマンションなど集合住宅が広がるエリア。西側は、西武池袋線東長崎駅、東京メトロ有楽町線・副都心線千川駅などの戸建て住宅が広がるエリアが続きます。また、立教大学や学習院大学などの教育機関も多くあり、文教エリアとしての顔も持ち合わせています。
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巣鴨駅
東長崎駅
千川駅
豊島区の魅力は、何と言っても交通利便性の高さ。区内には、JR山手線・埼京線、東京メトロ丸ノ内線・有楽町線・南北線・副都心線、都営三田線、西武池袋線、東武東上線、都電荒川線など多くの鉄道路線が通っています。多くの路線が池袋駅と結ばれており、東京、新宿、渋谷といった商業・ビジネスエリアにスムーズにアクセスできるのは、豊島区に暮らす大きなメリットでしょう。
また、池袋を中心とした国際アート・カルチャー都市としての魅力もあります。豊島区庁舎跡地及び豊島公会堂跡地に誕生した「ハレザ(Hareza)池袋」は、ミュージカルや伝統芸能を公演するホールや、アニメ、サブカルチャーを楽しめる空間など個性の異なる8つの劇場を備える新複合商業施設 。その中核となる「ハレザ タワー」には商業店舗や10スクリーンを有するシネマコンプレックスなども入ります。
2020年には、南長崎に「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」が竣工しました。かつて豊島区椎名町にあったトキワ荘は、手塚治虫をはじめとする現代マンガの巨匠たちが住み集った伝説のアパート。マンガ・アニメを核とする地域文化の継承・発展を目指しています。
また、「とげぬき地蔵尊」・「江戸六地蔵尊」の2つのお地蔵さまで有名な巣鴨地蔵通り商店街など、昔ながらの商店街がある街も。歴史がありながら人口が集まる豊島区だけに、買い物や食事、レジャーなどの多彩なスポットが豊富です。また、ソメイヨシノの発祥地でもある染井霊園や豊島区立目白庭園などの憩いのスポットも街中に点在します。
生活利便性の高さだけでなく、映画館や劇場、多彩なライフスタイルに応える場所が豊富にあるのは、豊島区の魅力です。
豊島区の住宅事情ですが、都心アクセスが良好なことから土地価格が高く、住宅価格は高止まり傾向にあります。また、人口密度の高いエリアでもありマンション、戸建てともに用地取得が容易ではないことから供給物件数は限られています。東京メトロ有楽町線の千川駅など豊島区の西側エリアはどちらかというと戸建てが多いエリア。一方で、駒込駅から目白駅までのJR山手線沿線は、マンションの分譲が目立ちます。
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また、豊島区は老朽化した木造建物が密集している木造密集地域が多く、5地区が不燃化特区に、5路線7区間が特定整備路線に指定され、不燃化の推進事業が行われています。こうした地域では、分譲マンションの供給も多く見られます。しかし、不燃化の推進には時間を要するため供給はそれほど活発ではありません。選択肢を増やすためには、マンション、戸建てともに新築・中古を比較しながら物件を探すことをおすすめします。
次に豊島区の注目の街を紹介します。
池袋まで歩ける便利な場所にタワーマンションが次々誕生する東池袋
1つ目に挙げるのが、東京メトロ有楽町線東池袋駅です。このエリアは、「サンシャイン60」などオフィスビルが立ち並ぶエリア。商業施設が集まる池袋駅へも歩いて行ける距離です。東京メトロ有楽町線で、池袋駅へ1駅でアクセスできるほか、飯田橋や有楽町に直結します。
東池袋の魅力は、駅周辺の多くで市街地再開発事業が進められ、暮らしやすい整った街区が形成されていること。駅直結の池袋区役所が入る「としまエコミューゼタウン」のほか、2022年2月には東池袋四丁目2番街区市街地再開発事業で誕生したタワーマンション「プラウドタワー東池袋ステーションアリーナ」が竣工しました。また、「イケ・サンパーク」や南池袋公園など新たに整備された憩いのスポットも身近にあります。再開発街区では歩道も整備されており、子育て層から高齢者まで暮らしやすい住環境は、とても魅力的です。
また、池袋駅まで1キロメートル圏内という立地は、買い物やレジャーなどにも便利です。グリーン大通りを抜ければ、池袋駅へ歩いても10分強の近さ。都市の利便性を大いに享受できそうです。
東池袋駅は、駅前に多くのタワーマンションが分譲済みです。「ブリリアタワー池袋」「アウルタワー」「エアライズタワー」など駅近立地のタワーマンションは、中古市場でも人気があります。また、南池袋二丁目では、タワーマンション2棟からなる大規模な再開発が進行中。分譲がスタートすれば、大いに注目されるでしょう。
駅近タワーの中古マンション相場は、高止まりしています。1LDKタイプでも6,000万円以上、3LDKタイプだと1億円を超える価格設定が目立ちます。家族で住むためには、ある程度の購入予算が必要です。
東池袋より南方面には雑司ケ谷霊園があり、第一種中高層住居専用地域などの住居系エリアが広がるため、高層階から開放的な景色が楽しめます。こうした都心の風景を楽しめるのは、東池袋のタワーマンションで暮らす醍醐味でしょう。
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JR山手線で池袋へ1駅 都電荒川線も利用できるマルチアクセスな大塚
2つ目は、JR山手線大塚駅です。池袋へ1駅でアクセス可能。山手線利用で東京方面へもアクセスがスムーズです。また、都電荒川線大塚駅前駅や少し歩けば東京メトロ丸ノ内線新大塚駅も利用可能。マルチなフットワークを有する便利な街です。
この大塚駅は、近年南北の駅前広場を再整備し、街のイメージが大きくアップしました。2009年に、駅周辺の回遊性を高める南北自由通路が開通。2013年には、JR大塚駅南口のビル内に商業施設「アトレヴィ大塚」が開業。2017年の南口広場リニューアルに続き、2021年3月には大塚駅北口駅前広場の改装が完了しています。豊島区では、歩道拡幅やバリアフリー化などの道路基盤の整備に加え、「光のファンタジー」と銘打ったモニュメントを設置しイメージを刷新。「ironowa hiro ba」と名付けられています。
JR大塚駅は、かつては雑然としたイメージがありましたが、南北の駅前エリアの整備で大きく印象が変わりました。大塚駅南口でも再開発に向けた準備が進むなど、駅前広場の整備を起点に街の再生が進みそうです。
駅前にはサンモール大塚商店街など地域密着のお店がそろうほか、東京メトロ丸ノ内線新大塚駅に向かう南大塚通り沿いにも多彩なお店が並びます。スーパーもJR山手線大塚駅直結の「アトレヴィ大塚」に出店しており、仕事帰りの買い物にも便利です。単身者や共働きのカップルに暮らしやすい街と言えるでしょう。
大塚駅周辺の新築マンションは供給が限られ、価格も相応の設定になっています。2LDKタイプでも7,000万円台以上の予算は必要です。一方、中古マンションストックは一定数あり流通も活発です。こちらは、2LDKタイプが6,000万円程度から検討可能です。3LDKは、新築なら9,000万円台、中古でも7,000万円程度の予算が必要です。
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新宿方面へのアクセスも良好 駅前にキャンパスが広がり、豊かな自然が残る目白
3つ目は、JR山手線目白駅です。JR山手線で池袋駅から新宿方面へ1駅。駅前に学習院大学のキャンパスの緑が広がる、都心でありながら自然を身近に感じられる場所です。
JR山手線目白駅から西側は、新宿区立おとめ山公園が立地するなど新宿区アドレスになります。また、目白駅から学習院大学の正門前を抜けた先には東京メトロ副都心線雑司が谷駅があり、さらに進むと文京区につながります。
目白の魅力は、交通利便性の高い都心立地でありながら、喧騒感の少ない落ち着いた住環境であること。豊島区立目白庭園などの憩いのスポットも点在します。また、新宿方面に向かって南北に高低差があり、高台からは開放的な景色が広がります。
買い物は、駅前の「クイーンズ伊勢丹 目白店」をはじめ、駅周辺部に充実しています。JR山手線で池袋駅や新宿駅へも出やすいため、週末のショッピングも便利です。
目白駅周辺は、大学の敷地が広がることもありマンション、戸建てともに供給が限られるため、中古物件が検討の中心になります。マンションは、築年数の古いものから新しいものまでストックがあり、年代によっても価格帯が大きく異なります。1億円を超える億ションから、2LDKタイプでも5,000万円程度のものまでさまざま。都心で落ち着いた暮らしをしたい人におすすめです。なお3LDKタイプは新築なら1億円を超え、中古でも7,000万円超の予算は必要です。
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街の再生が大きく進み、将来性も期待できる豊島区ですが、留意したい点も。人口密度が高く、老朽化した建物が多く残る地域では、地震などの災害リスクが高いことです。東京都による地震に関する地域危険度測定調査では、総合危険度で相対的に危険度が高いとされる4に指定されている地域も多くあります。狭い路地なども多く、街の安全性は確認したいポイントです。
豊島区では、としまみどりの防災公園 (イケ・サンパーク)の整備や、繁華街のパトロールを強化するなど街の安全・安心に取り組んでいます。JR山手線大塚駅前の整備など、区民が愛着を持てるようなイメージアップは防犯面でも効果を発揮するでしょう。交通利便だけでなく、快適性もアップしている豊島区の街づくり。生活の拠点として検討してみてはいかがでしょうか。
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